─4─

「いよいよ、今晩で終わりかぁ……」

「だねぇー」


 次の日の午後。

 わたしは眞那夏と一緒に、近くの公園でお喋りをやっていた。そこでつい残念に思い、そう零してしまったのだ。


「つか、この1年と数ヶ月。ギルド選びから育成から悩んだり迷ったりすることも多かったけど。凄く楽しかったよね、アリス!」

「うん、うん! 結果として今のギルドに入ったのは、大正解!! 本当に楽しかったなぁあー!」


 わたしが感慨深くそう言うと、眞那夏が急に寂しげな表情をして元気なく俯き口を開き言う。


「……なんだかそう言うと、これで本当に終わりみたいな気持ちになるから、そう言うの辞めようよ、アリス…」

「あ……ごめん、眞那夏。そうだよね? また次のワールドでも一緒になれる筈だもんね!! うん、信じる!」


 根拠?

 そんなものなんて何もないんだけど。でもさ、可能性はいつだってゼロじゃない、って言うでしょう? だったら今はわたし、それを信じてみる! 願えばきっと叶う、そう思ってるから。

 眞那夏もそれで、ようやくまた笑顔を見せてくれた。


「つか。今夜の作戦、上手くいくといいね?」

「ぅん……。うちの母さんと来たらさ、今朝起きて降りたらもぅ凄い形相でさ……」


「え? どう凄いの??」

「『アリス、今晩の大決戦でワイズヘイル城を攻めて来たら、明日の朝飯はあなたが作りなさいよ!』とか……もぅ言うこと滅茶苦茶で。まぁうちの母さんらしい、いつもの冗談なんだけどさぁ~……」


「あはは♪ でもアリスの家は良いよね! 家族ぐるみでA・Fをやってるから、理解があって」

「うん、その点では凄く助かってるよ! でも勢力が違ってるから、毎月この調子なのが辛い……次のワールドでは同じ勢力になりたいけど、そう上手くはいかないよね?」


 眞那夏は困り顔に苦笑っている。

 その表情を見て、わたしようやく気づいた。つくづく反省な気分だよ……それで真中に小さく、「ごめん」と謝る。


 それに対し、眞那夏は笑顔でこう答えてくれた。

 

「きっと大丈夫だよ! だから安心して、アリス」

「……。うん! だよね!!」



 眞那夏だってきっと、不安なんだと思う。

 でも今はやはり、前向きに頑張れば絶対に良い結果が待っている筈だと信じていたかったんだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る