学院見学とハプニング

「どうだ? リシュナ。少しは学校に通いたくなっただろう?」


「確かに、設備も万全な教育機関のようですが……、学ぶ事は図書館や家でも出来るので、別に必要ないかと」


「……リシュナ、そう冷静に言いながら、教室に張り付いて見えるのは気のせいか?」

 

 じっとり……。

 ナルシスト吸血鬼なティア君を腕に抱きながら、抑揚のない物言いでレゼルお兄様が視線を落としてくる。私は、強気ツンデレ吸血鬼ディル君と、大人しめ吸血鬼なオルフェ君と共に、とある中等部の教室の窓にべったりと張り付いていた。

 制服と呼ばれる物を皆同じように纏い、熱心に前を向いて手元を動かしている。

 聞こえてくるのは、私にはまだ理解出来ない教師の言葉の羅列ばかり。

 わからない。だけど、――知りたい、と、強く思ってしまうのは、私の中にあるレスカ先生の残した言葉が頭の中で響いているからか。


『いいですか? リシュナちゃん。例えわからない事が目の前に現れても、そこに答えは必ずあるんですよ。どんなに難しい事でも、目を背けたくなるような『問題』でも、物事全てには答えがある。だから、怖がらずに探してみてください。好奇心と探求心を忘れずにね』


 わからない。だから、知りたいと望む。

 それが、学びたいという欲求なのだとわかってはいる。

 だけど、私は教室の中を見つめたまま、こう答えた。


「これは、物珍しさとおのぼりさん特有の衝動的な感情です。一時的なものなので、お気になさらずに」


「お前な……。通いたいならそうだって素直になれよ。これでも人間界暮らしは結構長いからな。金だって貯まってるし、お前を通わせるぐらい朝飯前なんだぞ?」


 私の顔の横に背を屈めて、じっと横目で学院への入学を促そうとしてくれるレゼルお兄様に、私はやはり、首を振って返す。

 金銭的にも余裕がある、そう言われても、私の意思は変わらない。

 今の私は、拾われた身であり、レゼルお兄様達の庇護を受けている立場だ。

 幾ら興味があっても、学院でのほほんと時を過ごすくらいなら、家の手伝いをしていたい。

 どんなに小さな事でも、私という厄介な存在を抱え込んでくれたお兄様達の力になっていけるように。

 だけど、横を向いた先にあったレゼルお兄様の顔は、酷く不満気なものだった。

 お互いに顔を近づけあって、同じ押し問答を繰り返す。


「帰りに入学願書を貰って帰るからな」


「嫌です。必要ありません」


「保護者が必要事項を記入してサインして提出すれば、翌日からは晴れて学院の生徒だ。よかったな?」


「そんな強硬手段を取ると言うのであれば、私は引きこもります。扉に板を打ち付けて、籠城してやります」


 バチバチバチ……!!

 お互いに声を荒げる事はないけれど、どちらも引いてなるものかと睨み合いに突入する。

 私の保護者である以上、それ相応の教育を、と思ってくれているのだろうけれど、無用の心配だ。

 学びたければ、図書館で一人黙々と勉強すればいいのだ。

 わからないところがあれば、その答えや解く方法を見つける為に、参考書と睨めっこすればいい。

 そう冷静に言い張る私に、レゼルお兄様の目がどんどん不機嫌の度合いを増していく。


「参考書を読んだって、わからない場合はどうするんだ?」


「他の方法を考えます」


「学校に通えば、色んな事がカリキュラムとして進んでいくから、効率もいいんだぞ? それに、この学院は美味い食事を作る事で有名な無償の学食もある。友達も出来るし、楽しいイベントがいっぱいなんだぞ~?」


