第31話 陣痛でござる!2

 さて、15分間隔になってからも長い事長い事。

 看護師さんが前より頻繁にやってきて、ちょっと背中さすってくれたりして。


「椅子に座ってるより、寝てた方が陣痛の進みが良いかもよ。骨盤に引っかかって子供降りてこないのかも。」


 ……なんですと?

 もっかいリポ○飲んで、寝てみたら、イデデ!

 仰向け苦しいから、横向きで寝たら固いもんに足の付け根が当たって痛い!

 まあ、その固いのって、赤子の頭蓋骨なんだけどね!

 胎児もいい迷惑だよね、足の圧力加えられてさ!

 横になりつつ、ベッドの転がり落ちガード?横の柵に足あげて股おっぴろげ~のガニ股でうんうん唸る。

 結局10分間隔になったのって、夜10時位になってからでしたかね~。


 もう唸りすぎて、すっかり喉痛くなってましたし、睡眠不足で意識朦朧。

 助産師さんがやってきます。


「内診します。」

「ズボンはもう脱いでいてね。」


 長上着のパジャマ着てて良かったよ。

 妊婦用の上だけで着れるタイプにしていなければ、パンいち晒すとこだったよ。

 足が冷えるんで、太ももまで覆うロングレッグウォーマーも付けてるから、パンいちってわけでもないけど。

 セクシーかと思う?

 マタニティパンツにベージュのレッグウォーマー。

 色気の欠片もありませんがな。



「どうにか今日中に生まれそうですね、陣痛室へ行きますよ。」

「は、はいい~」


 名前は正確には覚えてませんが、入院の部屋と、分娩処置室の前に、陣痛が5分間隔になるまでを待つ陣痛室ってのがあるらしいです。

 部屋を出る前に、マウスピース装着。

 噛みしめが強くなるだろうからね!マウスピースしなかったら、ぜったい歯の詰めたとこ欠けちゃうからね!



 車椅子に乗せられて、移動~。


 そこでやっと先生が登場です。


「痛みは強くなった?」


「なりました~。」


「障子の桟見える?」


「見えます~。」


「んじゃまだかな~、陣痛の時の痛みで、障子の桟も見えなくなるって言うからね~。」


 んなアホな。

 痛かろうが何だろうが、見えるもんは見えるわい。

 見えなくなるのは、めまいとか立ちくらみとか、目をつぶってる時だろ。


 脳内突っ込みしつつ、またしてもうんうん。

 機械を付けられて、計測して、内診も。


「子宮口、7cmくらいですね。」と助産師さん。


 あ、病院にも助産師さんはいます。

 看護師さんが、助産師資格を取ってるって感じっぽいです。

 見た目はどっちがどっちかわかりませんけどね。あの病院、制服の違いとかありませんでしたし。

 内診が出来るのは助産師さんなんだとか。


「子宮口の開き具合って、どうやって計ってるんですか?」


「指1本入ると、1cm、2本で2cm、あとはピースしてその指の開きで計るの。」


 2センチ以上は、指の感覚による職人技らしいっす。

 けど訓練してるから、誤差はほぼ無いらしいっす。


 「そろそろこれに着替えてね。」


 分娩用の服にお着換え。

 白くてひざ丈くらいの病院着みたいなパジャマみたいな奴です。 

 またしても横になって、ベッドの横にある柵に足を掛けてうんうん。


「子宮口8cm位になりましたね。そろそろかな。」


「ぐううう~~~。」


 なんか、膣にもりっと~!なんか出てきた!!これ頭?!


 バン!


 股でゴム手袋みたいな厚みのある物が破裂した!と思ったら、ジョバ!!と大量の液体が一気にバケツひっくり返した様にマンコから噴出!

 頭と思ったあれ羊膜だったー!

 腿が生ぬるい!



 破水キタ―――――!!!


 痛みも増した―――――!!!!!!



 どっこい障子の桟は見えるぞおい!

 もっと痛くなんのかよ!いい加減にしろゴラア!


「アガガガガガガ!!!」


 股関節にものすごい圧迫感!

 足の付け根のスジをギリギリペンチで挟まれてる?!ウギャアアアアアアア!!!!


「分娩室に移動しましょうね。」


「ひぎぎ!いでででで!」


 車椅子は座るのが無理だったよ!

 膣奥に異物の痛みがあるからね!

 中の人の頭蓋骨がゴリゴリ骨と肉に挟まって、盛り下がってる激痛があるからね!

 座ったら子が子袋に戻る痛みが有るからね!

 助産師さんに両脇抱えられて、気分は捕まったエイリアン。

 ガニ股歩きで、隣の部屋へGO!


 

 無影灯が眩しいぜ…。 

 あ、無影灯って、手術室のライトの名前ですよ。


 やっと分娩室へ入場です!



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