アストガルド・ファンタジー

みゃも

第1章  仮想&現実 Wチート?!

ー1ー

──────《はじめに》──────


 本作品は、『底辺ゲームプレイヤー』&『底辺ネット投稿作家』アリスとその仲間達が織り成す、仮想&現実日常系VRMMO作品となります。


 残念ながら、転生転移ものではございませんので、それを期待しお越しの方は、このままブラウザバックをオススメ致します……。



 本作品は、〔仮想世界〕と〔現実世界〕の2シーンを交互に織り交ぜながら描いてゆく作品です。

 現実世界では、学園内での何気ない日常が主にメイン。


 今回は、いきなり〔仮想世界〕からのスタートとなります。では、お楽しみください。

──────────────────



「はぁ……はぁ!!」

 状況は今、もうから悲惨過ぎて泣きそうだった。


 六大城・炎のエレメント、女神イルオナが冷徹な微笑みをたたえる妖しげな城内。

 そこでは今、敵対する2人の上位ランカーと多数の敵対ギルドプレイヤーが立ちふさがり、わたし達ギルドの城内侵入を必至に阻止してくる。


 わたしが所属するギルド『黄昏の聖騎士にゃん♪』総勢は今、この城の攻略を懸命に目指していたが。ギルド内でただひとり底辺地雷なわたしに至っては、既に体力・精神力ともに限界で、なけなしのお金をはたいて頑張って買い込んだ薬類も、とうとう底をつき、ヘロヘロのボロボロ……。


 そんな中、ギルド内唯一の上位ランカーであるフェイトさんが、マーナと共に、これから最後の賭けに挑もうとしていた。



「こうなったら、一か八かっ! 行くぞ」

「アリス! 防御結界魔法をお願い!!」

「そ、それが~……もう精神力不足でして……薬も底をついてますし」


「は? もう無いの?? なんで???」

「だってわたし、”ゲーム内貧乏・・”ですしおすし……は、ハハ…」


 わたしは苦笑いながらマーナにそう答え、ホコリくらいしか落ちてこない薬袋を逆さにして、「あはは…」と空笑い、振りふり振って見せた。

 すると、マーナは半眼の呆れ顔でわたしを見つめ、「どんだけアンタ、貧乏なのよ……」と言い、肩をすくめてる。


 いやまぁ~っ、実際身につけている装備類にしても、他のメンバーに比べたら貧相なものだしね? 思わず、泣けるてくるよ。



「だったら、もう何でもいいから補助系魔法をお願い!!」

「──は、はいっ!」 


 わたしはマーナから言われるがまま、残された精神力から計算して、白と黒の2つ魔法をテキトーに選び発動させ、“召還魔法”をほぼ同時に唱えた。



『汝等(なんじら)、我と共に在れ……〈フェルフォルセ!〉』



 上級“召還”術士スキル〈フェルフォルセ〉の中へ、先ほど放った白と黒の2つ魔法は“吸引吸収・・・・”され、発動可能スキル一覧がわたしの目の前に半透明で表示された。


 因みに、”召還術士”というのは、決して誤変換の産物などではない。

 召喚ではなくて、あくまでも召還・・ね?

 この職種スキルは、かなり特殊な二段階方式。稀に、組み合わせ次第で凄いスキルを発動することもある。

 が……残念ながら今回は、そのスキル一覧の中に、この状況下で使えそうなものは、全くと言っていいほどになかった…………ぐふっ!



「アリス! もうなにやってんの、早くお願い!!」

「…………」

 と言われてもさぁ~。並んでいるスキルはどれもこれも“カス”ばっかで、役立ちそうにないから、どうにも参るよぉ~っ。


 わたしは困り顔に苦笑い、「いゃあ~……だってさぁ、これはもぅ悲惨だよぉ~?」と無理に愛想笑いなんか浮かべながら『なんか出てこい! 何か出てこい!!』とバカみたいに球体状の〈フェルフォルセ〉を意味もなく掴み、ぶん回してみた。


 ──すると!

 スキル一覧が、突然に眩い程の黄金色に輝いたかと思えば。そこから、今まで見たこともないような、青白い色で輝き続けるスキルが“一つだけ”表示される。



「──ぅわぁあああっ!? な、なんか知らないけど。ホントーに出てきたあーっ!!」

「い、良いからはや…く……して……」


「──!!」

 その時の、苦しげなマーナの声色に驚き、わたしはその方を見る。と……マーナを含むわたしの仲間の殆どが、深い傷を負い。身体や頭から血を流し、倒れてゆく。その仲間の一人に至っては、沢山の弓矢で身体を串刺しにされ。目や口から血をダラダラと流し、目の前で悲鳴を上げ、苦しげに膝を落として、塵と化しながら消滅していった──。


 思わず、目を覆いたくなる残酷な光景……幾ら何でもコレは、リアル過ぎだよ…。


 そんな中、最後の一人である仲間が剣をギュッと握り締め。怒りに満ち溢れた表情で目を光らせ、上位ランカー2人へと無謀にも向かって走り出した。


「──!!」

 わたしは、そのスキルの効果内容などを確認する間も惜しみ、空かさずパッと手早くタップ選択し、発動をする!


「フェイトさん! 何だか“コレっ”、どんな効果なのかわからないけど、試しに使ってみてッ!!

