ライヴルグラナリス
夜空奏(よぞら そう)
第1話 ―白―
村の朝は早い
「おーい、ネラ」
ネラと呼ばれた少年が、声のした方向へ振り向く。
「じっさま、どうしたんだい?」
「ネラ、今日は久しぶりに太陽が拝めている。
祠の泉から、朝露を組んできておくれ。
お前にしかできないことなのじゃ。
よろしく頼むぞ」
「まぁ、村に暮らす若者って俺だけだし。
祠の方へは行く予定だから、朝露を持って帰るよ」
「頼んだぞーっ」
俺の名前は、ネラ。
グラ村のたった一人の若者、それが俺。
グラ村の村民は、俺と一緒に暮らしているじっさまだけ。
一緒に暮らしているっていっても、血の繋がりは無い。
血の繋がりはなくとも、育ててくれた恩があるし。
何より、たった一人の家族であるじっさまが大事なんだ。
歳のせいかわからないけれど、最近は視力が落ちているらしく、殆どの事は俺に任されている。
俺が向かっている場所は【ラナリスの祠】の近くにある【ラナリスの泉】。
ラナリスの泉の中央にある朝露は、病気に効くとじっさまが言っていた。
病気したことが無い俺には、効果がどんなものなのかなんてわかるはずもない。
じっさまに何かあったらなんて、考えたくも無いけどね。
「アッチぃ。
って言うか、なんで今日はこんなに暑いんだよ。」
いつもはこんなに暑かったりしない、どちらかというと涼しい。
「何か起きる予感・・・
まさかね・・・」
そうこうしているうちに、ラナリスの祠に到着した。
祠に収められている柄杓ですくわないと、朝露が蒸発してしまうって、じっさまが言っていた。
柄杓を手に取り、祠の裏手にあるラナリスの泉に向かう。
その時、泉の方から強い光が見えたような気がした。
まさか・・・
その光の先にある何かによって、俺の日常が変わるなんておもわなかったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます