武龍伝

とみぃG

プロローグ

主人公:平 龍(たいら りゅう)

年齢:32才

経歴:日本陸軍特殊部隊に所属。退役後民間企業に就職。

自動車メーカーの設計リーダー。


現在の世界:世界には12のパラレルワールドと呼ばれる並行世界が存在する。時間軸を同じとし、独自の政治や文化でそれぞれ発展を遂げる。

約30年前に異なる並行世界への転移が成功し、異世界間での交流がはじまる。10年後、異世界間の衝突が起こり空間戦争が勃発。


リュウの住む世界は<レイム>と呼ばれ、日本は江戸時代に鎖国をせず、第二次大戦ではアメリカと同盟国でアジア諸国の独立開放を支援してきた。

当然、自衛隊と呼ばれるものは存在せず、軍隊として陸海空を備える軍事大国となっている。 

リュウの所属していた日本陸軍の特殊部隊では異世界での諜報活動や工作活動、要人警護や人質救出などを専門としており、知力・体力・武力に優れたエリートで構成されている。


リュウは両親を交通事故で失い、身内がいないために保護施設に預けられたが、天性の運動能力を認められ軍の養成学校に入ることとなる。


養成学校では剣道・柔道・合気道を極め、それぞれが師範となるレベルになる。 


軍の専門教科では暗殺術、格闘術、サバイバル術、射撃、爆弾処理、武器・車両取扱、兵法、諜報術、ハッキングなどをマスターする。


数多くの特殊作戦を成功させ、リュウは若くして大尉へと昇進するが、自分の趣味を極めたいという理由で退役を申し出る。

軍に強く引きとめられるも決心が固く、退役が確定となる。表面上は退役となっているが、軍への籍は残っており、緊急事態での応援要請には応じる密約で決着したのだった。


軍とは関係のない一般車両のみを扱う自動車メーカーに勤務となったリュウは軍での工作技術や機械工学・電子工学知識を活かして開発設計部門への配属となった。 開発と聞くと華やかに見えるが、データ取りや耐久試験など地道な作業の積み重ねだったりする。


この日のリュウも朝から工場に隣接されているテストコースで一日中開発車両の運転をして走行安定性のデータ取りを行っていた。

適宜休憩時間を取るにしても同じ場所を繰り返し走り続けるのは苦痛となる。肩も凝るし体も痛くなる。日中取得したデータを残業時間にまとめるというのがこのところの日課だ。

仕事が終わって帰宅するのだが、リュウの通勤はマイカー通勤だ。自社ブランドのスポーツカーを運転しながらの通勤の行き帰りが至福のひと時であったりする。


『あ~あ、今日も疲れたなあ~』

『帰ってからの晩飯は何にしようか?コンビニでも寄っていこうか?』


と、これからの予定を考えながらいつもの県境を跨ぐトンネルに差し掛かる。トンネルに入ると黄色の照明がいつもよりも白く明るく感じる。

奥の方がフラッシュの様に光り、瞬く間に一面がその光に吸収される。


リュウの意識はここで途切れる。

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