第153話「空戦の灯」

 受け流すだけで状況分析にのみ意識を集注していた悪魔は動く。まるで重力がないかのようにふわっと風に流された風船のように不意に魔神へと向かう。

 その意表を突く予測不可能な接敵に魔神は身体が反応することができず、硬直してしまった。


 隙を見せたのは刹那、時計の秒針でさえも動くことができない世界。それでもルナには十分過ぎた。

 鋭い手刀が男の首を袈裟斬りにするように鋭く振るわれた。

 上空に膝をつき意識を刈り取られた男が、下界を見下ろす光景が出来上がった。


 男は魔法で足元に見えない床を作り出すことで宙を歩き渡ることができていたのだ。それはルナが男の前に一歩踏み込んだことで確かなものとなった。

 既に物言わぬ男には問いただすことは出来なくなってしまったが、魔法が持続していることで恐らく設置型の魔法だという事は推測できた。

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