第12話『地獄の沙汰』

病葉宗一郎わくらば そういちろう

お前は生前、うっすら、微妙に

悪い奴だったようだな。

よって…それ相応の報いを受けてもらう。


お前の罰は、毎日日替わりで、

必ず歯に何か挟まって、

舌先でつんつんほじっても

歯をゴシゴシ磨いても絶対にとれない、

という罰だ。

半永久的に。

そこはかとなく慎んで、罰を受けるがよい。


まずは今週のメニューを発表する。

よくきけ。


月曜日はほうれん草。


火曜日は豆もやしだ。


水曜日はトウモロコシ。


……少々、無難すぎるな。担当者は青鬼か。

あとで、わしのところへ呼べ。

職務怠慢もはなはだしい。


よし、水曜日は、ゴキブリのうしろ脚に変更する。


木曜日は、インドネシア産の輪ゴム。

これはお前が思っているより臭いし、

キュッキュッと気になって

じわじわ地獄を感じるだろう。


しかし、喜べ。

金曜日は地獄も花金だ。

特別にバイキング形式で選ばせてやろう。

我々はサラダバーならねギルティーバーと

呼んでおるが。

クリップ、待ち針、ラジオコイル、ギターの弦、ニワトリの鶏冠、スズメの足、海老の殻、黒ごま、白ごま、鷹の爪、セミの羽に

カブトムシの羽、コオロギのうしろ脚もあるが……水曜日にゴキブリの脚を挟んだばかりだからな、劣化版はいらんからはずしておこう。

その他にも、カタツムリの突起部やら、

猿の脳みそやらあるが、あとは現場で見て

自分で選ぶがいい。


そして、土曜日は自分の陰毛だ。

まあ、自給自足の罰もよかろう。

地獄もけして景気がいいわけではないからな。

コストダウンできるところは

どんどん削らねばならんのだ。


日曜日は、アルミホイルだ。

お前は銀歯がたくさんあるからな。

生理的には一番苦痛を味わえるかもしれんぞ。

来てしまった以上、後戻りはできんからな。

ここでじっくり、己が罪を噛み締めるがいい。


さあ、これで今週は飽きずに苦しめるじゃろう。

以上、さがってよし。

では次の者、入るがよい。

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