あかさたな
斎藤宗義
06 観光マナー
最近の観光客のマナーは最悪だ。
大声、痰吐き、落書き、果ては立ちション。
雄大な大自然に触れ合うのが目的の観光ツアーなのに、やれ暑すぎるとか、やれ紫外線が強すぎるとか、最後には海と火山しかなくて殺風景だとか文句ばっかりだ。
「あーあッ!ここは特別保護地区なんですから、ゴミを捨てないでください。勝手に移動しないで!落書きやめて!ペットを放さないで!!」
ツアーガイドは声を枯らして奮闘したが、傍若無人な団体客の世話でヘトヘトになった。
だから、観光客が連れ込んだペットが粗相をしたことに、このツアーガイドが気づかなくても責められはしない。
この原始惑星ツアーの一行は、円盤に乗って帰って行った。
しかし、昆虫の複眼のような巨大な目をしたペットの糞は、海岸に放置されたままだった。
やがて、糞の有機物は原始海洋で融合、分裂を繰り返し、最初の生命が誕生した。
それから40億年後、人類の輝かしい歴史が始まるのだった。
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