第13話天然石幸せのレシピ

【Lapisの工房】


「オーナー。最近お客様がたくさん来てくださるようになったので、こんな物を作ってみました」


「天然石幸せのレシピ?」


「セッションをなさらないお客様は、お時間があまり取れない方もいらっしゃいますので、レシピを書いて頂ければ早く対応出来ると思ったんです」


「なるほどね…本当は全てのお客様とセッション出来ると良いんだけどね」


「試しに書いてみてください」


「僕のレシピ?そうだな…」


☆天然石幸せのレシピ☆


お名前 年齢



身体の不調など気になる所



精神的な悩みや心配事など



ご希望の願い事



好きな色


嫌いな色



ご希望の石が有ればお書きください



~Lapis~


名前、天空路遊、年齢30歳。


身体の不調、特に無し。


精神的な悩み、特に無し。


「ご希望の願い事ねえ…?結婚かな?」


「フフフ」


「あ、笑ったな。そろそろ結婚しないと親達がうるさいんだ」


「私の家もそうです。もう半分諦めてるみたいですけど」


「そうだよな「早く孫を抱かせて」って言われる」


「同じですね」


「麻友さんの子供なら、きっと可愛いだろうね」


「え?あら、オーナーの子供も可愛いでしょうね」


「じゃあ、結婚しちゃう?」


「遊ちゃん。冗談ならやめて」


「ごめん…」


怒られちゃった。


半分本気なんだけどね。


こういう時の麻友さんは、昔のまんまだな。


本当、まるでお姉さんだ。


「最後まで全部書き込んでくださいね」


「あ、えっと…好きな色か」


好きな色は、白、緑、赤。


嫌いな色は、特に無し。


ご希望の石ね…たくさん有り過ぎて、どれが良いかなあ?


???にしとこ。


「これ、セッションのお客様には、記入して頂いてもカードリーディング終わる迄僕には見せないでね」


「はい、承知しています」


「僕のはこんな感じ。これ、スタッフ全員書いてもらおうかな?」


【Lapisの売り場】


「へー、天然石幸せのレシピですかぁ」


「私達も書くんですか?」


「オーナーがね「スタッフ全員書いてもらおうかな?」って」


「書いたら作ってもらおうかしら?」


「私は、この前作ってもらったばっかりですぅ。きっと同じようなのになっちゃうから、また今度にしますぅ」


「私はまだ一度も作ってもらってないの」


「そうだったわね」


「麻友さんは作ってもらったんですよね?」


「この前初めてね」


「そうなんですかぁ?皆さんもう何度も作ってもらってると思ってましたぁ」


なんだか皆んな楽しそうだね。


麻友さん、良い物作ってくれたな。


こういうきめ細かい気遣いが彼女の魅力なんだよな。


だから、la merからLapisに来てもらったんだ。


正解だったね。


【工房】


今日はリングを作るかな?


あ、でも僕は不器用だから、小さな石はよけい無理。


デザインだけ考えて、スタッフに作ってもらおう。


由良ちゃんなんて、凄く器用だもんね。


だから採用されたのかな?