 中の様子を顎で示した後、レゼルお兄様はその懐から魔力を使って学院のパンフレットを広げてみせた。

 季節毎の年間行事がずらりと並び、一枚一枚ページが捲られる度に、その行事の様子を映像として残したものが、ふわりと私の目の前に音声付きで現れる。

 確かに……、少しだけ、心を擽られる行事の様子ではあるけれど。

 楽しげなその映像に見入ってしまっていた私は、ハッと我に返り、ブンブンと夢から自分を覚ますように首を振った。

 危ない……。レゼルお兄様の手中にはまるところだった。


「ディル君、オルフェ君、今度は向こうを見に行きましょう」


「おう!」


「わかった……」


 危ない誘惑からは早々に逃亡を図るべきだ。

 私はパンフレットをバシッと無理矢理閉じさせると、踵を返してお子様吸血鬼二人と共にその場を駆け出した。後ろの方から制止の声がかかってきたけれど、振り返らない。

 私は、学院に通う気はない。それは何を見ようと聞こうと、変わらない結果なのだ。

 ……授業の風景や年間行事の映像に心を奪われかけようと、絶対に。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「で……、どうしてこんな事に」


 無我夢中で逃げ続けた私は、学院内にある、綺麗な花に彩られた広々とした中庭らしき場所の……、誰が掘ったかもわからない落とし穴の中にいた。

 その存在に気付く事が出来ず、踏みしめるはずだった地面の感触を感じない、と、奇妙な感覚を覚えた直後、まず私がズドン! と落ちて、その直後にお子様達も一緒に落とし穴の餌食となったのだ。一体誰が……、こんな非道な真似を。

 せっかく毎朝、フェガリオお兄様が整えてくれているヘアスタイルや可愛らしい洋服が土塗れになって台無しだ。

 ついでに言えば、お腹の上で呻いているお子様達が、物凄く重い。

 動こうとしても、どうやら落ちる際に足を捻ってしまったようで、残念極まりない事になってしまっている。


「うぅ……、ディル君、オルフェ君、どいてください」


「無茶言うなぁ……っ、この穴、凄く狭いんだぞっ」


「ディル……、足が、おれの、顎にっ、うぐっ」


「少しぐらい我慢しろぉ~っ」


 ディル君が少しだけ動きを見せた瞬間、私の頬にべしっ!! と、強烈な一撃が入った。

 い、痛い……っ。横を向いているディル君は、乙女の頬に無体を働いたというのに、全然気付く様子がない。向こう側でぐったりとしているオルフェ君に、「どうにかしろ!」と喚いているだけだ。……イラッ。

 落とし穴にはまったショックと、服や髪を台無しにされた苛立ちで、私は思わず自由になる右手をディル君の頬へと伸ばし、力の限りに抓ってやった。報復です。


「痛ぇええっ、何すんだ~!!」


「天罰、です……」


 自分にしては、怒り全開の低い声が出た気がする。

 むぎゅうぅぅっと、さらに強く頬の肉を抓ってやれば、ディル君は涙目になって、ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる。根性がない吸血鬼だ。


「痛い痛い痛いいたぁあああああ!!」


「リシュナ……、もう、そのぐらいで……」


「乙女の恨みは……、こんなものじゃ、ありません」


 ゴゴゴゴゴ……!! と、私の心の中から凄まじい地鳴りが聞こえてきそうな気配を感じたオルフェ君が、「乙女……、怖いな」と、そのあまり表情の変わらない顔に僅かな怯えの色を見せた。

 そうです、乙女を怒らせると、タダでは済まないのです。

 止めるなら、オルフェ君も同じ刑に処す。


「うぅっ、こいつやっぱり怖ぇええ……っ」


「ディル……、リシュナには、逆らわない方がいい、と思う」


「乙女の逆鱗に触れるような事をしなければ良いのです」


 私の静かなる怒りに怯えながらも、ディル君は真っ赤に腫れたぷにぷにほっぺを擦(さす)った後、落とし穴を脱出する為にべったりと土壁に張り付いた。

 吸血鬼は本来、普通に空を飛んだり特殊な力を使う事が出来るらしい。

 だけど、今のお子様達はレゼルお兄様達の手によって、その力の全てを封じられている。

 その為、身体も腕力も人間の子供と変わらない。

 

