3話 入学試験ー実技
「すげぇ…」
魔法だ、魔法を使ってる人が居る!
おぉ、炎が出てる!こっちは何故か地面からトゲが出てきた。
「これが魔法かぁ……」
しばらく他の受験者の魔法を眺めていたら後ろの方から先生がやって来た
「みんな集まれ、今から実技の試験を行う」
先生が言うには一人三戦するとの事らしい。
凄い技や魔法を見せたら高い評価を貰えるんだろうけど、そんな技も魔法も出来ない俺はどうやって点数稼ぎをするか……
「番号13、67」
「はい!」
「…はい」
13番の子元気いいなー、それに比べると67番の子は大人しい、て言えば良いのかな?
まぁ、最初の試合だ他の子がどれぐらいの実力なのかしっかり観させて貰おう。
13番の子はショートソード、67の子は……短剣が二本を逆手で握っている……カッコいい、ナイフを逆手で二刀流…憧れるね。
「準備は、いいな?……始め!」
「ハァッ!」
「ふっ!」
13番が開始の合図と共に相手に向かって走り出しショートソードを横に振った、それを67番は無表情で避け続ける。
3分位たった辺りから息が荒くなり僅かに見せた隙をついてあっさり67番が勝ってしまった。
「あの子強いなぁ~」
もしあの子に当たったら勝てるかな?
ん~………難しいかな?
それからの試合は大体は似たり寄ったりな試合だった、たまに面白い試合等もあって楽しめた。
「次、69番と7番」
ん、俺の番か、7番の方も初めてだな、さて…どんな奴かな……。
『がんばって~!』
「はは…ありがとう」
目の前のイケメンが苦笑しながら黄色い声を上げている女子に手を振っている。
ちっ……イケメンか、それにしても凄い応援だ、イケメンも服の生地とかもしっかりしてるって事は貴族か、貴族でイケメン………腹黒か!
……ちょっと飛躍し過ぎたかな?でもこういう作品のイケメン貴族は大抵はクズい気がしなくも無い。
それに比べこっちは。
「くっそ!69番、そんなイケメンなんかやっちまえ!」
「そうだそうだ!」
男の嫉妬が俺の力だ!
………なんかやだ、そもそも何で俺には幼なじみ系のヒロインが出てこない、この一年家の人と剣を教えてくれた冒険者のおじさんとホ◯のお客さん位しか知り合いが居ないってどゆこと!
くっ、これ以上考えたら後ろにいる奴らみたいになっちまう……、試合に集中…集中…。
「よろしく」とイケメンがはにかんでだ。
「おう、よろしくな」
あれ?自分でもビックリする位普通に返事した、これもイケメンが成せる技か……
「はぁ……準備はいいか?」
「あ…すいません大丈夫です」
つい色々下らない事を考えちゃった。
「こちらも大丈夫です」
「よし、ではいくぞ……始め!」
……動かない、相手はショートソードに盾、カウンターが基本か?なら
「…こっちから行くぞ!」
剣を振る、盾に塞がれるかと思えば盾を押し出してきた!
「!?このっ!」
盾の影から突き出された剣を体を捻ってなんとか避ける、押し出された勢いのまま後ろに下がり距離を開け一回落ち着こうと思い顔を上げたら。
「はぁ…はぁ……っ!」
「戦ってる相手から目を離したらいけないよ」
「こっ…の!」
こっちが反撃をしようとすれば盾で押し出し剣で突く、だからってこっちが守りに入れば延々と剣を振られて体力が尽きる。
どうすればあの盾を抜けられる?
こんな事だったらおじさんに対人関係も教えて貰うんだった…、おじさんは冒険者だからか魔物の戦い方やそっち関係の知識ばっか教えて貰っていた。
そんな事はどうでもいいか、取り敢えず勝つ方法を考えよう。
「ふっ!」
「く、あぶなぁ!」
あ、あぶねぇ……剣が頬を掠めたよ……、でもまぁあの盾を抜けられそうな気がする、相手は盾が中心の戦い方だ。それが一番活かされるのはカウンター。盾で押し出し剣で突く、これが奴にとって一番得意な戦い方だと思う、でも隙はある。
盾で押し出す時、一瞬だけ奴の顔が盾に隠れる時があるその瞬間に側面に回り込めば……
「ーーやるか……」
「………?」
「…行くぞ」
相手に向かい剣を振るう、そして相手が盾を押し出してきた!ーー今だ!
左腕を盾に押し付ける、左腕を盾に押し付けたまま盾の押し出す力を借り相手の右側面に回りながら行く、回った勢いのまま右手の剣を
振った。
「なっ!」
「ハァッ!」
何故か金属の擦れ会う音が聴こえた、手元を見てみたらどうやら相手の剣と当たったせいらしい。
「…間に合うのか」
「ちょっと驚いたけど、これぐらいは予想しとかないとね」
まぁ、正面が無理なら横からーなんて誰でも考えられるか……、どや顔でこれなら、とか思ってた自分が恥ずかしいー!
「あ~降参!もう限界だー」
「勝者7番!」
あー疲れたおじさんに習った事を全然活かしきれなかった、悔しい。
ん?イケメンがこっちに歩いて来る
「お疲れ、楽しかったよ」
む……嫌味が全然無い、むしろいい奴オーラが凄い。
「そっちもな、いい勉強になったよ」
「こっちこそ…そういえば名前を言って無かったね、僕の名前ばヘリック」
「ヘリックか、俺はコウタだ宜しく」
「あぁ、宜しく」
そう言ってヘリックがこっちに手を出してきた、何だよ普通にいい奴じゃねーか誰だ腹黒言った奴!
ーー俺だよ………ん?思えばこの世界に来て初めての友達じゃないか?
一年目にしてやっと出来た友達……ちょっと泣きそう。
「ほら、二人ともさっさと退け次の試合が出来んだろうが」
「あ、すいません」
おっと、あと二試合も残ってるんだった……少しでも体を休めとかないと……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます