見えない境目

白石 ゆい

第1話

いじりといじめの間には見えない境目がある

何処までがいじりで

何処からがいじめかなんて

やられてる側が決めることだ

ちょっとでも冷やかされるといじめられた

と感じる人もいるだろう


でもそんなのは言われないと分からない


昨日、私達と同じクラスメイトだった女子が

家で手首を切った

奇跡的に命は取り留めたが、意識は戻っていないらしい


彼女、吉川よしかわ 朱里あかりは生徒会書記をやるほど先生からの信頼も厚く、頭も良かった


人前に出ると大人しくなるが、友達の前だと一発芸など馬鹿なことをよくやっていた


そんな彼女は、何をされてもいつも笑っていて、嫌とハッキリ言えない性格の子だった


みんなそれはわかっていた。


いじっても本気で怒らないから反応が楽しい

朱里なら大丈夫、友達だから


みんなが思ってたことは大抵同じだったんだと思う。私もそう思ってた


でも、誰かが朱里をいじっているのを見てると

それはいじめなんじゃないか?と思う時もたたあった。

そう思っていても止めない、止めれなかった

私も同じことをしてるから。


だから、先生から朱里が手首を切ったことを聞き、私は思い当たることが多すぎて

罪悪感で埋め尽くされた


クラスの大抵の女子は同じように心当たりがあると思う

このクラスは仲が良くて

そこまでグループに分かれていなかったから

朱里と関わりがある人はほとんど私と同じような気分になっているんじゃないのか


警察の人に1人ずつ呼ばれ、話を聞かれる

教室に先生がいないことをいい事に

戻ってきた子達に何聞かれた?とみんな聞く


「心当たりとか無いか?って、いじめとか」


そう言ってみんな黙る

ある、心当たりはある。でもそんなの言えない

それは皆んな同じみたいで

もしかしたら自分達のせいでって思ってるけど

誰もそんな事は言わない


私の番が来てゆっくり立ち上がり教室を出た




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