「お兄ちゃん、私のレシピ」


「どれどれ?」


☆天然石幸せのレシピ☆


お名前、明日美春陽、年齢23歳。


身体の不調など気になるところ、特に無し。


精神的な悩みや心配事など、引っ込み思案。


ご希望の願い事、恋愛祈願。


好きな色、ピンク、グリーン。


嫌いな色、特に無し。


ご希望の石が有ればお書きください、可愛い石なら何でも。石は皆んな好き♪恋愛なら勝負運の有るピンクタイガーアイ。


~Lapis~


「そんな感じですけど…」


「恋愛祈願ね、ピンクが好きだし、色々チョイス出来るね」


「恋愛をサポートする石は、ピンク系が多いから迷ったんだけど」


「春陽ちゃんの周りには、いくらでも素敵な男の子居るのに」


「たくさん居なくて良いの…1人だけで良いのに」


「意中の人が居るのかな?」


「(もう、お兄ちゃんの鈍感)」


「春陽ちゃんは、意外と内気なところも有るからな」


「そのレシピで、私のブレス作ってください」


「了解」


「(お兄ちゃんにガーネット持たせようかしら?それともピンクオパール?)」


「タイガーアイのマゼンタが希望?」


「うん。ライバル多いから」


「なるほど…ちょっと石のエネルギーを感じてみて」


タイガーアイ、マゼンタを春陽ちゃんの左手に何粒か握らせる。


「少し強めだけど、大丈夫かな?」


「大丈夫。たくさん有るとキツイ色目だけど、こうやって少し手に取ってみると、素敵なワインレッド。私、この石好き」


「OKわかった。春陽ちゃん、休憩行っておいで」


「はい…」


「ブレスは、作っておくからね」


「うん!じゃあ、休憩入ります」


春陽ちゃん、最近はそうでもなくなったけど、昔はもっと引っ込み思案だったよな。


大人になったね。


でも、本質的な性格が大人しいわけだから、無理してるのかもな。


さて、春陽ちゃんのブレス、作りますか。


恋愛祈願の石はたくさん有るけど、どれが良いかな?


マゼンタに合う色合いの石…


この辺りかな?


女性の魅力を引き出すのはやっぱり、ローズクォーツとマザーオブパールでしょう。


デザインボードに並べてみようか。


8mmタイガーアイマゼンタ×6


8mmローズクォーツ×6


8mmマザーオブパール×6


6mm水晶×6


「オーナー、レシピ書けましたぁ」


由良ちゃんだ。


「あ、可愛い。ピンクの石可愛いなぁ」


由良ちゃんのレシピはどんなのかな?


☆天然石幸せのレシピ☆


お名前、篠崎由良、年齢20歳。


身体の不調など気になるところ、胃腸が弱い。


精神的な悩みや心配事など、特に無し。


ご希望の願い事、健康。


好きな色、ピンク。


嫌いな色、黒っぽいの。


ご希望の石が有ればお書きください、シトリン、シトリン、ぜーったいシトリンちゃん!


~Lapis~


「ハハハ、本当シトリン好きだね」


「はいー。好きですぅ」


「シトリンのブレス作ったばっかりだから、仲良くなるまでしばらく他のは良いよね?」


「そうですねぇ、もっと仲良くなりますぅ」


「了解」


「それじゃぁ、売り場に戻りますぅ」


ではでは、デザインの続きをしましょうか。


ローズクォーツの間にマゼンタをいれる。


その隣は、マザーオブパールの間にマゼンタを入れるか。


そうやって、交互にローズクォーツとマザーオブパールにマゼンタを挟んだ形にしてみるかな?


「それ、私のブレス?」


「そうだよ。もう帰って来たの?」


「気になって、急いで帰って来ちゃった。休憩時間終わるまで見てても良い?」


「勿論」


「ウフフ」


「このデザインで作ろうと思うんだけど」


「お兄ちゃんの選んでくれた石、私の好きな石ばっかり」


それは良かったね。


「じゃあ、石を選んで」


「はーい」


春陽ちゃんには余計な説明はいらないね。


ちゃんとエネルギーを感じながら、必要な数の石を必要なだけ選んだ。


この春から働いてくれているんだけど、随分慣れて来たよな。


「出来上がるのが楽しみだわ」


「タイガーアイのマゼンタが入るから、少しエネルギーは強めだけど、他の石は皆んな優しいし、水晶が調和してくれるからね」


「私のエネルギーそんなに弱い方じゃないんですよね?」


「うん。だから、石酔いの心配は無いと思う」


「(マゼンタはどうしても入れたいの)」


「マゼンタ。春陽ちゃんの恋のサポート頑張るんだよ」


「ウフフ(何にもわかって無いんだから)」


「出来た。浄化するともっと綺麗なワインレッドとピンクの部分が出て来るからね」


「うわぁ、ありがとう!待ち切れないから、お家で自分で浄化します」


喜んでくれて良かった。


【Lapisの売り場】


売り場に戻ると…何だ?


