《無課金》の勇者
水野〆
第一章『不運の脱却』
プロローグ『たった一回』
手は震えていた。心臓は堪えず大きく鼓動している。
喜び、悲しみ、怒り--周りの喧騒の中ではさまざまな感情が見え隠れしていた。
俺は先頭から数えて十番目程の位置で今か今かとその瞬間を待ちわびていた。
《
今回はきっと違う!と願い、俺は列に空いた間を埋めるため足を動かす。
真後ろでは屈強そうな男二人組が自慢の装備を暇潰しに磨きあげながら、今日のレアアイテムについて話していた。
「今回、新規で追加されたレアアイテムはスタン効果付きの双剣だって噂が流れてるぜ」
「まじかよ、お前にぴったりの武器じゃん!お前、今回はいったいいくら課金したんだよ」
「ざっと五百万
「ひっ!五百万!」
「えっと、精霊石一個が一万
「百連!?」
と大きく声をあげてしまったのは俺だった。周りに奇異の目で見られたので軽く謝りその場を落ち着かせる。
--しかし百連なんて、すごすぎる。
五百万
そうこうしているうちに列はかなり前に進み、いつのまにか俺の番になっていた。
俺は持っていた《
カチッと音が鳴り、レバーのロックが解除される。
--チャンスはたった一回。
俺は緊張と共にレバーを両手で掴み、回した、そして--
--《
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます