第18話「スペードの6とスペードの5」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 彼女はクラスメイトと共に修学旅行のしおりを作り、

その放課後に伊賀啓介がスペードの6とスペードの5の出現を告げたのだった。

「今度はヌンチャクに棍棒か。前とあんま変わらなくないか?」

 二人のトランプ兵を見やった啓介がそういうと、克美はこういう。

「微妙に違うから気をつけて行くよ、啓介」

「そうだな。行こう!」

 そして二人は同時にこういった。

「「マジカル、オンステージ!」」

 すると二人は光に包まれる。

 克美にはまずガラスの靴が履かされ、啓介には金で柄を装飾された剣が持たされる。

 そして光が衣服へと変化する。

 克美の衣装はシンデレラらしく、青いお姫様らしいドレスへと変化していく。

 啓介の衣装は王子様らしく、ファンタジックな衣服へと変化していく。

 そして光が収まると、二人はダンスを踊るように動いた後でこういう。

「「異世界より現れし尖兵よ」」

 まず克美がこういう。

「シンデレラに与えられし力を」

 そして啓介がこういう。

「姫を守りし王子の力を」

 二人は再び息を合わせてこういう。

「「恐れぬのなら絆の剣を見よ!」」

 スペードの6はこういう。

「ヌンチャクを舐めたら怪我するぞ!」

「パワーなら棍棒の方が上、なら!」

 克美はスペードの6に近づく。

「飛んで火に入る夏の虫という状況か。だが、手加減はしない!」

「必要ないわ。ヌンチャクは持ち手側だけ、あなたの場合は右手だけが範囲」

「左手ががらあきだと?寝言をいうな!」

「乗ると思ったわ。その隙に!」

 克美はヌンチャクの先を掴む。

「くそ!だが、これくらい振り払える!」

 スペードの6が克美を振り払おうとする。

 彼女はそれを見てすかさずスペードの6から離れる。

「しまった!ヌンチャクが自分に……」

 スペードの6はヌンチャクを自分に当てるが、その程度で死にはしない。

 だが、それはスペードの5の隙を生むことに繋がる。

「今だ!」

 啓介がそれを逃さず、スペードの5を切り裂く。

「ぐはっ!?」

 それを見たスペードの6はこういう。

「おのれ、よくも!」

「怒りに身を任せた奴の動きなんて見え透いている!」

 冷静さを失ったスペードの6は、啓介の敵ではない。

「後は任せたわ!」

 克美は巻き添えを食らう位置に居たので、すかさず身を引いた。

「させるか!」

 スペードの6がその後を追おうとする。

「そうはさせない!」

 しかし啓介はそれに追いつき、スペードの6を切り裂いたのだった。

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