第2章 デュセオルゼ=ヴォルガノフス討伐!

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 お待たせ?しましたぁあー!!(←誰も待ってない


 遂に、第二章 《デュセオルゼ=ヴォルガノフス討伐!》投稿開始致します!


 今回、はAFと学園が半々くらいの構成で若干ながら友情と恋愛的?なドラマあり。そしてアリスの装備に、いよいよ劇的な変化が……!? しかし彼女の”ゲーム内貧乏”ぶりは相変わらずです・・・(泣

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「つか。凄いね、コレ……アリスこのままいけばさ、本当にどこかの出版社から声が掛かっちゃうんじゃないの?」

「いや……それは多分ないんじゃないのかなぁ?」


「なんで??」

「だってさぁ~……」


 月曜のお昼休み、眞那夏まなかと一緒に学校の屋上でお昼を食べながら『小説投稿サイト』でのわたしの作品に対するアクセス状況を眺め話題にしていたのだ。


 確かにアクセス数は凄いけど、これは別にわたしの作品が認められてのことではないと思う。A・F内で今話題となっているチートスキルがネタとして描かれているため、それ目当てでアクセスが殺到しお気に入り登録され総ポイント数が異常に上がっているだけの話。


 結果として、今は日間ランキング1位となっているため、ブーストまで掛かり。更にアクセスがその効果で殺到し、同じくお気に入り登録され勢いで評価まで付き、ここ僅か数日で週間ランキングまで1位となっている。このままいけば月間ランキングにも届きそうな勢いだったけど、でもそうしたものは次第に減ってゆくだろうな?と予想はできる。


 何せ、もう既に下降気味だったから。



「つか……それにしても流石は攻略・厨だね。《ステルス・ホールド》以外にも、同じやり方で隠れスキルが他にもないかの検証がもうから行われてるみたいだよ?」


「え!? どれどれ??」

 眞那夏まなかの話を聞いて、わたしはスマホの画面を覗き見た。


 するとそこには確かに、上位召還魔法〈フェルフォルセ〉ではないけれど。同じ召還合成効果を持つ、〈フェルテス〉が使用され検証作業が行われていた。しかもちゃんと成功事例まで幾つか既にあり、このわたしですら知らない召還スキルまで発掘されている。


 でもそれは、まあ仕方のないことかも?


 わたしが《ステルス・ホールド》のような隠しスキルの存在を知り発動できたのは、たまたまの偶然だった上に、つい最近のことだったから。しかもこのスキルを発動させるには、ドリンクを飲んでの完全トリップからの《シェイキング技術》が必須だった。


 考えてみたらさ、運営もなかなかに上手いことをやるものだよ……。

 となるとお金も掛かるから、そうそう検証なんて普通の人には出来そうにない。だけど検証好きな攻略・厨連なら、重課金してでもやるだろうなぁ?と思う。


 それにしても……。



「確かに、凄い勉強になるなぁー。あ、このスキルとかかなり使えそうだよね?」

「つーか……アリス、そう感心してばかりも居られないと思うよ?」


 わたしが眞那夏まなかに寄り添い同じスマホ画面を眺めそう感心していると、眞那夏はそんなわたしを見つめながら照れ臭げに頬を真っ赤に染めつつも、呆れ顔をしてそんなことを言ってきたのだ。


「なんで?」

「だってさ、この書き込みみてみ! もう中級召還魔法まで手に入れた人が現れ、検証始めてる。このままじゃ追いつかれちゃうって!」


「……」

 そうは言われても、この人達の追撃から逃れるのは至難の業だと思われ……。だって寝る間も惜しんでこういう人達はやってるんだよね? しかも平日の昼間もずぅーっと……そういう人達にはどうしたって勝てそうにないよ。


 今月はまだ大丈夫だとしても、来月辺りにはわたし以外にもチートスキルの使い手が現れたとしてもおかしくはないのかも?



「よっ! アリスとさかき、そんなところで2人して何をそんな仲良くイチャついてるんだ?」


 誰かと思えば、草川三雲だった。

 どうやら校内の購買部で買ったらしいパンの入った袋が握られている。


 それから間もなく屋上にいた女子たちの「きゃあ~」という黄色い声が周りから聞こえてくる。

 草川くんの方は、それを鬱陶しい様子で気にすることもなく寧ろため息をつき、わたし達の了承を得ることもなく当然であるかのようにその場であぐらをかきながら座り、パンを袋から取り出し言う。


「どうでもいいけど……傍目で見ていると今のお前たち、百合じゃないかと心配になってくるな……」

「――え?」


 草川三雲はパンをかじりつきながらそう言うと、こちらを半眼の呆れ気味に見つめてくる。


 言われてみて初めて気づいたけど、同じスマホの画面を覗き込んでいたというのもありはするけど。わたしは眞那夏まなかの片手を取り、顔もかなり近づけベッタリだった。


「……女子の感覚なんて、男のオレには到底わからないが。同性同士で、公然とそぉーもベタベタくっついているなんて『わたし達、ただいま百合宣言しておりまあ~す!』と言っているようにしか思えないが……。お前たちまさか、そうなのか? 

