第13話 北の玄武洞(Ⅹ)
刹那がよろめきながら追い掛ける遥か前方で、物凄い破裂音と共に幾筋もの雷光が地上に落ちるのが見え、一瞬辺りが青白い光に包まれた。
〈・・あれは・・〉
その閃光に目が眩みそうになりながらも、ドラゴンと暗黒騎士が前方で対峙しているのが朧気ながら見てとれた。
〈・・やっぱりあの暗黒騎士、只者じゃない・・〉
超級レアモンスターであるドラゴンを、たった一人で足止めできるプレイヤーなど過去見たことも、聞いたこともなかった。
刹那自身、対ドラゴン討伐専門のジョブであるドラゴンナイトではあったが、自分があそこまでの闘いを出来るとは到底思わなかったからだ。
〈暗黒騎士が使ってる武器はもしかしたら・・〉
痛む体を庇いながら、おぼつかない足取りで前方の戦場へと歩を早めた。
しかし、刹那の胸中は決して穏やかではなかった。あの戦闘に自分が加わったところで、どれ程のことが出来るのか、寧ろ、足手まといになることが容易に想像できたからだ。
〈それでも・・何もしないでこのまま逃げることなんて出来ない・・〉
胸につかえる不安を圧し殺すように剣を強く握りしめ、まるで強力な磁力に引き寄せられるように闘いの渦中へと走り続けた。
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