《ステルス・ホールド!!》」



 途端、光り輝く魔法陣がわたしの前で自動的に描かれてゆき。その内容不明なスキルは、わたしの手のひらから波動を飛ばしたあと、その魔法陣オーラを”吸収吸引“しながら貫き通り、彼の元へと放たれ。わたしは、そのあと恐怖心から目を伏せる……。


 ──が、間もなく。どよめいた歓声が沸き上がり、『なんだろぅ?』と思い、状況を確認する為に目をゆるりと開け、その先を怯えながら遠目に見つめた。


 と、そこには……あの有名な上位ランカー2人をものの見事に倒したフェイトさんの姿があった。


 しかも、彼自身は傷一つ負うこともなく……普通なら、そんなこと有り得ないよ!


 敵も味方も、辺り皆が意外な結果に騒然とし、余りにも強過ぎるそんな彼、フェイトさんを羨望の眼差しで見つめる中。だけど、彼フェイトさん一人だけは、何故か “このわたしの方を” 呆然と見つめ、どこか驚いたような表情を見せていたのである──。


 こうして、奇跡的にも炎のエレメント・女神イルオナが居る城の《支配権》をわたし達ギルドは勝ち取ったのだ。

 そのあと結果報告されるゲーム内アナウンスにより、わたし達のギルドが遂に上位ランキング入りしたことを知り、祝杯ムードは一気に高まる。



“《イベント結果報告:【決戦】褒賞》

〔ギルド・ランキング総合[9位]入賞おめでとうございます!〕


【ギルド褒賞】褒賞

(ギルド)経験値+25000000、


ランキング(ギルド)褒賞金1500000リフィル(ギルド獲得褒賞)、

六大城獲得:女神イルオナ=火・炎属性+15%Up(次回、決戦まで有効)】


【個人褒賞】獲得

(褒賞個人)経験値+3500000、

ギルド内勲功順位分配率(+1%)←低っ!=獲得報奨金+5000リフィル、


《今期:決戦》

個人ランキング褒賞金

+500リフィル、 ←少なっ!!


【アイテム ドロップ褒賞】

ドラゴの大鱗(SSレア素材)、

アルスリラの大爪(S素材)、

ラグラットホーン(レア素材)、

猛獣の牙×5(素材)、

マテリア×15(素材)、

アクアマリン×3(素材)、

白銀インゴット×10(素材)、

プラチナインゴット×5(素材)、

なんかの毛皮×5(素材)、

腐った水、 ←なにこれ?

毒リンゴ、 ←なにコレ??

魔聖水×3、

クルムの実×15、

カムカの実×15”



「うわっ! なに、この報酬!? もっとも……個人褒賞は悲惨だけどね…?」


 驚き思う間もなく、わたしのレベルは連続で一気に2つも上がった。



__________________

《ニックネーム:アリスでございありんす》

種族:ラグリット・ハイエルフ 

職業クラス:"召還"術士


レベル52 ⇒54(+2)

力:34 ⇒ 34(+0)

知力:102 ⇒ 107(+5)

体力:3370 ⇒ 3470(+100)

精神力:5672 ⇒ 5857(+185)

意思力:84 ⇒ 87(+3)

敏捷:107 ⇒ 111(+4)

運:-35⇒ -35(+0) ←なんだこれ?


__________________


 わあー! 凄いっ!!

 さて、これをどう割り振ろうかなぁ? 


 しかも、ゲーム内貧乏なわたしとしては、とてもありがたい報酬内容だよぉ~!

 Sレア素材と『魔聖水』と『カムカの実』以外は、全部売り払って。また精神回復用の薬類をこの袋一杯になるくらい大量に買い込むことにしよう! 装備の修復代がどれくらい掛かるのか、ちょっと不安なんだけどね……っ?


 今日行われた《決戦》で、わたしの装備類はかなりボロボロに傷んでしまった。何気に部分的ながら下着までモロに見えてるし……胸の部分もちょっと露出気味。


 これは結構、きわどいかも?


 別にアバターだから見られても構わないんだけどさぁ。妙に、このゲームのキャラはリアルな作りなので、恥ずかしく感じてしまうんだよね?

 人によっては下着一枚になり、街中を走り回る愉快な人も居るから、今更ではあるんだけどさぁ。


 わたしは手で恥ずかしげに胸辺りなどの服を押さえ隠しつつ。仲間みんなの元へと、笑顔で手をふりふり歩いてゆく。


 その後、ギルドメンバー60名全員でワイワイと楽しく勝利の祝杯を「「「カンパーイ!」」」と上げ。わたしは一人、もう深夜1時近いこともあり、美容と健康のために、満面の笑顔で明るく手を振り振りしながら先にログアウトする。


 その際、わたしは破れていた装備のことなんかすっかりと忘れ。調子に乗って、両手を大きく、元気良く、明るく和やかに振り注目を浴び。その時にモロ胸の辺りとか、下着とか、腰から下の際どいラインまでもギルド仲間みんなからバッチリナイスと見られ、結局は恥ずかしい思いをしてしまったんだけどね……?


 はぁ~。


 因みに、今回得られた褒賞金のほとんどは装備品の“修理費用”で全て消し飛んでしまうことになる。



 ──ぐはッ!



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