第20話 アスペよりヤバいぞ!二次障害!

 これまでアスペルガー症候群の症例についてつらつらと書いてきましたが、タイトルにもあります通りアスペルガー自体は大して問題ではないのです。(こんなズタボロなのに大して問題ではないのか、とお思いでしょうが……)


 それ以上に大きな問題はアスペルガーが原因で生まれた社会や人間関係のこじれから二次障害という別の精神疾患を引き起こしてしまう事です。いわゆる「二次災害」というやつです。



 実際私も統合失調症と診断され、それに加えて強迫性障害やフラッシュバック(これはアスペルガーの症状かもしれませんが)の自覚もあります。

 何もかも上手く出来て当たり前、出来なきゃクソだ。という考えに押しつぶされそうになったことも数えきれないくらいあります。第17話で申し上げた「たった99点しか取れなかった」というやつです。


 こうして小説も書いてますがヒットして当たり前、出来なきゃクソだという重圧を自分でかけて自分で押しつぶされそうになっているというまるで自分で自分の体をナイフで切り刻んでいるような事を普段からやっております。


 また本人だけでなく周りの人たちも疲れきってしまって不眠などを訴える「カサンドラ症候群」という状態になってしまうのも大きな問題です。こうなると本人だけでなく家族総出で心療内科にかかる必要が出てきます。



 とにかく自分であれ他人であれ、疑いがあったら早めに心療内科を受診することをお勧めします。「何か知らないけどコミュニケーションが上手くいかない」という日常で感じる不快感が「発達障害という病気のせい」に変わるとかなり楽になります。

 私自身「ああこれはアスペルガーのせいだな」と、悪く言えば「押し付け」が出来る様になってからはずいぶんと楽になりました。


 こう書くと「病気のせいにするのは逃げなのでは?」と思われるかもしれません。ですが逃げなければいけないときに逃げないのも問題です。

 例えば家が火事になった時に家屋全体にまわって燃え盛る火炎を目の前にしておきながら「逃げるのはカッコ悪い事だ!」と逃げるのを拒否したら焼け死にますよね? ですので逃げなければならないときに逃げないのも「逃げ」です。

 大事なのでもう一度言います。逃げなければならないときに逃げないのも「逃げ」です。



 私ももしアスペルガーへの押し付けが出来なければ「自分はなんてダメなやつなんだ」と自分を責め続けて限界を超えて一足早く自らの手でこの世を去っていたでしょう。

 日本がアメリカ並みに銃が簡単に手に入る世の中だったら、間違いなくもう何年も前に自分の頭を自分で撃ち抜いていたでしょう。少なくともこんな文章を書くことは無かったと思います。

 つくづく銃の無い社会である日本に産まれて幸運だったなとは思っております。


 実際、私のケースですが発達障害を持っていると成功体験が人より少なく、また失敗体験が人より多くなる傾向が強い(客観的に見れば合格点でも自分がダメだと思ったら失敗になる)ので、自分の事がゴミクズのように思えてしまい、

「自分は何の価値も無い。生きていようが死んでいようが社会に何の影響も与えられない」

「何のために生きてるんだろう」

 等と思い始めて最悪の事態をやらかしてしまうかもしれません。


 だから、逃げてもいい。死ぬくらいなら逃げろ。生きてれば何とかなるから。と言っておきます。


 というか統計取ってるわけではないので当てずっぽうかもしれませんが、発達障害がまだ広く認知されていなかった昔はこれが原因で自殺したり、そうでなくてもうつ病になった人って統計が取れてないだけで結構いたんじゃないかと邪推しております。

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