夢幻の人 - Epilogue -

 数日後。一生徒による保健室の扉破損事件は学園長の耳に入り、河島同様大笑いしていたらしいと風の噂で聞いた。

 生徒たちの間で誰が、いったい何のためにそんな事をしたのだろうと背びれ尾びれをつけて話が広まっているところをみると、共犯者たちの企みは公にはされていないようだ。

 友也も、そして水那は特に真相を知りたがり頻繁に保健室へ出入りしている俊樹を問い詰めたが、彼はただ「さあ?」と笑うだけだった。

 しかし、学園長までもが笑って終わらせるとは。この学園は大丈夫なのかと一抹の不安を感じる今日は五月の終わり。梅雨の訪れを感じさせる空模様だった。

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