─3─
「は!? お幾らですか?」
「いや、だから150000リフィル。悪いけど、いくらアリスちゃんの頼みでもこれ以上は出せませんぜ。
胸、触らせてくれるなら、別だけど?」
「……あ、それは遠慮しときます」
首都グレゴリアの市場で知り合いのプレイヤー商人にドロップした幾つかのアイテムを見せると、その値段を示してきたのだ。
正直言って、かなりびっくりだよ。
「この巨龍王の大剣なんかは特殊でね、ゲームシステム上そのままでの転売は出来ないが、解体するとなかなかに良い素材がランダムで出るんだよ。だから今なら、この値段で買い取っても、こちらとしちゃ全く損はないのさ」
「へぇー……なら、それでお願いします。
あと何か良い装備品が欲しいのですが、ここには置いてないですよねぇ?」
「うん。残念だけどね。でもアリスちゃん、かなり良い素材持ってるみたいだし、そこの鍛冶屋で素材見せて、一度相談してみたら?」
「おお! そうですね! いつもアドバイスありがとうございます!!」
「いいよ、いいよ。でもそのうちマジで胸、触らせてね?」
「あはは! それは遠慮しておきます」
「ただ見せてくれるだけでも、かなりありがたいんだけど!」
「あはは! それも遠慮しておきます!!」
わたしはいつものようにそう言って笑顔で別れ、鍛冶屋へと入る。
その間にも何人かの人がわたしに声を掛けてくれ、笑顔で手を振りふりする。
「おおう、いらっしゃい! 久しぶりだね?」
「え? ああ、はは……初めて直ぐの頃以来ですよね? どうもすみません」
何せお金……リフィル貧乏なので、今までドロップ装備にばかり頼っていたから仕方がない。
それにしても、よく覚えているものだ。
「だったかな? それで、今日は何か装備品でも?」
「あ、はい。実は胴が壊れたもので、何か新しい胴を欲しいのですが……」
「ンー……そうだね。アリスちゃんのレベルなら、かなり上級のものが装備可能だけど予算はどれくらいあるの?」
「えと、なんと151000リフィルもあります!」
「うは! ちょいとそれだと、コイツは無理か……てか、そんなレベルなのにお金ないの?」
――ぐは! グサッ!! ひ、人が気にしてることを……。というか、わたしからすればこれはかなりの大金なのですが!
「そ、素材からでも加工して作ってくれるんですよね??」
「ああ、なんか持ってるの? ちょっと見せて」
わたしはため息をつきつつ、持ち物の中身を出し並べて見せた。すると、かなり驚いた顔を見せている。
「こりゃまたSSとSクラスがズラリと大したもんだなぁ……しかし加工するにしても、予算不足だから、先ずは幾つか買い取らせて貰うよ。その上で、君に合ういいものを作って上げよう。
完成させるのに時間が掛かるから、明日以降またここへおいで」
「分かりました。では、よろしくお願いします」
わたしはそのあと修復工房へと向かい、装備品の修理をしようとしたが……そこでお金が全くないことに気づく。
「アホだ、わたし……」
仕方なく鍛冶屋へと戻り訳を話すと、
「ははは! いいよ、いいよ。オレの方でその装備品もまとめて直しておくからさ」
「うわ! ここでも修理とか出来るんですかあー!?」
「ぐは! ……これでも一応、鍛冶屋だから当然なんだがねぇ~…」
と呆れ顔ながらもそう言ってくれた。
それからわたしは、その場で装備品を脱いで渡そう……としたが、そうなると下着だけの格好になることに気がつき、これはこれでどうかと思い悩んでしまう。
すると鍛冶屋のおじさんはどうやら気づいてくれたらしく、「奥の部屋で脱いで手だけ出して渡したあと、そのままログアウトすればいいよ」と教えてくれた。
わたしは言われた通り奥の部屋へと行き脱いだあとで、頬を赤らめつつも手渡し、そのままこの日はログアウトする。
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