第25話 夢の中でくらい友人と楽しく話せばいいのに
昔馴染みの友人と久しぶりにカフェでお喋り☆
「久しぶりだよね、こうやってゆっくり話すの~、大人になってからあんまり時間ないからさ、こうやって話せるの超絶悶絶うれしい~」
「マジ悶絶~w ねー高校以来だよね^^」
「『×××』ってここ最近どう? やっぱ仕事してから辛みがたるみ?」
「辛みたるみどころかたるひ続きでチョンマゲどころかマジ坊主」
「ふも~w まじ毛も生えない~w 同じ~w」
「まあでもお金はもらってるけどね」
「う、うん」
「仕事辛いけど、お金だけはもらえるからそれだけが楽しみしかないっていうか……」
「へ~w いくらぐらいもらえてるの?」
「は? なんであんたに言う必要あんの?」
「……そう、じゃあ言わなくていいよ。別に興味無いし」
「そういうアンタこそ、給料どうなのよ? 私よりもらってるんでしょうね? いや私の方が絶対多くもらってる自信あるわ」
「そうであろうとどうであろうと、勝ち負けがあろうとなかろうと、お前が優位だろうと下位だろうと……お前と交わることは無い。存在があってもお前とは縁が切れている。ただ同じ場所にいるだけだ。お前は変わったな……金に溺れて可愛げも何も無くなった」
「負け惜しみ? 私が変わったって言うなら貴方も変わったわ」
「私は何も変わってない。相変わらず毎日をなんの期待もせずに生きている」
「嘘、左右も後ろも見てみなさいよ」
左右と後ろを見ると、そこにはゴミの山が積まれていた。
「なに、これ……」
「見ての通りゴミ。作り出した失敗作のゴミなら可能性のかけらを集めて、何かになったかもしれない。でもそれは創作でも手芸でも趣味でもない……ただのゴミ。金で買って使った残りカス。昔の貴方には節制があった。無駄にしない、無駄を作らない、浪費しない……そういった戒めがあった、それが今はどう?」
「……」
「お金が手に入って変わったのは貴方の方なんじゃない? お金があって使えることに安心して、節制を無くしたのは貴方。浪費をしてゴミの山積みを作った」
「生きる為に消費は必要でしょう」
「リサイクルすらしなくなったじゃない。人としての節度も失ったわ。酒に飲んだくれ、現実を恐れ、酒を飲んでは悪夢を恐れ、恐れて……何もしない。前に進むことを恐れたあなたは停滞し続けている」
「……つ」
「次に貴方は疲れた、と言う。いつも疲れたと言って、いつなら元気なの? 頑張りたくない戦いたくない。そう思って嘘を言って去勢張って」
「じゃあどうしろと言うんだ」
「そうやって誰かに答えを求める。自分自身で答えを探すこともしない」
「内転する螺旋、極限まで小さくなろうとする……煮詰まった思考に価値は無い……」
「外展する螺旋、外部を取り入れ広がる螺旋。樹木も貝も広がり続ける……」
「虚像よ、求めるは己が成長であり、停滞なき金泥の煮え床なり」
「実像よ、求めるは己が救済であり、恐怖なき楽園の住人権なり」
「「だがそれはこの世になく、この手で掴めるものでなし」」
「「お前は私、私はお前、交ざりて一つ、一つにて発密する!」」
「故に一つ。私は、私だ」
「……やっと、外に出ようとする自分と、内にいようとする自分をコントロールできるようになってきたのかもね」
「そうか、どちらの圧力も同じだから、私は停滞するのかもしれない」
――END――
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