第154話「手遅れだという事」
相変わらず村はダムの底のような光景のまま水の塊は下界に降り注ぐが、邪魔する者がいなくなった以上この邪魔な雲は散らすことができるようになった。
男はそのまま放置することにして、蠢く雨雲の中心に手のひら大の高速回転する空気の塊を投げ込んだ。
一見すれば意味のないこの行為も台風のように周囲の雲を取り込み気圧を低下させる雲であるならば効果は覿面である。
空気の塊は高速回転しながら急激に膨張し周囲の雲を巻き込み弾け飛んだ。
凄まじい爆音が響き渡ると、散り散りに霧散する水蒸気の塊が風に流され消えていく。
徐々に正常な空を取り戻しつつあったが、その元凶たる魔神の姿はもうどこにもなかった。
まるで雲と一緒に消えてしまったかのように気配を感じさせることなく去っていったようだ。
「ボクの目を欺くなんて、少し侮りすぎてたかな」
ルナは止めを刺すことはしなかった。
それは詳しい詳細を聞き出す必要があると感じたからなのだが、逃げられるくらいなら息の根を止めておけばよかったと後悔した。
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