だったらこのオレも、是非、その中へチョイと混ぜてくれよ」


「――く、草川くんなら全然OKだけど!!」

「へ?」

 そう空かさず言ったのは、眞那夏まなかだった。しかも目を輝かせ、頬を真っ赤に染め身まで乗り出している。


 そう言えば眞那夏は、草川三雲のことが好みのタイプだって前に言っていたのを思い出した。もしかすると、これをいい機会にしようと思ったのかもしれないけれど、それにわたしまで巻き込まれたのでは参るよ。


 まあ~流石の草川三雲も、これは流石に信じないだろうけ……ど?


 ところが、それを受けた草川三雲の方は驚いた顔をして、次にわたしの方を真剣な表情で向いてきて、「――ほ、本当にいいのかよっ!?」と何故かこのわたしに確認してくる。

 わたしは当然、顔を真っ赤にしながら手と顔を左右に全開で振りまくって「ないないない!」と言った。


「……なんだよ。変に期待させるようなこと言っといて、ガッカリとさせてくれるよなぁ~。

それよりも二人して楽しそうに、何の話をやっていたんだぁ?」


 草川三雲はそう言って、またパンを一口だけかじって食べる。


 ガ、ガッカリって……でもまあそこは流石に草川くんも男子なので。女子ならわたしみたいなのを含め、相手が誰であろうと手当たり次第なところがあるのかもしれない。


 草川三雲ほどの美男クラスにもなると、もう二桁以上の色々な女の子と付き合い済みで、経験だって相当豊富なんだろうなぁ、と思うし……。


 だけどわたしは、ちゃんと心に決めた相手としか関係を持ちたくはないので、そういうのはお断りします。


 その他多数の中の一人になんか、なりたくはないからね?



「例のスキルで検証がかなり進んでるみたいだから、眞那夏まなかと一緒にスマホ覗いてたの」

「つまり……アリス、お前がネタばらししたあの例の件か?」


 ──ぐはっ!


 草川三雲が、半眼な顔でわたしを遠目に見つめながら、そうイジワルに言ってくる。


 いや、まあ、それを言われちゃうと……言い返せないので参るんだけど…。


「つか、アリス、取り敢えず今週の《決戦》と来週の《大決戦》まではなんとか大丈夫な感じっぽい?」


 眞那夏まなかだ。


「……うん。たぶんね、その位までは全然大丈夫だと思うよ」

「なんだよ? もうそこまで追いつかれているのか?」


「うん。物凄いペースで育成が進められてるみたいでさ。だよね? アリス」

「はぁ、どうもそのようで……は、ハハ…」


 わたしの立場としましては、ここはもう苦笑う他にない訳で……。


「……流石に早いな。しかし、まあーしょうがないさ。せめて今月末にある《大決戦》まではなんとか持ちこたえて欲しいけどな。報奨は《決戦》どころの内容じゃないから、なんとしでも手に入れておきたいし」


「……」

 そこまでは多分、まだ大丈夫だろうとは思うけど。段々と不安になってくるなぁ。


 なんとか今の貧弱な装備もそれまでに強化し整えて、攻略連にも負けないように新しいスキルを自分自身でも発掘して対抗するしかない。


 わたしはそう思い、なんとなくこう零す。


「取り敢えず……前回『胴』が破壊されて、他に手元にまともな装備ないから、またドロップ期待してチュラント倒しまくるしかないかなぁ? 

今はなんと! 初期装備の“ローブ”ですから、わたし……あはは!」


「え? 胴が壊れたのかよ? アリス……それは流石に拙いだろ」

「だったらアリス、今夜一緒にチュラント狩りする? 私も一緒に手伝うよ!」


「ありがとう眞那夏まなか! 助かる~、もぅ大好きぃ~!! いっそ、結婚しちゃう?」

「うん! 今すぐに、結婚しよう!!」



 ――抱きっ!!



 わたしと眞那夏は互いに抱き合った。

「眞那夏……胸、わたしよりも大きいね? いいなぁ…」

 わたしが眞那夏の暖かくやわらかい甘い香りのする胸に、頬を寄せたままそうポツリと零し言うと。真中は恥ずかしげに頬を赤らめ、困り顔に言う。


「そ、そうかな?? そういうアリスのも、前より育ってると思うよ? 胸の形も理想的っぽいし……凄くやわらかい……思わず触りたくなる欲求を抑えるので大変かも?」


「こらこら、お前ら……ここに飢えた狼が一匹居るのを忘れてやしないか?」


「「――あ!」」

 ついついいつものじゃれ合いに没頭し、そこに草川三雲が居るのを忘れてしまっていた。


 これはお恥ずかしいところをお目に掛けてしまったかも……。


 あ、念のため言って置きますが。あくまでも普段はただ抱きついてそれで終わりですから! お間違いなく!! 


