第38話 「ぶつぶつ選手権」 妖怪「ぶつぶつ」登場



    1


     心の闇にとらわれて 出口の見えない人がいる

     天狗の力の少年が 来たりてこれを焼き払う

     てんぐ探偵只今参上 お前の心の悪を斬る



 天気が良かったので、ついつい眠り込んでしまった。シンイチは吉祥寺の劇団「火男ひょっとこ」の稽古がまた見たいと申し込んで、おいでよと呼ばれて、ネムカケを連れて電車で向かう途中だった。

 最初は猫キャリアに閉じ込められ、ブリブリ文句を言っていた自由の徒ネムカケも、リズミカルで気持ちのよい電車の揺れとあったかい日差しで、ウトウトと居眠りをはじめた。「居眠りこそ至高」と言うネムカケの意見ももっともだ。シンイチはそれを、考えるのだか考えないのだかのレベルで考えていた。

 太平の眠りを破って、電車の中に怒声が響いた。シンイチもネムカケも、うららかな眠りを無粋に破った主を見た。

「テメエふざけんなよこの野郎!」


 金色に染めた髪を逆立て、ヤンキー風の格好をした男が、気弱そうな大学生の胸倉をつかんで、殴りかかろうとしていた。大学生の方は、目を合わせることも出来ずおどおどと言った。

「ぼ、ぼく、何も言ってないじゃないですか」

「言っただろうが! ぼそっとさ! 俺に聞こえるか聞こえないぐらいでよ!」

「い、言ってないですよ」

「『うわあコイツ阿呆な格好』って言ったろ!」

「い、……言ってないです」

「寝ぼけてんじゃねえよ!」

 言った言わないの喧嘩なのか、単なる因縁つけなのか。シンイチが事態を寝ぼけ眼で把握しようとすると、気弱な大学生はぼそりと言った。

「ああ面倒なことになった。最悪」

「面倒とか最悪とか! オイ、次の駅で降りろや!」とヤンキーはさらに切れた。大学生は慌てて訂正する。

「い……言ってないですって!」

「今言っただろうが!」

 ヤンキーは胸倉をつかんだ両手で、大学生をがっしがしと揺さぶった。そこでようやくシンイチは目が覚めた。ぶつぶつ言った方の彼に、小豆色の心の闇が取り憑いていたからだ。

「妖怪『ぶつぶつ』だ」

 シンイチは九字の印を結んだ。

「臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前! 不動金縛りの術! エイ!」

 電車の車両ごと、周囲の時が静止した。ヤンキーの右拳は顔の前でぴたりと止まり、妖怪「ぶつぶつ」の取り憑いた気弱な彼は、間一髪ぶん殴られることなく助かった。

「時々電車に乗ってる人でさ、ぶつぶつ独り言言ってる人いるよね」

 と、シンイチは寝起き同然のネムカケに話しかける。

「春先になると増えるとも言うが、そういう奴らには『ぶつぶつ』が取り憑いとるのかも知れんのう。ふああああ」

 暖かい日差しの中時を止めた電車で、シンイチはネムカケをキャリアから出して自由にし、妖怪「ぶつぶつ」の一件にかかわることになった。


    2


「アレ? アレ? なんで電車の中が止まってんの?」

 妖怪「ぶつぶつ」の取り憑いた彼は、周囲をきょろきょろと見回した。

「おかしい。胸倉つかんで殴ろうとしたDQN野郎は固まったままだし、周りの乗客も固まってるし、揺れた吊革は斜めになったまま止まってて、電車の周囲の風景も動いてない……」