「ディル君……、登れそうですか?」


「結構……、深く、掘ってやがるからなっ。はぁ……、はぁ、ぐぅぅっ」


 全てを呑み込んでしまうかのような空の青は、落とし穴の中にいるせいで、さらに遠く感じられる。外から人の声は聞こえないし……、レゼルお兄様は私達の事を見失ってしまったとみて、間違いないだろう。穴の中で疲労の息を吐き出し、ぼんやりとディル君の奮闘を見守る。

 

「うわあああああっ!!」


「ディルっ」


 ドスン!! うっ……、乙女のお腹に、また手痛い大ダメージを撃ち込みましたね、ディル君。

 少しだけ上にあったお子様吸血鬼の小さな身体が容赦なく私のお腹に落っこちて来てしまった。

 胃や内臓の辺りが無残にも押し潰されるような感覚を覚え、私は苦痛に表情を歪める。


「帰ったら……、お仕置き、です」


「不可抗力だああああ!!」


「早く……、出たい」


 逃げ出してきたものの、こうなってしまっては、早くレゼルお兄様に見つけてほしくて仕方がない。そして、この凶悪な落とし穴を掘った非道な輩を見つけ出して、ほっぺたを百叩きに。

 そんな風に、私が犯人への報復を胸に誓っていると、落とし穴の上から低い音が響いてきた。


「君達~、大丈夫ですか~!!」


 柔らかで優しそうな男の人の声……。

 ディル君達と上を見上げると、青空を背にこちらを覗き込んでいる……、金髪美女の姿があった。

 日差しに煌めく長い金の髪を胸の前で結んで流している。

 聞こえたのは男性の声だったように思うけれど、……女性?

 私達に声をかけてくれた人と、この目に見えている人は別人、という事だろうか。


(でも……、あの人、どこかで会ったような気が)


「リシュナ!! 穴の中にいるのか!?」


 何となく見覚えのある女性の顔を、落とし穴の奥底からじーーっと目を細めて確かめようとすると、レゼルお兄様の声が大きく中に響いてきた。

 ようやく目を覚ましたらしきティア君と一緒に、落とし穴の中をずいっと覗き込んできたレゼルお兄様に、軽く右手を持ち上げて振る。


「もう逃げませんから……、へるぷみー、です」


「ああっ!! そんなにズタボロな姿になって!! フェガリオが見たら泣くぞ!! ってか、すでに俺が可愛い妹の無残な姿に泣き出しそうだ!!」


「わかりましたから、さっさと助けてください」


「そうだそうだ~!! 早くおれ達をここから出せ~!!」


「ディル、だから、動くと……、うぐっ」


 あ、またディル君が動いたせいで、私の顔に酷い一撃が。

 落とし穴の中に放り込まれた縄梯子を伝い、すぐ傍へと下りてきたレゼルお兄様が、まず私のお腹の上に乗っているディル君を片手に抱え、ひょいっと地上に放り投げる。

 その次にオルフェ君をこれまた同じく、ひょいっ。

 地上から、「「ぐへっ」」と情けない声が聞こえてくる。多分、お子様たちが顔から地面に落っこちたのだろう。


「ほら、リシュナ。俺にしっかり掴まってろよ」


「んっ、はい……。ありがとうございます。レゼルお兄様」


「はぁ、お前が無事で良かったが、誰が掘ったんだろうな。この面倒な落とし穴」


「見つけ次第、ほっぺが真っ赤に腫れるまで、百叩きの刑にしてやります」


「あ~、まぁ、子供の悪戯だろうし、ほどほどにしておいてやれ」


 ひくりと口端を引き攣らせたレゼルお兄様の腕に抱かれた私は、しっかりとその胸にしがみついて地上へと戻った。

 明るく包み込むような太陽の光を全身に浴びた私は、しゃがみ込んだレゼルお兄様にパンパンとスカートに着いた土を落として貰う。

 フェガリオお兄様が作ってくれた可愛らしい洋服が、落とし穴の中で見た時よりも無残な光景を私の目に映している。

 どうしよう……。フェガリオお兄様に申し訳なさすぎる。

 とりあえず、家に戻ったら念入りに洗濯を……、ん?