 そんなおバカなことをやっているわたし達二人を、草川三雲は頬を真っ赤に染めながらも、呆れ顔に見つめ言う。


「……チュラント狩りもいいけど。それだったら今は、もっと激レア装備ドロップが期待できるモンスターが他に居るぞ。

どうせなら、そっちが良くないか?」


「え? なになに??」


「デュセオルゼ=ヴォルガノフス」

「……」

「……」

 わたしと眞那夏は、その名を聞いて共に抱き合ったまま凍りつく。


 だってそのボス級レアモンスターは、ランカー達でさえも倒すのに苦労するって噂は聞いていたから。



「蒼龍王の盾とか、邪神教の魔杖とか相当レアランクのドロップ報告が通報されているから、今はそこがオススメだけど。どうする? それだったらオレも手伝うし、他の奴らにも声を掛けやすいからさ」


「……まあ勝てるのなら、チャレンジはしてみたいけど。そんなのに勝てるの? 噂によると、瞬殺されるとか聞くし……わたしなんかが居ると、足手まといになるんじゃ??」


「そんなの、やってみなきゃわからないよ。そりゃあ足手まといにはなるだろうが、アリスの場合、決戦での活躍で相殺されるから、そんなの気にすることなんてないさ。同じギルド仲間同士でパーティーを組んでやれば、誰も文句なんて言わないだろう。

て言うか、寧ろアリスにはもう少し強くなって欲しいからな」


「でもパーティー戦で、やっと勝てるかどうかなんでしょ? アリスの《ステルス・ホールド》は、モンスター相手では役に立たないよ!」


「――そ、そんなにも強いのぉー?!」

 わたしは眞那夏の話しを聞いて、驚いた。


「まあな……確かに、楽な相手ではないけど。倒した時のドロップ内容から考えたら、狩り効率はコイツの方がバツグンにいい。

アリスはとにかく遠くで倒されないよう、ただひたすら補助系魔法だけ掛け続けてくれたら、それだけでいいからさ。

それなら何も問題はないだろ?」

「……たった、それだけでいいの?? それだけなら、なんとかなりそうだけど……」


「ああ、いいよ。今はそれで十分だ。

というか、アリスの場合は、それこそ触れるだけで瞬殺確定だろうからなぁ~?」

「――ふ、触れ……そこまで強い訳!?」


「つか。いいなぁ……アリスは、なんだかもぅすっかりお姫様扱いだよね…?」


 眞那夏まなかがちょっとだけ羨ましそうな顔をして、そう言った。それを聞いて、わたしは途端に慌てた!


「あ、あの! 眞那夏も、それに一緒してもいいんだよね??」

「ああ、もちろん。マーナ……いや、眞那夏は戦力として十分強いからな」

「……」

 それを聞いて、わたしはホッと安心をする。


 でも隣を見ると、眞那夏はまだ不愉快そうな顔を見せ、ツンとしていた……。



「さて……今日はたまたまだったけど、昼休みくらいお前らとこうやって、たまに話すのも結構良いもんだな。

実際、楽しかったよ。サンキュ!

明日はもう一人、友達を連れてここへ来ようかと思うけど、構わないか?」


「うん。いいよ! おっけー♪」

 眞那夏がその時だけ、目を輝かせ笑顔でそう言ったのだ。


 なんだかわたし、その時に何かわかったような気がする……。


 草川くんが手を軽く振りながら立ち去ったあと、眞那夏がため息をつき口を開いた。


「つか……アリスさ。さっき何気に、私に気を使っていたよね?」

「そ、そんなことはないよ!!」


「だったらいいんだけど……でも今のうちに正直なこと言っておくね?

私、アリスのことちょっとだけ今はねたんでると思う。だけどそれは別に、アリスのことが嫌いになったとかそう言うことじゃないから、そこは安心して。

逆に、ここで変に気を使われると……私、自分のことが凄く惨めに思えてくるから……さ」


「……それって要するに、草川くんのことが好き、ってことなんだよね?」

 わたしがズバリそう聞くと、眞那夏は頬を真っ赤にして物凄く動揺し慌て始めていた。


 なんとも分かり易いリアクションなので、とても可愛いらしく思えてしまう。何だかそんな眞那夏を、思わず抱きしめたくなる。


「大丈夫、わたしは草川三雲のことなんか、“別にどうとも思ってない”から、安心してよ!」


 そもそも、向こうも恐らくはわたしと同じで、そうだと思うしね?


「え?! ホントに? だけど噂では……」

「ホント、ホント♪ もう笑えるくらい、“対象外”なんだから!」


 それを聞いて、眞那夏まなかはいつもの明るい笑顔を見せてくれた。

 わたしは、そんな眞那夏の笑顔を見て、ホッと安心をする。



 だってわたしからすれば、眞那夏との友情の方が、とても大事に思えていたからね!


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