 ぶつぶつと独り言が止まらない。

 その中、歩いてくる少年と猫一匹。

「なに? なんでお前だけ動いてんの?」

 シンイチは立ち止まり、その男に話しかけた。

「今、自分がぶつぶつと独り言言ってたの、自覚してます?」

「は? なんのことだよ?」

「……やっぱ、自覚症状はないんだね」

 小さな鏡を取り出し、その男を映して見せた。

「あなたは妖怪『心の闇』に取り憑かれてる。それは妖怪『ぶつぶつ』」

「な、なんだこりゃ!」

 鏡に映った妖怪「ぶつぶつ」は、小豆色の体に、小豆大のぶつぶつがびっしりと出来ていて、その中に瞳がじろりとにらんだ。

「……きもちわる!」


 彼の名は楢尾ならお好行よしゆき、二十一歳の大学生だった。

「俺……コミュ障なんだよ」と、楢尾は時が止まった電車の席に座り、シンイチに話しはじめた。

「コミュ障って?」

「コミュニケーション障害の略さ。つまり、人と話すのが苦手なんだ。大学でもさ、みんな楽しそうにしてるのに、一人だけクラスの隅でじっとして、うまく皆と喋れない」

「えーそりゃ辛いね! オレみんなと喋ってばっかだからさ、口ガムテープで縛るぞって先生に良く言われるよ。ガムテープずっとつけられてるみたいなもんだろ?」

「そうじゃない。逆だよ。喋ろうと思ってるのに、うまく喋れないんだ」

「?」

「俺、喋ることを一回頭の中で練習してからじゃないと、恐くて喋れないんだ」

「ええ! そんなの無理じゃん! 『バッカじゃね?』って言うのを頭の中で言ってから『バッカじゃね?』って言うの?」

「そう」

「それじゃ会話に遅れるだろ!」

「そうなんだ。いつも俺が話す頃、みんなもう別の話をしてるんだ。だから俺はいつも話に置いてかれ、ひとりぼっちだ」

「なんでそんなことすんのさ?」

「喋って面白くなかったらどうしようとか、思うだろ」

「そんなの一々考えてたら益々面白くなくなるよ!」

「うん。そうやって現在の俺ができあがったんだよ」

「へえ」

「……アレ?」と、楢尾は気づいた。

「何?」

「俺いつもこんなに上手く喋れないのに、君話すのが上手いね」

「そう?」

「子供だから、緊張せずに喋れるのかも」

「何かバカにされた気分。まあいいや。で?」

「で、も何も、それで終わりだよ」

「うーん、だとすると、頭の中で一回言ってる言葉が、独り言になって外に出てるんじゃない?」

「え?」

「さっき『面倒なことになった、最悪』って呟いてその人怒らせたじゃん」

 固まったままの、殴りかかろうとしたヤンキー男をシンイチは指した。

「言ってないよ」と楢尾は言う。

「言った」

「言ってないって! そんな怖いことするわけないじゃん!」

「あ、そうか。……その自覚がないのが、妖怪『ぶつぶつ』なのか!」

「……俺、本当に言ってたの?」

「『面倒なことになった、最悪』って一回頭の中で思った」

「……思った」

「自覚せずに頭の内容が、ぶつぶつ外に出てるんだね! だからこの人こんなに怒ってると思うよ」

「……じゃ俺大学でもぶつぶつ言ったり、ぶつぶつ言ったことをもう一回言ったりしてるのか?」

「かもね」

「……それはキモイわ……」

 シンイチはこの妖怪を外す方法を考えようと、何気なく周囲を見渡した。

「うわっ!」

 時を止めた八両の電車。そこに座ったり立っている乗客に、妖怪「ぶつぶつ」に取り憑かれた人が、一人、二人、……十人もいたからである。


    3


 妖怪「ぶつぶつ」に取り憑かれた人は、次の計十一名。


 第一の男、コミュ障の大学生、楢尾好行。

 次に、ノートパソコンを広げてプレゼン準備に焦っていたサラリーマン。

 さらに、赤ん坊を抱えてやつれた、若いお母さん。

