詩集「十代」
坂町 小竹
創作
空想
Where I Belong - 私の属する場所 -
私には見える
洞窟の奥深く、白い湖の広がる
あの街。
同じ色の川の中、朱の龍が体を畝らせ
泳ぐ。
誰も洞窟の存在には気付かず通り過ぎる。
友が尋ねた、「どこを見つめている」、と。
あれが、私の属する場所なのだ。
唯一、属する場所なのだ。
友は消えていた。
国を持たない者がつくる街。
紫の空に覆われた街。
角はまるく、一人にならないよう。
思いが伝えられる街。
好きって、嫌いって、伝えられる。
洞窟のことは、誰も知らない。
出たいって思ったら、見えてくる。
自分は、他とは違う。
たまに、少し、さみしくなる。
でもまだ、その洞窟は
伝説のままだ。
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