第16話「スペードの7とスペードの4」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 そんな彼女は初潮が来た記念として赤飯を食した。

 その翌日、伊賀啓介がスペードの7とスペードの4の出現を告げたのだった。

「今度はトンファーに石斧かよ。随分と変てこな組み合わせだな」

 二人のトランプ兵を見やった啓介がそういうと、克美はこういう。

「分かってる。行くよ、啓介」

「そうだな。行こう!」

 そして二人は同時にこういった。

「「マジカル、オンステージ!」」

 すると二人は光に包まれる。

 克美にはまずガラスの靴が履かされ、啓介には金で柄を装飾された剣が持たされる。

 そして光が衣服へと変化する。

 克美の衣装はシンデレラらしく、青いお姫様らしいドレスへと変化していく。

 啓介の衣装は王子様らしく、ファンタジックな衣服へと変化していく。

 そして光が収まると、二人はダンスを踊るように動いた後でこういう。

「「異世界より現れし尖兵よ」」

 まず克美がこういう。

「シンデレラに与えられし力を」

 そして啓介がこういう。

「姫を守りし王子の力を」

 二人は再び息を合わせてこういう。

「「恐れぬのなら絆の剣を見よ!」」

 するとスペードの4がこういう。

「食らえ!」

「石斧はスピードはないけど、意外と威力はあるみたいだね」

「冷静に分析してる余裕もなさそうだな。トンファーの鈍器としての強さは十二分だ」

「一緒にゲームやってたからこの手の武器は詳しいけど、実際戦うとなるとね」

 スペードの7のトンファーとスペード3の石斧。

 石斧の遅さはトンファーを持つスペードの7が付かず離れず距離をつめようとするため、

あまり感じない。

「こうなったらスペードの7を先にやるしかない。だが、どうすれば!?」

「いや、石斧にはパターンがある。トンファーを振った直後に石斧が来てるよ」

「そうか、なら!」

 啓介はスペードの7によりトンファーが振られるのを見た後に、

スペードの3を剣で切り裂く。

「ぐおっ!?」

 それを見たスペードの7はこういう。

「隙をかいぐくられたというのか。だが、それしきのことで!」

「確かにあんたのトンファー裁きは鋭い。だけどな」

 啓介の言葉に克美はこう被せる。

「トンファーを振った直後、一歩身を引く癖がある。それを見れば!」

「癖、だと!?そんなもの修正すれば!」

 スペードの7はトンファーを振った後、身を引かぬよう一歩克美達へと歩み寄る。

「努力は認めるが、やろうとすることは分かってる!」

 だが啓介はそれを見切り、剣でスペードの7を切り裂くのだった。

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