 ピンクの服を着てピンクの鞄を持った、何もかもピンクで固めたOL。

 告白の言葉をずっとぶつぶつ練習している大学院生。

 花の植木鉢にずっとぶつぶつ話しかけているおじさん。

 スマホばかり見ている中学生。

 亡くなった奥さんが隣に座っているという設定で、宙に向かって話し続ける老人。

 買い物袋に大根ばかりどっさり持ったおばさん。

 ジャージに身を包み、ランニングしようとしていたアスリート。

 山登りの格好で今日のルートのことをぶつぶつ言うおじさん。


 彼らはシンイチに最後尾の車両に集められ、それぞれ事情を話した。


 二人目のサラリーマンは、あと二日で、十億の仕事のプレゼンの為に膨大な資料作成をしなければならない。各方面の微調整も終わらないまま、ずっと企画書に書いてあるビジネスワードをぶつぶつ言っている。

 三人目の若い母親は、子育ての不満を延々とぶつぶつ言っている。夜泣きのこと、夫が協力してくれないこと、最近引っ越してきたばかりで周りが良く分からないこと。

 四人目のピンクで着飾ったOLは、困ったことがあると、独り言を言って誰かが助けてくれるのを期待する。「ボールペンがないわ」「じゃ僕のを貸してあげよう」「お財布忘れてきちゃった」「じゃあ奢ってあげよう」などのように。

 人生初の告白を控えた大学院生は、ずっと「付き合ってください」「あなたが大事なのです」「惚れました」「第一印象から決めてました」などとぶつぶつ試行錯誤している。

 花に話しかけるおじさんは、ずっと一人暮らしだそうである。花の病気が何か分らず、薬を塗っている最中だ。

「一人暮らしが長いと、独り言が増えるらしい」とネムカケが教えてくれた。

「オレの推測だけどさ」と、シンイチはここまでの観察で仮説を立ててみた。

「みんな何かやろうとして、でも上手くいかない感じを抱えてるんじゃないかな」

「どういうことじゃ」

「遠野の妖怪たちに取り憑いた、心の闇の感じに似てる」

「?」

「みんな……不安なんじゃない?」

「……ほう」


 七人目の中学生はひと言も喋らず、ずっとスマホのゲームをしている。ところがゲームの中では「殺せ!」「バカ!」「ダメだこいつ使えねえ」と悪口をいい続けている。彼はずっといじめに遭っていて、言われたことと同じ言葉をゲームの中で浴びせているのだ。

 八人目の老人は、奥さんが亡くなったばかりで、いつも彼女に語りかけていた癖が抜けないのだそうだ。

 九人目のおばさんは、不倫を告白した。誰にも言えないストレスのせいか、遠くに買い物に出かけては安いものをどっさり買っては料理するという。彼女はどこが安いかを、延々とぶつぶつ言っている。

 十人目のアスリートは、「セルフトーキング」を実践中だった。人間の体は、脳が「もうダメだ」と音を上げるギリギリは、まだ限界ではないのだそうだ。体を鍛えるには、それ以上自分を追い込む必要がある。そこで「もうちょっと俺は頑張れる!」「まだまだ調子は上がる!」「頑張れ俺!」「いける!」などと自分を鼓舞することで「思い込みの限界値」を突破するのだと言う。それをやり過ぎて、いつも「頑張れ俺!」とぶつぶつ喋るようになったらしい。

 最後の山登りおじさんは、登ったことのない危険なルートのシミュレーションばかりして、ぶつぶつが止まらなくなったらしい。


「なにかの重圧プレッシャーが、ぶつぶつの取り憑く隙間になったんじゃないかな」

 シンイチは総括してみせた。

「とりあえずさ、この最後尾車両は、『ぶつぶつ』専用車両にしよう! ちょっと待ってて!」

 シンイチはほかの固まったままの乗客を、「つらぬく力」で押して隣の車両に運びこみ、ここに至る扉を閉じた。車掌さんがこっちを見ているような気がして、ブラインドも閉めた。時を止めた、密閉空間が出来上がった。

