メインよりもモブが愛おしい!
しゅら
プロローグ 前半
第一印象とは今後の関係をも左右する非常に大事なものだと俺は思う。
例えば、初対面の二人が居たとする。片方は凄く友好的だが片方は凄く敵対的だった場合、恐らく大半は友好的な方に好印象を持つだろう。
この出来事だけで敵対的な方には悪いイメージが定着し、以降も関わりを避けるのが普通だ。
まあ、結局何が言いたいというとだ。俺こと阪上 孝一は、高校でモテるため冷静沈着で全く話さないクールなキャラを演じた。その結果、地味で根暗で「え、お前いつから居たの?」とか言われる陰キャラが確立してしまった。
俺は見事に失敗したのだった。
ちなみに俺は不細工ではない。
しかし、イケメンでもない。
後、背は低くはない。
しかし、高くもない。
軽くまとめてみると、入学当時から今現在、三年生までずっとクラスでは浮いた存在だ。孤独だ。俺は俗にいうぼっちなのだ。
時計の針が終了の時刻を指し、チャイムが鳴り響く。今日も空気としての一日を終えて、やっと家へと帰れる。
俺は廊下で盛り上がる者たちの会話を聞かないように、視界に入れないように足早に玄関を出て行く。
しかし、足早に帰宅を急ぐ理由はまだある。
今日は、注文していた新作のギャルゲームが自宅に届く日なのだ!
ギャルゲームを元々好きだった訳では無い。自らのキャラの確立に失敗して、リアルでの人間関係が絶たれた時、
この穴を埋める事が可能なのはゲームだけだと俺は思った。
まあ、そんな訳で、俺はいつもより急ぐ形で家へと向かう。
家との距離が近くなるほどに、気持ちは高まり更に歩く速度が増していた。
というか既に歩行を通り越して、ランニング状態だった。
しばらくそんな状態が続き、やっと家がハッキリと見える距離に来た。後は手前の信号を渡り、直線を進むことおよそ100メートル程度の距離で家に到着するはずだった。
そう俺は、何故か今日に限って信号が長いことに苛立ち、車の状況も確認せず飛び出したのだ。
今、思えば軽率だった。
その直後、車が俺に突っ込んできた。
詳細は知らない。
ただ一瞬で、目の前がすぐ真っ暗に、暗闇に覆い潰された。
儚い人生だった。
俺は死んだ。
そのはずだった。
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