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「という訳で、作戦内容は先日メールで通知した通り、北東ガナトリアは討伐対象から外し、防衛のみ行う。

先ずは南西シャインティアの攻略を目指し、それから南東のワイズヘイルを総攻撃する!」

「北東ガナトリアについては、半々くらいで我々についてくれたにゃりが。南西シャインティアは完全に我々との敵対を表明しておるにゃので、初戦でこれを一気に叩き潰し、北東ガナトリアの寝返り抑止と心理的・外交的優位性を確保狙いたいにゃにょで、皆よろしく頼むにゃり!」

「「「にゃにゃん!!」」」

「「「らじゃ!」」」

「「「了解!!」」」

「「「お任せあれ!!」」」


 各ギルドによって返事は様々なので、いよいよ大決戦なんだなぁ~と、つくづく思う。


 南西シャインティアへの進撃ルートは、事前にメールで確認済み。とは言っても、Gパーティーであるわたし達は、南東のワイズヘイルの動き方次第で、その後の行動は大幅に予定変更されるとも聞いている。


 因みに、このゲームのアクティブプレイヤーは多いので、何もここに居るわたし達だけが参戦する訳ではない。他にも連盟を組む沢山の《ギルド連合体》が、この北西アストリア領内だけでも多数存在している。

 その辺りの事情は相手も同じ。

 そうした幾つかの連合体とも協定し合い、大きな戦略作戦は遂行されているらしいけど。それでも予測不可能なことは、いつも毎回よく起こるので、油断なんて出来ない。


 と言っても、わたしなんかはただただその指示に黙って従うだけなんだけどね?


 そうして、いよいよ運営からの大決戦開始のカウントダウンが開始され、各自、大決戦場へと暗転移動する。


 大決戦場は、普段使っているサーバーとは別の専用空間で行われる。端から端まで、通常なら走り続けて2時間近くも掛かるとてつもない距離。それでいて、大決戦の総対戦時間は二日合わせても4時間しかない。

 なので、攻略導線をどう引いて効率的に駒を動かすかがとても大事になる。


 あと大決戦に至っては、1度倒されてももう一度復活が可能。更に今日2回倒され、敗退したとしても、翌日復活参戦可能となっている。

 但し、復活回復ボーナスは無し。

 なので、前日2度倒された人は1度倒されたらそれまで。逆に前日1度も倒されてない人は、増えず。変わりなく前日と同じで、最大でもう1度だけ復活可能となる。こんな感じで決戦と大決戦では、色々と仕様が異なっているのだ。


 因みに、装備品の耐久力の心配も大決戦では一切ない。

 但し、この大決戦用仮想空間内でも一時的であれ大破消滅はするので、その部分についての覚悟はやはり必要。でも、戦いが終われば、装備品は全て元通り。


 ……そこさ。お願いだから、決戦でも同じ仕様にして欲しいものだよ…。


 その大決戦場へと、次々と光放ちながら現れ降り立ち、随時パーティー編成を行ってゆく。



【G1ランク・メインパーティー編成】

《剣聖》アルトさん、《聖騎士》ランズ《柊一》、《大魔導師》ネトゲ最高さん、《姫騎士》マーナ《眞那夏》、《魔剣士》カテリナさん、《聖龍騎》天龍姫さん、《大弓使い》大弓のミレネさん、《召還術士》アリスでございありんす……あ、これはわたしね?


 そして更に、デッキパーティーとして3パーティーがこれに加わる大所帯。メインパーティー・デッキパーティー共に、双方ある一定度の能力強化が総能力値に応じて、ポイントが反映される上。補助系と回復系魔法なども全て、共有化される特典がある。


 上手く協力し合えば、かなり効率的に戦える。

 けど、月に一度しかない大決戦のデッキパーティーシステムなので、そう上手くいかないのが現実。それでも一応はちゃんと調べて、効率的な方法とかは予習はしているんだけどね?

 


 さて、いよいよ大決戦の開始だ!


「ほいじゃ、いくにゃりにゃあー!!」

「「「にゃにゃん!!」」」


 ギルドチャットから聞こえたねこパンチさんの掛け声に合わせ、わたし達ギルドメンバー全員は声を合わせ、一斉に走り出した──!!


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