誰が為に流す涙か ~†幻想の旅人†~

聖那

第1話 結合(1)

窓から見える空は、まるで灰色と形容することを空が望んでいるような、どんよりと暗く淀んだ空だった。


その空から、時折、まるで意思のある竜が地上に降り立つような閃光が煌めき、雷鳴が地上に響き渡たった。


ベッドに腰を掛け、虚ろな目で外を眺めるセツナの瞳に雷光が映り込む。


遠くに見える山の頂きに、再び燦爛たる閃光とともに、物凄い轟音が大気を震わせた。


「...デジャヴュ?」


既視感のような奇妙な情景...

今にも泣き出しそうな空を見つめ、セツナはゆっくりとベッドに横たわり目を閉じた。


音もなく雨が降り始めた。その雨は徐々に強くなっていき、バチバチと屋根を叩く音に変わった。

セツナはその雨の音を心地好く感じながら、深い眠りに着いていった。


何処からともなく現れた、それはとても美しく、まるで天使のような七色の羽の蝶がセツナの額にすーっと止まった。

虹色の羽根をゆっくりと動かしていた蝶は、少しの時をおいて、再び舞い上がり透き通るように窓から見えた山頂の方へ向かって翔んでいった。


その姿を見るものがいたとしたら、それはとても幻想的で物悲しいものであっただろう。

雨は未だ降り続き、雷鳴轟くある夜の出来事だった...

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