お姫様と騎士団
雪野 ゆずり
第1話 ~始まり~
齢17になる私の誕生の無駄に盛大なパーティーを催される予定だ。嬉しくないのに・・・。
コンコン、とドアをノックする音がする。控え目なあたり、従者の誰かが来たんだろう。
「どうぞ」
「はい、失礼します。」
その声にドキッとする。
入ってきた人物を見て少し、いやすごく嬉しくなる。
「フレアくん!」
フレアくんは私と同い年で、小さいころから私の執事として仕えてくれてる。まあ、私はフレアくんの事が好きなんだけど。
「ゆずり姫様、お誕生日おめでとうございます。」
「フレアくん!敬語、ヤダって言ったよね!」
「う!」
私は、小さい頃からずっとフレアくんに「敬語は使わないで!ゆずりって呼んで!」ってわがままを言ってる。
「し、しかし姫様、本日は姫様の・・・」
「いや!フレアくんとはお友達でいたいって言ってるじゃん!二人っきりの時くらいいいじゃん、ね?」
「う、うん、分かった。」
「ゆ・ず・り!」
「ゆずり」
「うん!フレアくん!」
こんな感じで、ずっとわがままを言い続けてる。
フレアくんは少し微笑んだ。
「改めて、お誕生日おめでと、ゆずり。」
「ありがとう!」
「年が一個上がってもわがままなのは変わりないね。」
「う、いいじゃん!フレアくんと二人っきりの時だけなんだし!」
「まあいいけどね。その方が、普通の女の子らしいし。」
「ほんと?」
「うん、お姫様には見えない!」
「それ、ちょっとひどいような・・・。」
あはははは!
二人で笑う。それが当たり前で、楽しくって。
「あ、それはそうと、そろそろお着替えして、会場に行かなきゃ。」
「うん、もう、そんな時間なんだね・・・」
「・・・まだ、気乗りしない?」
「・・・うん。」
パーティーは、正直気乗りしない。知らない人もたくさんくるし、何より去年からパーティーに顔を出してはいつも大人が「家の息子を」って、いわゆる縁談の話を出してくる。なのに、誰も助けてくれない。フレアくんや他の従者は料理の準備があるけど、そこらへんにいる衛士は助けてくれてもいいはずなのに・・・。
「実はね、今日のパーティー、俺従者としての仕事はないんだ。」
「え?なんで?」
「今日は他の従者さんが多いんだって。それに、他の人も『お姫様のガードしてあげなさい!あんただって騎士なんだから』って言われてね。ゆずりの近くにいさせてもらえるんだ。」
フレアくんは、「執事」としてはもちろん、「騎士」として、私の護衛の役目もある。
「ほんと?フレアくんが一緒なら心強いね!」
「そ、そうかな?俺、弱いと思うけど・・・」
「強いよ!それに、フレアくんとなら、怖くないよ!」
「それは、うれしいな・・・。」
「うん!それじゃ、よろしくね!」
「分かった!・・・それじゃ、そろそろお着替えして、もらえますか、姫。」
「あ、うん。お部屋の外で待ってて。」
「うん。」
着替え終わって、すぐにフレアくんを呼ぶ。シワが寄ってる所を直してもらって、私達はパーティー会場に向かった。
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