賑やかだなあ。


宴さん達が来て、なにやらワイワイと嬉しそうだぞ。


うちのスタッフ達も混ざってる。


本当に女性が集まると賑やかだなあ。


「雅様。体調はいかがですか?」


「ちょっと、つわりがキツいけど、今日は気分が良いから来たの」


「この石を握ってみてください」


タイガーアイはエネルギーが強めだから、マゼンタを少しと水晶も一緒に渡してみる。


「可愛い色…何だか気持ち良い」


「マゼンタと言う色は、下垂体と松果体のバランスを整え、そのホルモン系全体を調整します。つわりの時期の朝の吐き気を克服する素晴らしいカラーだそうです」


「そうなのかあ、何か少し楽になったみたい?」


「この石オタク、朝って言ったよね?今朝じゃないよ。思い込みじゃないの?」


「もう、素子ったら」


「雅が気分が良いって言うんだから、良いじゃない」


「朝が辛いのよ」


「でも、妊娠して良かったね」


「この前作ってくれたブレスの効果だと思う」


「そのままお産の時のお守りにもなりますよ」


「そうなのよ!前に説明聞いて覚えてる」


「お産の時は持ち込めないんじゃない?」


「それもそうね」


「病室まではOK」


「仲良くなった石は、身につけてなくてもそばに置いておけば大丈夫です」


「分娩室に持って行きたいなあ」


「いつも一緒に居た石なら、少しの時間離れて居ても大丈夫ですから、安心して出産に臨んでください」


「そうなのね!ちょっと安心したあ」


「天然石幸せのレシピ、書けたよ」


どれどれ?


☆天然石幸せのレシピ☆


お名前、八峰美都、年齢32歳。


身体の不調など気になる所、胃腸、肝臓。


精神的な悩みや心配事など、対人関係。


ご希望の願い事、商売繁盛。


好きな色、ブルー、紫。


嫌いな色、土留色。


ご希望の石が有ればお書きください

、青い石。


~Lapis~


「美都さん紫色が好きなのに土留色が嫌い?」


「だって、何と無く汚いじゃない。どんな色か本当は知らないけど」


「深みの有る紫色だよ。巨峰みたいな」


「へー、良い色じゃないですか」


「私も、もっと汚い色だと思ってた」


そう言って皆んなで笑った。


「私は、後でゆっくり書きますね」


「私もそうする。書かなくても遊ちゃんには見透かされてそうで怖いけど」


「(遊ちゃんて呼ぶのね…いつも私達の前では、天空路とか石オタクとか言ってるけど…付き合ってたんだもんね)」


【天空路家】


「Lapis、もう食べないのか?」


「(いらなーい)」


また残した。


これ、時間がたつと食べないんだよな。


〈リビングの窓から外を見ているLapis〉


「ミュー、ミュー」


「(あら、あなたどうしたの?まだ子供ね)」


「ミュー(お腹空いたよー)」


「Lapis何してるんだ?」


「ミュー(ママ)」


「あ、ノラちゃんが来てるな」


あ、逃げちゃった。


お腹空いてるのかな?


Lapisの残りを置いといてやろう。


ノラ猫にご飯をあげると怒る人も居るけど、彼らだって生きてるんだからね。


人間と動物の命の重さに違いなんか無いよ。


神奈川県は、殺処分はしないし。


うちの近所には、ボランティアで避妊をしてくれる人も居るんだ。


猫カリを置いて離れると、しばらくして子猫が出て来た。


隠れてたんだね。


よっぽどお腹が空いてたみたいだ。


たくさん食べるんだよ。


「ニャー」


「ミュー、ミュー」


何話してるんだろう?


Lapisも女の子だし、母性が有るんだろうね。

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