「さあ! これでぶつぶつメンバーしかいなくなった! ここは安心していいスペースだよ!」

「何をするつもりなのじゃシンイチよ」とネムカケは聞いた。

「うーんとね、ぶつぶつ選手権」

「なんじゃそら?」


    4


 最初は静かだった。少し時間が経つと、皆独り言をぶつぶつ言い始めた。

「なんでこんな事やんなきゃいけないんだ?」

「こんな事してる場合じゃない。見積もりをAタイプBタイプ二種類つくんなきゃ」

「こんな人たちに母親の苦労が分かる訳がないでしょう?」

「早く帰りたいんだけど?」

「最初会ったときの君は、輝くような顔だった。いや、でした、いや、だったの方がくだけてるかな」

 花を持ったおじさんが突然大声を出した。

「きみたち、ぶつぶつうるさいよ!」

「はい? 何も言ってませんが」

「私もずっと黙ってたでしょ?」

「きみたち、ぶつぶつ独り言言ってたでしょう?」

「言ってないです」

「いや、俺以外の四人が言った」

「私以外の四人が言ったのよ」

 と、他の人たちもぶつぶつ言い始めた。

「うぜえな。おっさんメンドクセ」

「お前もそう思うのか。わしもそう思った」

「不倫の秘密なんて喋るんじゃなかったわ。皆私をそういう目で見てるわきっと」

「俺はまだやれる。やるぞ。やるぞ。やるぞ」

「八合目までのルートが決まらん。山中で一人泊は危険かなあ。土日潰すしなあ」

「あんたたちもうるさいよ!」と花のおじさんがまた注意する。

「俺何も言ってないって」

「言ったろ!」

「ああうぜえ」

「また言った!」

「言ってないし!」

「私以外の全員がぶつぶつ言ってるんでしょ!」

「俺以外の全員だよ!」

「わししか黙っていないじゃないか!」

「ぶつぶつぶつぶつうるせえよみんな!」

「もう! 全員がうるさい!」

「うるさい!」「うるさい!」「うるさい!」

 全員が、ハッとなった。

「やっとみんな、自覚したようだね」

 シンイチは皆の中に歩いていった。

「自分だけが静かだと思ってたんじゃない?」と、中学生から借りたスマホの録画を見せた。十一人が全員、ぶつぶつ言っていた。

「デジタル映像に妖怪が写らないのが残念! アナログなら写ってたのに!」

 十一人はショックで黙り込んでしまった。楢尾は口を開いた。

「じゃあさ、どうすりゃいいんだよ? みんな不安で、プレッシャーに負けそうで、しかもぶつぶつ言ってることを自覚してさ、どうすりゃいいんだよ?」

 シンイチはあっけらかんと笑った。

「みんな友達になればいいのさ!」

「はあ?」

「要するに、みんな、自分の能力以上のことをやろうとしてるんだ。だからプレッシャーがかかるんだよ!」

「……お前、子供の癖に嫌な所を突くな」

「一人暮らしに独り言が多いんでしょ? きっとしゃべる友達が少ないからだよ! プレッシャーがかかったらさ、喋ればいいのさ! オレだって不安だったら、ススムやミヨちゃんやネムカケに、『どうしよう?』って話すよ! だからみんなで喋ればいいじゃん! たとえばメル友になろう! 喋れない人も、メールなら出来るじゃん?」

「そんなに簡単に解決するなら苦労しねえだろ」とサラリーマンが言う。

「その友達をつくるってことがそもそも出来てねえ」と楢尾が付け加えた。

「だからこの場で、友達になればいいんだよ!」とシンイチは笑う。

「ハイ握手! ハイ名前!」

「あ、楢尾です。大学生です」

「佐田と言います。電報堂です」

「新川です。この子はさくら」

 こうして、十一人の「プレッシャーな人」は自己紹介をはじめ、無理矢理シンイチに握手させられて雑談をはじめた。誰かの不安を解消するため、どうすればいいか、知恵を出し合った。それぞれが立場が違うものの、共通する気持ちがあったからだ。

