どういうことか

藍緋

取りあえず自己紹介と色々

私立山中学園。2年前まで男子校だったこの学園に入学したのは1年と2か月前。


共学になって始めての年だった。


元が男子校、全寮制、名前の通り山の中にある学園だったが為に、この学園の生徒はBLに目覚めたとかなんとか。


共学になった今でもそれは変わらないが、何分元男子校。共学になった今も2年に二人女子がいるだけで、新入生女子はゼロである。


つまり男子校と変わらないということだ。



ここまで山中学園の実態を説明したことで、自己紹介をしようと思う。


皆本みなもとシオン。高校二年生。学園に二人しかいない女子の一人である。


身長は女子にしては高く、男子にしては若干低いくらい。


短髪で男勝りな性格のせいか、私を女だと知る者はほとんどいない。先生でさえ知らない人がいるくらいである。


制服見れば分かるだろって?残念。この学園、山の中にあるからか知らないが制服なんてないのだ。私服である。


そして、私が女と思われない理由はもう一つ。


二年生で女子は二人しかいないと言う話しは最早誰もが知っている話であり、私以外のもう一人の女子の話をしよう。


私の斜め前に座る、長濱ながはま涼子りょうこ。名前からも分かるように女の子である。


彼女は腐女子とか呼ばれる類いの人間で、王道BLを見るためにこの学園に入ったお嬢様である。


そして窓際の一番前に座る少年。本村もとむら波瑠はる。私の幼馴染みであり、この学園に誘った張本人。


身長は私よりも低く、童顔で可愛らしい顔立ちと名前をしているせいか、波瑠は入学初日で女子認定された。


勿論本人は否定しているが、彼はどう見ても女にしか見えない。


つまり波瑠は私の身代わりをしてくれているありがたい存在なのである。その分私は好き放題出来るからね。



この学園で女子が二人しかいないというのは先生や先生や校長たちはどう対処すべきか悩んだらしい。


元々、男でさえ襲われるような(性的な意味で)学園である。そこに女子を二人放り込もうというのだから驚きだ。


私立の金持ち学園だから、やりたい放題ですわ。


取りあえず男子には誰が女子であるというのを教えないように、先生たちは全員を男として対応することになったらしい。


私服だし上手いこといけば男に紛れると思った先生たちの勇気に乾杯。



いやまあ、その成功例が私なのだが。



涼子には幼馴染みで護衛の佐之助さのすけくんがいるので存分に女の子をしている。


無口だがノリが良いので非常に好印象だった佐之助くん。現在は涼子の後ろの席で小説を読んでいる。


そして私の身代わりをしてくれている波瑠には私と私の前の席でもう一人の幼馴染み伏見ふしみ愛喜まなき


そして波瑠の後ろの席の山下やました萄哉とうやくんが波瑠の護衛とは名ばかりのお友だちとして常にいる。


萄哉は私、愛喜、波瑠の三人の親衛隊を束ねる腐男子。一年の時からのお友だちである。


親衛隊とは……。まあファンクラブみたいな奴だ。




「ふむ……。紹介はこれくらいでいいかな?」


「なに言ってんだ、お前」


唐突に話し掛けると、愛喜は変な目で私を見る。


幼馴染みになんて仕打ちだ。泣くぞ。




まあ取りあえず、この小説は幼馴染み三人組プラスαでお送りいたします。

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どういうことか 藍緋 @asitaba

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