「 “Fragment Dark Night ” ,you said...」
――Are You Ready?――
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僕は、自分にもう嘘はつけない。××を愛している。
だが、僕にとって、この世で一番大切なのは、愛すべき友人、チカだった。
底なし沼にはまって、出られなくなった僕に、手を差し伸べ、救ってくれたチカ。
暗黒のような世界を、まばゆく照らしてくれたチカ。
――チカは、僕のすべてだった。
チカにだったら殺されてもいいし、チカのためなら、誰だろうが偽り、欺き、殺せる自信があった。
その僕が、チカを殺すのか。
ためらわなかったといったら、嘘になる。
だが、覚悟は決まっていた。
僕は、チカを裏切る。
――そして、そのあたたかな手で、殺してもらうのだ――。
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「千夜。チカは、もうすぐ死ぬよ。君を護(まも)って、ね」
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「――きたねえ手で、触んじゃねえ!!」
「……雷門。――オレを殺せ」
「……いい。もう、いいんだ。すべて、無駄だった。もう、嫌なんだ。これ以上千夜に嫌われるのも、これ以上、千夜が死ぬのをみるのも」
(( ――さよなら、千夜 ))
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……なんだ? ……なんだよ、これ。どうしてだよ。こんな、こんなはずじゃ。
あたしは、ああ、と言った。
――ああ。ああ。あああああああ。
あたしは、血まみれのまま動かない、チカの躰を抱いた。
まだ、生暖かい。あたしは、その唇に口づけた。
――何度も、何度も。
それでも、チカは、ぴくりとも動かなかった。
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その時初めて、あたしは、すべてが遅すぎたことを知った。
もう一度、なんてない。これが、最期だったんだ。
――99回繰り返された、最期の一回だったんだ。
あたしのなかにも、一瞬で絶望が満ちた。
あたしが、チカを責めなければ。
あたしが、チカを拒絶しなければ。
……ああ。あたしが、チカを、殺したんだ――。
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ふと、チカのあの笑顔を思い出した。
無邪気な、あの、ひだまりの笑顔が、なにかひどく、けがらわしいもので、汚れていく。
いや、汚れたのは、あたしだ。
もうチカに、触れることはできないだろう。
――あたしはもう、あいつに触る資格も、触られる資格もない。
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「……許さねえ」
――チカ。
お前があたしから離れて行こうとするなら、あたしは、お前を取り戻す。
たとえ、嫌がられても、拒絶されても、かまわない。
もう、もう嫌なんだ。お前を失うのは。
あたしは、お前を手にするためなら、運命だって、書き換えてやる。
――この手で、魔女を倒す。
そして、新しい朝を、本当の朝を――。
……<永遠の夏>を、お前と迎えるんだ。
……あたしは、もう、二度と、諦めない。
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「すまぬ。わらわのせいだ。赦せ。わらわも、後を追うから。……きっと、もう一度、捕まえてみせるから」
「いいんだ。もう、いいんだ。血闇。お前は、忘れていい。なにもかも。オレも――空魔(くうま)も、自分のことも」
「――また逢おう。……今度はオレが、必ずオレが、お前をみつけるから」
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そう、××に嘘をつけばいい。
騙せばいい。こっぴどく、裏切ればいい。
そうすればきっと、××はオレを嫌いになって、憎んで、その柔らかな手でオレの首をしめるだろう。
――簡単だ。……簡単な、はずだった。
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崩れ落ちたオレは、誓った。
――もう一度、もう一度、オレにチャンスをくれ。
今度は、間違えたりしないから。
……今度は、必ずオレは、お前を護って、愛しながら死んでいくから。
まもなく、慈悲深い声が聴こえた。
「いいわ。あなたにチャンスをあげる。その代わりあなたは、あたくしの玩具となるのです」
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でも、この香り。この色。
……なんて美しい。――なんて、うまそうなんだ。
……もっと、みたい。――すすりたい。
……この液体を飲みほし、あの胸の奥に咲く、真っ赤な果実(しんぞう)に、かぶりつきたい。
「ちや……」
オレはゆらりと、千夜に一歩進み出た。
千夜の顔が、みたことのない感情で染まっていく――。
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「――ち、か……?」
――ごぼり。
千夜のその唇から、赤い雫が溢れ出し、その表情が、絶望に染まっていった。
「……なん……、」
その続きは言わせなかった。
オレは、ぐい、とナイフに力をこめ、千夜の胸に、深く差し込んだ。
「――好きだったよ、千夜」
オレは、崩れ落ちる千夜を抱きしめながら、そうつぶやいた。
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――It's easy? or crazy?
that's love? OK,Then die.――
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Fragment ~フラグメント~は、
「破片、断片、かけら」を意味する言葉です。
また、「断章、未完遺稿、残存断片物」
「ばらばらになる、砕ける、~をばらばらに壊す」
という意味も持ちます。
Dark ~ダーク~
「暗い、闇の」
「意味があいまいな,わかりにくい」
「秘した,隠してある」
「暗愚な,無知無学な」
「腹黒い,凶悪な,陰険な」
「光明のない,陰うつな.」
【語源】
古期英語「暗い,邪悪な」の意
Night ~ナイト~
「夜、暗闇」
「無知文盲(の状態); 失意[不安(など)]の時 」
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