第7話「スペードの10」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 するとそこでトランプ兵が現れ、スペードの10を名乗った。

 さらにそこへヤヒュニアが現れ、克美は伊賀啓介と共にその助言を受けることとなった。

「変身するなら、二人で手を繋いで『マジカル、オンステージ』といいな」

 いわれるがまま、克美は啓介と手を繋ぐ。

「啓介!」

「分かってる!」

 そして二人は同時にこういった。

「「マジカル、オンステージ!」」

 すると二人は光に包まれる。

 克美にはまずガラスの靴が履かされ、啓介には金で柄を装飾された剣が持たされる。

 そして光が衣服へと変化する。

 克美の衣装はシンデレラらしく、青いお姫様らしいドレスへと変化していく。

 啓介の衣装は王子様らしく、ファンタジックな衣服へと変化していく。

 そして光が収まると、二人はダンスを踊るように動いた後でこういう。

「「異世界より現れし尖兵よ」」

 まず克美がこういう。

「シンデレラに与えられし力を」

 そして啓介がこういう。

「姫を守りし王子の力を」

 二人は再び息を合わせてこういう。

「「恐れぬのなら絆の剣を見よ!」」

 この口上にヤヒュニアは思わずこう突っ込む。

「即興にしては中々やるね。まあ、私の出番はとりあえずここまでだ。後は任せたよ」

 そうしてヤヒュニアは去っていった。

「口上を待たせたのだ。それなりの強さがあると見た」

 スペードの10のトランプ兵はそういって懐の刀を取り出した。

 啓介が持つ西洋の剣に比べてシャープなそれは、明らかに日本刀の物だった。

「気をつけて。日本刀は間合いが分からなくなるよ!」

 克美がそういうと、啓介はこう返す。

「ああ。テレビでそんなことをいってたな。でも踏み込めばそれどころじゃなくなるはず!」

 啓介の踏み込みに、彼と対峙しているトランプ兵は日本刀をぶつけず剣先を反らそうとする。

「こいつ、できるな!」

 だが、啓介はとっさに身を引いたため剣先はそれず剣はお互いの手元に残る。

「初っ端からこんな強敵を寄越してくるなんて、赤の女王も本気みたいね」

「ああ。だが負けられない。親友も、この世界も、俺が守ってみせる!」

 啓介が気迫を込めてもう一度目の前に居るトランプ兵へ切り込むと、

そのトランプ兵は思わず身をかわす。

「身をとっさにかわすことは予想通りだ!」

 だが啓介が即座に横なぎをしたため、身をかわしたと思ったトランプ兵はそのまま切られた。

「見事、だ……だが、私より格下のトランプ兵も状況によっては私を凌駕する。それを……」

 啓介に切られたトランプ兵はいおうとした言葉を言い切る前に絶命した。

 絶命したトランプ兵はトランプへと戻り、そのトランプも消えていった。

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