第9話『魔災チルドレン』〜完結編〜
ーーその後、
ぼくは警察に事情を話して謝り、
いったん妹をひきとって家に帰った。
管理人のおばさんに妹を預けたあと、
彼女に電話し、もう会えないかもしれないと伝えて、警察に向かった。
彼女に妹の話をすると、
そう、じゃあこれで終わりねと、
拍子抜けするほどあっさりと電話を切られた。
その後、会社で顔を合わせたりもするが、
彼女は大人で、まるでぼくらの間には
何事もなかったように振舞っていた。
熱に浮かされたような彼女との日々は、
急激に色あせ、魔災のように現実感の乏しい
単なる記憶の残骸になった。
もうどうでもいい……
どっちにしたって、ぼくはもう、
どこにもいけない。
最初から決まっていたことだ……
彼女のために用意した指輪を、
ぼくは妹にあげた。
左手の薬指にぴったりだった。
妹には、その指にはめる意味がまだ理解できない。
「わあ、きれ~い! お姫さまみた~い!
ありがとう王子さま~!」
でも、妹の顔にいつもの笑顔が咲いていた。
ぼくは、これでいいと思った。
これで……。
END
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