43話 主人公とは
「主人公とは何か……、それを徹底的に調べようと思う」
「はぁ…?」
部屋にはいつものメンツにヒルダとジーク、ルルがいる。
突然俺がこんな事を言い出しタクトがよく分かって無さそうな声を出す。
「突然どうしたんですか?」
「俺はこの間の適性検査で自身の力不足を改めて実感した……、そこでこの話題だ!」
「主人公とは何か、ですか?……何故に」
「主人公なら後々強化イベとかあるだろ!」
「あー、そういう」
「……という事でいくぞ?、んん…まずは主人公の性格からだ」
「性格…、ですか」
「そうだ、よく知られている主人公というのは……、はいっミスティ君!」
「えぇ!?え、えっと……な、何事にも一生懸命とかでしょうか?」
「そう、これが一般的な熱血系の主人公だ。でだ……、俺に向いてる?」
『無い(です)』
「あっ……うん……。じゃ、じゃあ次いくぞ次!
次のタイプはここ最近の流行り?かな…、わかる人」
部屋を見渡すとみんな考えているようだが分からないらしい。
「出ないようだな、次はクール系、やれやれ系とも言われる奴等だ」
「あ~……」
「この手の主人公は最初は全然目立たなく弱気な癖に力を手に入れた瞬間誰だお前みたいな感じになる、……のが最近の流れな気がする。」
「異世界物でよく見るやつですね」
「そうそう…、そして熱血系は所々で負けたり引き分けたりしながらも徐々に強くなって最終的には……、という具合に対しクール系は特に苦労もなく力を手に入れて最初っから勝ちまくりラスボスでちょっと苦戦したかな?、と思えばあっさり打開しちゃって終わり……」
「んー長い」
「ごめん、…まあ言った通り熱血系は実は勝ち星は意外と少ない事が多い。もちろん例外はあるけど。クール系はその逆、ほぼ……というか全勝なんというのも珍しくない」
「なんかメチャクチャだね」
ここまで黙って聞いていたヘリックが苦笑しながら正直な感想を述べる。
「主人公は理不尽な存在だからな。じゃあここまで聞いて俺は主人公に成れるのかを………」
『?』
「無理じゃね……?」
「自分で結論言ってどうするのよ……」
ミミルが呆れながら俺に突っ込む。
「くっ!なら他の所で!」
「他?」
「主人公のよくある要素だ。……まず一つ目、理由もなくモテる」
「あー、ありますねぇ」
「テメェの事だタクトォ!」
「え!?俺ですか!」
「お前がどういう経緯でミスティとリーリャを落としのかは分からん、理由が有るのかもしれないし無いかもしれない……。だけど他人から見れば何故か美少女ばっかり寄ってくる理不尽野郎にしか見えないッ」
「……なんか今日のコウタやけに饒舌ね」
「色々ストレスとか溜まってたんだろうね………」
「はぁっ…はぁっ……、これは無理だな……」
「結局駄目なんですか……」
「もうすでに結果が出ている……、俺の事が好きな美少女がいるか!?」
「あ、いや……えーっと」
「ふっ……」
何故かみんな気まずそうに目をそらす、ミミルがこちらを睨んでいる。
……なんで?
「次!神様からチートを貰う、……これも駄目……」
「神様に会ってないんですか?」
「え?…あ~…いや会ったには会った」
喧嘩売ったけど……。
「さぁ、ここまで話した訳だが俺は主人公みたい『なれない』………みんな答えが早い………」
苛つく、あの日の事がずっと頭の中に残る。机を見る、机には10本近くの短剣が置いてある。短剣はどれもが誰が見ても普通では無いと分かる代物ばかりだ。
本来ならそこの中に紅と黒の短剣がある筈だった。しかしとある依頼で対象を裏路地まで追い込みあと少し、という所で邪魔が入った。
そいつは何があったのかは分からないがボロボロでとても戦えるとは思えないような気配をしていた、結果は大事なコレクションの2本を奪われ対象は生きたまま。
「ちっ…糞がァ……」
ここ最近はあのガキの顔しか考えていない。
すると後ろから気配を感じ一瞬警戒するがすぐに解く。
「ここ最近のお前の事は聞いてはいたが……、随分と荒れてるなぁ」
「……何しに来たの?」
「依頼だ」
「悪いけど私は依頼は受けないは殺してやりたい相「邪魔をした青年の事だろう?」……どういう事かしら?」
「対象は皇女だ、近くには御執心の青年もいる」
「何時でも良いの?」
「いや、近々勇者と王子の来日でパーティーを開くらしい」
「……私1人じゃ無理よ?」
「なに、パーティーなのだから大勢で行っても大丈夫だろう」
女は驚いたように目を見開き男を見る、そして次は怪しそうに眉を寄せながら軽く睨む。
「随分と気合が入ってるわね」
「まぁ、依頼主がそれだけ皇女を始末したいんだろうさ」
「勇者に聖女、老いぼれに糞騎士。随分な出席者だけど?」
「こっちもそれ相応の奴を連れていくだけさ……、おっとそろそろ俺は行くとするかね」
「………」
「日時が決まったら連絡する、それまで無茶はするなよ」
男はそう言い残しその場を去った、女は男の口車に乗せられた様で少し燗に触ったがやっとあのガキを殺れると思うと笑みを抑えられなくなった。
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