転生したらトラックだった件 ~魔物を上手に轢(ひ)けるかな? 奴隷エルフ幼女と征く無双ダンプカー異世界スロードライブ~

おかゆまさき

【1話】 全長9メートル、幅2,5メートル、高さ3メートル、重さ11トンの俺

 トラックに轢かれて異世界転生したら、俺がトラックになっていた。


 

 なにが起こったのか、俺にもわからないが、

 とにかく落ち着く時間だ。


 


 俺は今、美しい森の中で、アイドリングしている。


 


「おっと、やべぇ!」


 

 たしか停車中はなるべくアイドリングストップだったな。


 あぁ~、免許とっといてよかったー。


 


「不幸中の幸いってやつか」


 

 いや、そうじゃない。


 


 困った。


 


 これは予想外すぎる。


 

 布団に入って眠るとき、様々な夢想にふける俺だが、

 こればっかりは予想だにしてなかった。


 

 まさか、

 俺が『機関車トー○ス』みたいな存在になってしまうなんて。


 トップハム○ット卿もいないのに。


 

 ……巨大な俺の顔、フロントについてないだろうな。


 

 俺は、すぐ側にあった澄んだ池をのぞき込む。


 

「セーフ。どこからどうみても、トラックだな。よかった」


 

 全身トラックな上に、俺のメガネフェイスが大きく前面に押し出されていたら、

 決定的にモンスター扱いされる所だ。


 


 ともかくこの森を少し移動してみよう。


 

 エンジン、スタート。


 

 ぎゅんるるる、ふぉす、ふぉす、ずもももももも


 

 え? 気持ちいい!?


 

 このままどこまでも、走っていきたい!

 重いもの、運びたい!


 

 出発しんこーう!


 

 お゛お゛お゛お゛おんっ! お゛んっ! お゛お゛お゛おおおおん! 


 

 別にニャン○ゅうがお姉さんに尻を掘られて絶叫しているのではない。


 俺が森を走っているのだ。


 

 お゛お゛お゛お゛おんっ! お゛んっ! お゛お゛お゛おおおおん! 


 

 ん?


 

 前方に、第一森人発見!


 こっちに走って来る!

 走るのって、きもちいいもんな!


 俺は車高が高いから、視界が広いぜ!


 


 あれ? 第一森人、俺を見あげて、へたり込んだ……?


 


「はわわわわわー!(しょわー)」


 


 しかも失禁!?


 

 よく見れば、森人は耳の長い、エルフ幼女ッ!?


 

 異世界、ありがとう。


 

 これだけでもう、我々には充分なご褒美です。


 

「大丈夫かい? エルフの幼女さん」


 

 俺は優しく声を掛ける。


 


「た、た……たすっ、たすっ……け……!」


 

 おや……?


 

 おもらしエルフ幼女は、そのまま這うようにして、おしりをこっちに向けて遠ざかる。

 サービスかな?


 

「あっ」


 


 エルフ幼女の動きが止まる。


 

 そこに、オークの集団がいた。


 

 もしかして、このエルフ幼女は、このオーク集団に追われていたのか?


 

 ガタイのいい、サイの様な肌の質感。

 革の鎧と斧で武装したオーク達が、エルフ幼女を指さし、なにか叫ぶ。


 

 それからなにか違和感に気づき、ゆっくり、そのまま俺を見あげ。


 

「「「「「はわわわわわ!(しょわー)」」」」」


 

 全員失禁!


 

 お゛お゛お゛お゛おんっ! お゛んっ! お゛お゛お゛おおおおん! 


 

 別にオークの集団失禁シーンに、ニャ○ちゅうが興奮したわけではない。


 

 俺はそのまま、エルフ幼女を迂回し、オーク達を轢いた。


 

 ぐもももももももーッ!


 

「あばよ! 来世は精々、俺のようなハンサム存在に転生するんだな!」


 

 今考えた決めぜりふだか、幼女はおきにめしただろうか。


 

 俺が振り向くと、幼女エルフは気を失っていた。


 


「スーパー介抱タイイィィイイムッ!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る