 ふわりと広がりのあるスカートの真ん中を掴んで落ち込んでいると、頭上から意味ありげな視線を貰っている事に気付いた。

 何だろうと見上げれば、そこにはあの金髪美女が。

 何故かうるりと目元に涙を浮かべ、今にも大声を出して泣き出しそうな雰囲気だ。


「リシュナちゃん……っ」


「はい?」


 綺麗な女性の顔から発されたのは、低く心地よい優しい声音+涙の気配。

 私の目の前にいたレゼルお兄様を、ドン!! と横に突き飛ばし、物凄い勢いで私に抱き着いてきた。痛いくらいの力でむぎゅむぎゅと抱擁され、私は戸惑いに目を瞬かせる。


「良かったです~!! さっき連絡を貰った時は、まさかという思いでしたが、ああっ、本当に、本当にっ、正真正銘、本物のリシュナちゃんなんですね~!!」


「うぅっ、ぐっ、苦しい、です」


「あぁ、すみませんっ。大丈夫ですか?」


 骨に恐ろしい軋みを覚えた直後、金髪の……、声は低いけれど、多分、女性と思わしき人は、私を抱き締める力を緩めてくれた。

 眼前に迫った、泣いても美しいその顔にじっと見つめられた私は、記憶の中にあった情報を一気に引き出された。姿は女性のものだけど……、この綺麗な顔と、優しい声音は。


「レスカ……、先生、ですか?」


「正解です!! 流石リシュナちゃんですね!! 先生の姿が前と違っていても、ちゃんとわかってくれるなんて……、ああっ、可愛い私の生徒!! お久しぶりです!!」


 数年前、私の暮らしていた村で子供達に勉強を教えてくれていた男性。

 確かあの頃は、普通に男性の恰好をしていたような気がするのだけど……。

 目の前で嬉しそうに涙ぐみながら微笑んでいるレスカ先生は、どう見ても女性の恰好だ。

 その生まれながらと思われる美貌は、ほんのりとお化粧を施しているだけで、どこからどう見ても、しとやかで心優しそうな女性にしか見えない。

 レスカ先生の性別は紛れもなく男性だったはず。それなのに、これは、まさか……。


「オカマデビュー、おめでとうございます。レスカ先生」


 本当は少しだけショックで気絶してしまいたかったけれど、私はどうにか表情を変えずに祝いの言葉を述べる事が出来た。

 良かった……。この前町で、あからさまな女装をした男性を見かけた際に、レゼルお兄様から説明を受けていたから、恩師のオカマデビューを見ても、どうにか表向きは平静を保てる事が。

 と、目の前で喜ぶレスカ先生を押しのけるように復活してきたレゼルお兄様が、「これがか!? これがお前の恩師なのか!? リシュナ!!」と、顔を青ざめさせて私の両肩を揺さぶりにかかった。あ、そんなに揺さぶられると、具合が、うぷっ。


「なぁ、お前の先生って、カマなのか? すげぇな、どっからどう見ても女じゃん」


「男……、男? 綺麗、だ。女にしか、見えない」


「お、男とわかっているのに、あぁ……、白百合のレディと呼んでしまいたくなりますっ」


 復活済みのティア君が、レスカ先生の傍に駆け寄って、今度は白い薔薇を……。

 ティア君、色違いの綺麗な薔薇を、いつもどこに隠してるんですか?

