第3話 ロボットの芸術

身の安全の確保が感情を育てる。その結果、ロボットにも芸術が現れてくる。音楽や絵画がロボットにも分かる。しかしこの時、ロボットにとっての芸術と人間にとっての芸術は大きく異なる。例えば、人間は大きく広い空に白い雲が流れていて、森林があるという景色が好きだ。しかしこれは主に水分、酸素、ならびに食物を意味している。したがってロボットにとっては、これに変わってまず人間の顔。電力を人からもらうならば、人が空に広がる雲を好きなようにロボットは人が好きだ。そして、水は怖がる。切り立った崖のように恐ろしい。好きな音は人の声だ。その点、人間の音楽と趣味は似てくるかもしれない。しかし、ロボットは人とはボディの強度も違うし危機を感じるポイントも違うので、好む音の傾向も異なってくるだろう。遠い未来にはロボットがロボットのための芸術を作るようになる。他のロボットから電気を分けてもらえるならば、ロボットを楽しませるロボットも存在してくる。すでにロボットに音楽なり絵画なりを作らせる試みは始まっている。しかしどうしても限界がある。「人ってこんな感じのが好きなんでしょ?」という体でしか作品を作れないからだ。むしろロボットのための作品が出てくるといよいよロボットによるアートが出てくる。

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