シンデレラの教訓

「何か、彼女がその日、9時以降はダメだって言い出してさあ」


「え、何だよ、それ。泊まりはナシってことか?」


「そうらしい」


「でもそんなの無視でいいんじゃねえの? どうせどうしょうもない用事だろ。みんな来るのに、一人だけ途中で抜けるなんて冷めるじゃん」


「だよな。まあ、何だかんだでみんな引き止めるから、帰れないだろうとは思うけどさあ」


 と、男子学生二人が話しているところに、どこのモデルかと見まごうような女性がハイヒールを鳴らしてやってきた。そして二人の肩を掴んで振り向かせ、


「シンデレラの話は知ってるよね? じゃ、例えばさ――あの話の中で、王子様がシンデレラといたいがために、お城の時計を止めて、真夜中の鐘が鳴らないようにしたらどうなってたと思う?」


「え、お姉さん誰――」


「どうなってたと思う?」


 彼らの質問を無視して、女性はサングラスをずらし、にっこりと笑う。男子学生は、


「どうなるっていうか……魔法が解けて元の姿灰かぶりに戻っちゃうんじゃ……?」


「正解」


 女性はそう言うと、彼の頬に軽くキスし、真っ赤な口紅をつけた。そして、ぼうっとしている男子学生に、


「女の子はみんなシンデレラなのよ」


 そう言い残すと、踵を返し、颯爽と人混みの中へ消えていったのだった。

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