 そうツッコミたいような、レスカ先生は男性なのに、口説く対象になるんですか? とも聞きたくなるような。どちらにせよ、私はレゼルお兄様の取り乱した様子の方を宥めるのに大変だ。


「正真正銘……、うぷっ、レスカ先生です。オカマデビューなさっているとは知りませんでしたが、それで何が変わるわけでもありません。むしろ、落ち着いて事実を受け止めれば……、眼福、です」


「お前冷静過ぎるにも程があるだろう!! 自分の恩師がカマになってたんだぞ!! 少しは動揺しろ!!」


「いえ、結構動揺してますが、世の中には不思議な事がいっぱいです。だから、レスカ先生の……、うぷぅ、オカマデビューも、心から祝います」


 揺さぶられ続け、それが終わると、私はぐったりとレゼルお兄様の胸に雪崩れ込んだ。

 確かに吃驚したけれど、オカマになったぐらいで、私のレスカ先生への尊敬の念は変わらない。

 

「えーと……、別に私は、オカマ、じゃありませんよ?」


「どっからどう見てもオカマだろう……」

 

 微笑交じりに言葉を挟んできたレスカ先生に、レゼルお兄様が反論を繰り出す。

 女性の衣服を身に纏って、化粧や装飾の類までしている男が、オカマでなくて何だと言うのだ、と。


「う~ん、どう説明すべきですかね。私は、男性の服も女性の服も、それぞれに好きなんです。なので、気分によって着る服が変わるんですよ」


「レスカ先生、どういう事ですか? うぷ……」


 あぁ、まだレゼルお兄様に揺さぶられ続けた後遺症が口から……。

 

「簡単に言うと、色々な服を着て楽しむのが、趣味、と言ったところでしょうか。オカマの方々の中に知り合いもいますが、彼ら、いえ、彼女達とは、また違った趣味の持ち主なんですよ」


 だから、女性物の服を着ていようが、男性の恰好をしていようが、心は男なのだと、レスカ先生は困ったように微笑んだ。

 気に入った服があれば、それが男女どちらの物でも衝動買いしてしまう。

 そして、その服に似合う化粧や装飾を纏うのも、また趣味、だと。

 世の中には色んな人がいるとは聞いていたけれど、レスカ先生は一体、どういうジャンルの人に分類されるのだろうか。


「リシュナ……、お前、村で勉強を教わってる時に気付かなかったのか?」


「はい……。普通に、男性服ばかりだった気がします」


「あぁ、それはですね……。ちょっと私にも事情がありまして、リシュナちゃんの村で生活をしていた時は、女性物の服とは距離をおいていたんですよ」


「そうだったんですか……」


 視界に映ったレスカ先生の表情に、ほんの少しではあるけれど、寂しげな気配が浮かんだのを見てしまった。本人の言う通り、何か事情があるのだろう。

 けれど、私が踏み込んでいい事情とも思えず、静かにこくりと頷いておいた。

 

「まぁ、リシュナの恩師が特殊な趣味を持ってる事には驚いたが、無害そうだから、いいだろう。さて、そろそろ落ち着いて話が出来る場所に案内して貰えるか? それと、出来ればリシュナの手当てがしたい」


 私を横抱きに、その腕へと抱き上げたレゼルお兄様が、レスカ先生を促す。

 確かに全身泥だらけで、掠り傷もある。それに、足首も捻っているようでさっきから痛みが増してきている。


「医務室に専門の術者がいるだろう? 妹の手当てをさせてくれ」


「妹……? あの、さっきから気になっていたのですが、貴方はリシュナちゃんの……」


「俺はレゼルクォーツだ。長いからレゼルと呼んでくれる方が助かる。リシュナとは、少々縁があってな。今は保護者をやらせてもらっている」


「拾って貰いました」


「拾って……? なるほど、村を襲った隣国の件の他に、色々とありそうですね。では、レゼルさん、リシュナちゃん、それからそちらの子供さん達も、どうぞ、こちらへ」


 仕草までしなやかな女性を思わせる動きで立ち上がったレスカ先生が、にっこりと微笑んで学院の中へと私達を促してくれた。

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