「何を言っていいか分らない不安」

「プレゼン準備が足りてない不安」

「赤ん坊を育てる不安」

「自分が可愛いかどうか不安」

「告白の成功が不安」

「花の病気が不安」

「いじめられる不安」

「奥さんを亡くした不安」

「不倫してる不安」

「体づくりの不安」

「登山の不安」

 つまり、不安という共通点である。


 楢尾は言った。

「みんな、形はどうあれ不安で、それにプレッシャーを受けてるんだ」

 シンイチは笑った。

「そういうことだね! じゃメールアドレスを交換しよう! この紙に書いて!」

 シンイチはノートの切れ端を渡し、十一人の署名を集めた。

「なんか、みんな違う字で面白いね」

 十一個のメールアドレスが手書きで書かれた、それは何かの旗印のようでもあった。

「ぶつぶつ言いたいときはここに書きこんで! 誰かが答えてくれるよ!」

「なんか、キミに丸めこまれちゃった気がするけど」と楢尾は言った。

「君と話してると、なんだか気が楽になるよ」

「そう?」

「うん。ははは」

 楢尾はふと笑った。

「これで、オレたち友達!」とシンイチは旗印を上げ、旗のように振った。

 みんなの眉間が楽になった。その途端、妖怪「ぶつぶつ」は外れた。


「火の剣、小鴉!」

 シンイチは腰のひょうたんから小鴉を出し、腰溜めに構えた。

 シンイチは天狗の面を被ると天狗の力が増幅する、てんぐ探偵である。

「十一匹の心の闇か……!」

 今度はシンイチにプレッシャーがかかる。一匹も逃がしてはならない。天狗の炎が巻き上がる。天狗の面を見た妖怪「ぶつぶつ」は、逃げる者もいれば逆に襲い掛かろうとする者も現れた。

「つらぬく力!」

 シンイチは指の先から「矢印」を出し、一体一体串刺しにして中空に固定した。そのうち一匹が、自分の顔の小豆大の「ぶつ」をちぎってシンイチに投げつけてきた。

「危ない!」とネムカケが警告する。

 シンイチは受け止めずに避けた。シンイチを外したその妖怪の一部は、うしろの壁にぶつかり、ジュウと言う音と煙を立てて壁を溶かした。

「強酸性かも知れん! 大風を!」とネムカケが指示を飛ばす。

 シンイチは天狗の葉団扇を出した。「ぶつぶつ」達は、自分の体のできもののような「ぶつ」をちぎっては一斉に投げてくる。

「逆巻け! 天狗風!」

 ひと吹きで、大風が彼らの攻撃を逆流させた。

「今じゃ!」

ネムカケが勝機を告げた。シンイチは突風の中を走り抜けた。

「一刀両断! ドントハレ!」

 十一体の妖怪「ぶつぶつ」は炎の剣に一刀両断され、清めの塩となった。


 時を止めた電車は、再び動きはじめた。十一人は再会の約束をしつつ、それぞれの駅で降りていった。早速楢尾のケータイに一通のメールが届いた。楢尾はずっと考えて、一文字一文字打っていた。大学院生の告白が、この一時間後にある。みんながそれぞれのアドバイスをしはじめ、上手く行かなかったら集まって慰めようという話まで出た。


 人には、言葉が達者でぺらぺら上手に喋れる人と、なかなか喋れない人がいる。喋れないからといって、考えていない訳ではない。言葉という道具に、習熟していないだけなのだ。彼らは多くの沈黙の中に、多くの熟考を秘めている。

「何も考えずぽろぽろ喋って大炎上する阿呆もいるがな。沈黙を知れって話じゃ。沈黙しすぎても、沈黙しなくても良いことないとは、人間とはまことに厄介じゃのう」とネムカケは人間を評した。

 そしてシンイチとネムカケは、またも暖かな日差しで居眠りをはじめ、乗り過ごして劇団の稽古に遅刻した。



     てんぐ探偵只今参上

     次は何処の暗闇か






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