第13話 「ほわああああ!」 やった、第二部完・・・

 台風がゴウゴウ近づく中。

 お産もケンケンやかましく、進みます。


「うううー!!」


「はい、上手だよ~、もう一回いきんで!思いっきり!」


 股に挟まってる感覚はあるんだよ!

 今度こそぉおおおおお!

 思いっきり噛みしめてぇ!!

 けど、目はつぶるなよ!目じりの辺りの皮膚の毛細血管切れるぞ!


「んーーーーーー!」


 膣やら膣口やら大陰唇やら小陰唇があがが!限界まで~伸びて~~~ブチ!!!


「出たよ頭!」


 頭が出たら、後は簡単。ドゥルン!とでっかいぬるぬるが腹から引き抜かれた感覚とともに、太ももの内側に大きい塊を感じる。



「ほえあ ほえあ ほえあ」



「お疲れさま~!頑張ったね~。明るいうちに産めたじゃない。」


 あ、明るいっけ?

 薄暗い夕方だけど

 まあ、真っ暗ではないか……。




 子供が産まれたら、感動すると思ってたか?

 あれは嘘だ。




 はーーーはーーーはーーー。

 もう瞼を動かす気力も気もねえよ……。


 拷問から解放されたばかりの人間には、情動なんかねーぞおい。

 疲れて体力消耗して、グッタリして動きたくねーわ。

 感情を表すには体力がいるわ。

 目をつぶってぼーっとしてると。


「はい、旦那さんへその緒切って」と聞こえる

 で、ヘソの緒切られた赤子が胸の上に。


「はい、赤ちゃんだよ~元気だよ~」


 ばあ。


 中の人が外の人にご対面。

 はだけた胸の上にうつ伏せで乗せられます。

 カンガルーケアですね。

 産まれたてですが、拭いていないけど、血まみれじゃありません。

 実はトラブルのない自然分娩だと、赤んぼは血にまみれてないんですね。


 顔は出川○郎ソックリ。

 うん、上の子も出川だったけど何か?

 あと他にも何かに似てる。

 毛がいっぱいの里芋だな。

 角栓みたいなのが鼻の頭にいっぱいポツポツ頬にも少し。

 鼻皮脂っていうらしい。

 良く充実した胎児に出来るんだと。

 上の子の時は知らなくて気にしたな。



「ほあ!ほあ!」


「上の子呼んでくる」

 と、夫。


 ……うん?聞き捨てならんことが。

 今呼んでくるってことは、産まれるところ、見てなかった?

 何のために付き添わせたんだよ!おい! 夫ェ~!

 後で問いだたさんと。


「ママー、赤ちゃん出た?」上の子


「…………」返事が無い。ただの出産後の母体の様だ。


「ほら、赤ちゃんだよ~」夫


「ほわああ……」赤子



 赤んぼ泣きやみましたね。



「足広げてね~シート取り替えるよ」

「ちょっと気持ち悪いけど我慢してね、中に入れるよ~」


 助産師さんたちが後産処置を開始します。




 血濡れになるのはここからだゾ☆





 あと、タイトルの第二部完は2番目の赤子だからです。

 ほっとしといてなんだけど、産まれた後の方が、大変なんだけどね!

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