第180話「敗北から」


むしろ、そのまま苦しみ続けるくらいならそのどちらかの方が辛い覆いをしなくてすんだと諦めたほうが良かったとさえ思える。

 だが、俺はこうして生きて茨の道を進むことを決めた以上足掻き続けるしかない。


 そんな事を思った矢先だった。

 再び矢が放たれ俺の胸を貫いたのは。

 

「っ!」


 声にならない叫びをあげた。

 二度目だからと言って慣れるものでもなく、躱すことも出来なかった。

 この二度目の矢は敢えて受けたというのに、手掛かりは一向に掴むことは出来ない。


(あれっ!? おかしい……意識が急になくなっていく……死ぬのか……)


 俺は薄れゆく意識の中で何かできないかものかと思ったが、想定していないことが突然起こった時に対応するのは非常に難しい。

 ただそれだけがわかっただけだった。

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