第15話「赤飯の日」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 そんな彼女は伊賀啓介と共にスペードの8とスペードの3のトランプ兵を倒したのだった。

「ただいま」

「お帰りなさい」

 克美は袋に入れた血に塗られた生理用ナプキンを出した。

 別にトランプ兵の返り血がナプキンに付いたわけではない。

 単に経血がついたナプキンを捨てずに取っておいただけである。

「早かったのね。一応赤飯炊く準備はしていたけど」

「準備していたのか!?」

 克美は母親が赤飯の準備をすでにしていたことに驚く。

「娘が欲しかったっていったわよね?そのくらいは奮発するわよ」

「たく、何てこったい……」

 するとそこに父親が現れる。

「女の子ならいつかは経験することだ。大変だって聞くから、気を付けろよ」

「ああ。この現象は授業で習ったが、これが毎月来るとなると大変さも実感が湧くな」

「ゲームはできるのか?」

「ゲームなら風邪でもできるよね。携帯機ならインフルエンザだって問題ないもん」

 それに母親が突っ込む。

「さすがにインフルエンザの時はしっかり休みなさいよ……」

「それもそうか。でも、念のために料理は休むよ。こういうのは初めてだし」

「男はそういうのってないのよね」

「その代わりに肉体労働する役目は男がほとんどだからね。最近は女性もやるようにはなってるけど」

 克美がそういうと父親はこう返す。

「そのへんの力はどうしても女性の方が弱くなる傾向らしいからな。理由は分からんが」

「筋肉が付きすぎると胎児を圧迫しちゃうから、とも聞いたような気もするわ」

 そういったのは母親だった。

「ともかく、赤飯炊くならさっさと炊いてよ。結構恥ずかしいんだからさ」

「分かってるわ」

 母親がそういって赤飯を炊き、克美達は赤飯にごま塩を振って食べるのだった。

 そして寝る準備を済ませて克美は就寝し、翌日の朝。

「今日はすっきりしてるし、いい調子だよ。いってくる」

 克美がそういっていつものように学校に向かい、教室に着くと飯塚琴美にこういわれた。

「昨日はどうだったの?」

「お母さんも驚いてたよ。何せもう来たんだもんね」

 その後は何事も無く授業が始まり、そして放課後になった。

 下駄箱で伊賀啓介を待っていると、彼がやって来てこういう。

「どうやら、今のところは一日一回ペースらしい。スペードの7にスペードの4だ」

「分かった。直ぐ公園に行こう!」

 トランプ兵との戦いも、三度やれば慣れた物である。

 少なくとも克美はそう感じており、彼女は啓介と共に公園へと向かうのであった。

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