第10話

「え、ポリフェノールって石油からできてるの?」

「そうだぜ。ポリってつくのは全部石油だぜ」

「えっ、ポリ袋、ポリバケツ。本当だ!」

「ポリエステル、ポリカーボネートとかもな」

「すごい公ちゃん。さすが理系だね!」

「あとはポリプロピレン、ポリビニルピロリドンな」

「すご~い。そんなのもあるんだね。沙羅魅はもうそういうのが本当にあるのかないのかすらわかんないよ!」

「で、他におめぇポリでなんか思いつくか?」

「ポリリズム!」

「なるほど。それも石油だな」

「え、マジ?」

「適当と書いてマジだし!」

「でも、ポリリズムってリズムがつくから音楽用語じゃないの?」

「は? 曲のタイトルにもなってるからってそうとはかぎらねぇだろ」

「そうかな?」

「じゃあ、ポリリズムは何のCMで使われた?」

「カーズ!」

「ちげぇし」

「あ、カーズ2!」

「そういうことじゃねぇよ。ACのリサイクルのCMの方が元ネタだろ」

「え、それ元ネタはAKBでしょ?」

「は? それの後釜がポリリズムってことだろ」

「そっか。でもそれが何で石油になるの?」

「おめぇそんなのもわかんねぇのかよ。リサイクルって言ったらプラスチック、プラスチックって言ったら石油だろ」

「あぁ、そういうことね!」


「じゃあ、ポリープも?」

「そうなるな」

「じゃあ、ポリープって石油が原因でできるんだね!」

「そういうことだな」

「今日の公ちゃんすごい! お医者さんみたい!」

「まあな」

「わかった。じゃあ、公ちゃんはお医者さんになればいいんだよ!」

「は? それは無理だろ。医者は免許なきゃできねぇんだぜ」

「え、そうなの? たしかに公ちゃんは車の免許すら持ってないもんね♪」

「うっせぇし!」

「あ、そういえばブラックジャックって無免許医でしょ?」

「そだな」

「公ちゃんもそうなればいいんだよ!」

「なるほど。たしかにそれいいな。1回手術したら1億とかもらえるもんな!」

「手術1回で1億ってすごいよね。ボロ儲けだね!」

「だな。時給3千万ぐらいだな!」

「だったら、半年で年棒100兆円いっちゃうかもね!」

「だな。でも、沙羅魅。それには1つ問題があるぞ」

「え、なに?」

「モグリの医者は患者がいねぇと仕事にならねぇ」

「あ~。たしかに~」

「まずは助けが必要な人を見つけなきゃだな」

「そうだね。病気で医者に見放された不幸な身の上の悲惨な人間をたくさん探さないとね!」

「おめぇそういう言い方やめろよな。萎えるだろ」

「だって、人の不幸は蜜の味って言うでしょ」

「ちなみに、ブラックジャックは不幸な人から金もらわねぇからな」

「え、なにそれ。タダ働きじゃん。超赤字じゃん!」

「いんだよそれは。人の幸せはプライスレスだろ」

「すごい! なにその公ちゃんかっこいい!」

「まあな」

「そうだ。そういうCM作って宣伝すればいいんだよ!」

「なるほど。そうすれば色んな人に知ってもらえるな!」

「ぽぽぽぽ~ん! 無免許医の手術、プライスレス! ってなんかいいでしょ!」

「おいおい、パクリCMかよ」

「絶対みんな見てくれるよ~」

「でも、CM見てもらうだけじゃ意味ないんだぜ」

「大丈夫だよ。みんな来てくれるよ!」

「なんでそんなことわかんだよ」

「だって、無免許医って宣伝したらヤクザは行かずにはいられないでしょ♪」

「待て待て、それはそれでやべぇじゃん」

「大丈夫。ヤクザぐらい怖くないって~」

「それはおめぇがヤクザみたいなもんだから平気なだけで、オレは一般人だし!」

「違うよ。無免許医は犯罪者だよ」

「なら警察も来るじゃねぇかよ!」

「そっか。超人来るってことは大儲けの予感じゃん!」

「いやいや、ヤクザと警察は混ぜるな危険でしかねぇから!」

「ってことは、派手な銃撃戦になって負傷者たくさんで、患者もたくさんで大儲けしかないじゃん!」

「おめぇどれだけポジティブシンキングだよ」

「もう〜。公ちゃん本当に褒めるの上手だよね~」

「褒めてねぇし!」

「照れちゃって~♪」

「照れてねぇし!」

「あ、ポリ公ってもしかして石油と関係ある?」

「それはねぇよ」

「なんで?」

「ものじゃねぇからだよ」

「なるほど~」

「ってか、何の話してたんだ?」

「ポリンキー美味しいねって話だよ」

「あぁ、ポリンキーの三角形の秘密は......」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る