第123話

「公ちゃんに問題です。熱い四字熟語は何でしょうか?」

「なんだそれ?」

「いいから答えてよ!」

「火上加油」

「え、なにそれ?」

「四字熟語」

「それはわかるよ!」

「じゃあ、加油ってわかるか?」

「油を注ぐ? もしかして火に油をそそぐってこと?」

「ちげぇし! 加油は中国語で『がんばれ』って意味だし!」

「え! うそ!」

「本当と書いてマジだし!」

「ってことは、火の上で頑張れってこと?」

「そういうことだな」

「めっちゃ熱いね!」

「熱いだろ!」

「じゃあ、一応正解だね!」

「だな! 他にも薪尽火滅とかあるな!」

「なにそれ!」

「読んで字のごとく、薪が燃え尽きるまで火で滅するんだよ」

「へぇ~、いつ使うの?」

「キャンプの時とかじゃね?」

「あ~、バーベキューとかキャンプファイアーね!」

「そう、それそれ!」

「意外とあるもんだね~」

「他にもあるだろ四字熟語なんて」

「そっか~。理系なのに公ちゃんすごく知ってるね!」

「で、おめぇが考えてた答えってなんだよ」

「焼肉定食!」

「なんだよそれ。熱いって言うか、あったかいだし!」

「そだね~、それか風林火山!」

「山火事の話なら熱いな!」

「だね!」


「公ちゃんに問題です。冷たい四字熟語は何でしょうか?」

「またそれかよ」

「いいから答えて~」

「冷たいのって言ったら、三寒四温とかじゃね?」

「それはあったかいの方が多いんじゃない?」

「だな。あったかい方が多かったな」

「じゃあ、残念でした! 罰ゲームターイム!」

「は? 聞いてねぇし!」

「うん。事後報告だよ!」

「ふざけんなし!」

「じゃあね。罰ゲームは今度の日曜日に海に連れて行ってね!」

「またそれかよ。おめぇ海好きだな」

「うん。海サイコー!」

「で、正解はなんだったんだ?」

「絶対零度!」

「おめぇからそんな言葉が出て来ることに驚きだな!」

「すごいでしょ!」

「だが、お前さんは一つ勘違いをしているぜ」

「な、なんですって!」

「零度ってどういうことか知ってるかい?」

「それは水が氷になる温度でしょ!」

「そうだ。ってことは、絶対に零度ってことはマイナスにはならないってことだろ」

「た、たしかに!」

「ということはだよ、沙羅魅くん。冬にマイナス10度とか平気で超える北海道やロシアの方が寒いわけだよ」

「え、じゃあ絶対零度よりも冷たい四字熟語があるっていうの!?」

「そうだ! しかも、北海道やロシアよりも寒い所!」

「そんな場所があるっていうの!」

「それは南極大陸!」

「あ、あった~!!!!!!」

「やれやれ。こんな単純な答えも用意してないなんてダメだな」

「ダメとか言わないでよ~! シャーロック・ハームズ!」

「ということで、お前さんの負けだ。海はやめて花火大会に行こうぜ!」

「しょうがない。海はまた今度にしよっか~」

「よし決まり! それでいい!」




「てかさ。公ちゃん間違えてない?」

「は? 何をだよ?」

「南極大陸が一番寒いってことは……」

「ってことは……?」


ゴゴゴゴゴゴゴ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ



「熱いのは情熱大陸じゃない?」

「って、そっちかよ!」

「え、どっち?」

「それは置いといて、葉加瀬太郎のバイオリンは熱いよな!」

「でしょ! 髪型も燃えてるみたいで熱いよね!」

「おめぇの家系に通じる所あるよな!」

「うん。遠い親戚らしいよ!」

「マ、マジかよ!」

「遠縁と書いてマジよ!」



新事実!

葉加瀬太郎は沙羅魅の遠い親戚らしい!

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