第63話 good hunting
羆によって打ち上げられたしゃけは、腹を裂かれた。中に血みどろの卵が詰まっている。
八百万のまなこに慄いた良識ある羆は立ち去ることにした。
一方、空腹人間はしゃけの卵をかきだし、かきだし、呑み下す。
蝋のように白くなったしゃけの目と、血管の浮いた卵が君を見ている。春もたけなわ。せめて舌鼓を打て。
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