巻き込まれ肉まん勇者

雪片月灯

第1話 いせかい の ゆうしゃ

パンパカパーン!



そんな音が頭上から聞こえたと同時に見覚えのない場所に居た。

見覚えのない、というかここ俺の居た場所じゃないよね?

だって俺、コンビニに居たし。

今まさに肉まんを買おうと店員を呼んでたし。

なのに今、俺の視界一杯に広がるのは目に優しい緑。つまりは、山だ。

うん。何が起きたし。



「おめでとう!君は三人目の勇者だ!!」



自分の身に起きた事が理解出来ずに固まって居れば、背後から声。

驚きのあまり飛び上がる、前にとりあえずその声に突っ込んだ。



「うわ嬉しくねぇ!しかも三人目?!」



なんで三人目だよ。

普通こういうのセオリーは一人目じゃねえの?

違うの?俺が間違ってるの?



「ああ、一人目はあまりの過酷さに過労で入院中。二人目は魔王戦を前に逃げ出しましたので、あなたが記念すべき三人目の勇者様です!」


「何その不吉な言葉!?勇者って呪われてんの」


「さあ?」


「そこハッキリしといてくんない!?」


「いえ、勇者様は異世界から呼ばれますから、もしかしたらこちらの空気が合わないのかも知れませんね。でも逃がしませんよ」


「待って!今、確実に呪いの言葉が聞こえた!」


「三人目は何がなんでも魔王を倒すまで帰さない」


「言ったな。ハッキリ言ったな。知らねぇよ!?」



いきなり呼び出されて魔王倒せとか何言ってんの?

え?俺は肉まんを買おうとしただけなのに?

いつの間にかしがないフリーターから勇者に強制ジョブチェンジされたんだけど?

え?どこに訴えれば勝てんの?



「さあ、勇者様!レッツ魔王退治!サクッと行きましょう!」



俺の心の声は総スルーされ、マイペースにも俺は勇者にされた。



▼ フリーターは勇者にジョブチェンジした

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