第125話「戸惑い」

 一人物思いにふけっているとユイナに声をかけられる。

 

「何も言ってくれないんだね」


「俺がこんな調子じゃ、いけないとは思ってる。結果としてスペラを危険晒す事にもなった……。怖いんだよ。俺の選択が仲間を危険に追いやっているんじゃないかって」


「危ないことなんて日常茶飯事でしょ。今更そんなことで悩んでいても何も変わらないんじゃいの? 結局同じ危険なら信頼しているアマトに背中を押してもらった方が安心していくことができるよ。みんな誰かに背中を預けていたほうが気が楽なんだから」


「死ぬかもしれないんだぞ……」


「その時は何をしても変わらなかった結果でしょ。この世界に来てから常に死と隣り合わせなんだから、それはアマトがまだこの世界に順応しきれてないんだよ。そのうち、そんなことも思わなくなる……。なってほしくはないけど……」


「この世界に馴染めてないんだな……」


 ユイナは応えない。

 その必要などなかったのだ。

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