インスタントガールフレンド

クレハ

第1話

【インスタントガールフレンド】


1話


世界には73億人もの人がいる。

その中でガールフレンドと言うものを作るのは僕の考える中では至難の技であると思う。

なのに…

なんでこうも世界は理不尽何だろうか。

周りのみんなはその、奇跡みたいなことを僕の目の前で、いとも簡単に行っていると言うのに、なぜ、僕はできないんだろうか。なぜ、そんなにも簡単にガールフレンドと言うものを作れるのだろうか?

全く、意味がわからない。僕は自分の何が悪いのか考えてみた。僕が他の人より何が劣るのであろうか?

単純に考えれば、ガールフレンドがいる奴らと互角、またはそれ以上ならガールフレンドが出来る。そのはずだ。

なぜ、僕は誰にも振り向いてもらえないのだろう。


率直に言えば、なんで俺には彼女が出来ないんだ!?という事だ。


顔?いや、自分で言うのは恥ずかしいが、別に悪い方ではないと思う。

性格?よく中学時代の友達に「本当にお前っていいやつだよなぁ俺が女だったら惚れてるぜっ!!」とか言ってくるやつもいるから多分、性格も良い方だろう。そう考えたら他の人よりまさるはずだ。いや、まさらなくても互角くらいにはなっているはず…そのはずなんだ…

と言うのが今の僕の考えだ。

なぜここまで彼女が欲しいかは今の僕の現状を見ていただければわかると思う。


今の僕の現状はと言うと…


僕は、ガールフレンドいない歴=年齢という、悲しい現実を受け止めながら、高校2年の青春?生活を送っている。


一応まだ、一人でもいいのだが、独身のままだと成人出来ないという意味不明な法律のせいで僕は20歳までに運命の相手とやらを見つけないといけないようだ。


だがすこし、『一人でいい』と言うのは違うのかもしれない…

何故なら、この歳で、彼女がいるふざけたリア充共(9割くらい)にバカにされてしまうからである。


「クッソ!どーすりゃいいんだよっ!」


僕は思わず叫んでしまった…

今はくだらない政治の話の授業だったことを、叫んだあとに気付いた。


チャイムが授業の終わりを知らせた。

僕は授業が終わった後のどんよりとした空気の中。授業が終わったという事実に優越感に浸っていると、友達のはずの柴崎 れん【しばさき れん】に話しかけられた。

「お前さあ、彼女つくんないのか?」

昼休みに、リア充が妬ましい感じに言ってきた。そいつが発言してから周りの人たちがクスクスと笑い始めた。

んなもん、作りてえに決まってんだろうがっ!!

クラスの皆が僕を蔑むような目で見てくる。


はぁ…………


こんなのはいつもの事。僕はいつも通り、教室から出て行った。


そして、いつも通り、逃げるように、購買に向かってると、渡り廊下で正座している少女がいた。


その少女は、座ってもわかるほどのナイスバディの持ち主で、髪は青空のような澄み渡った淡い青。顔もこの学校で一位二位を争うレベルだ。人間とは思えない。そう、まるで作り物のようだ。


僕はこの人に話しかけないといけない、そんな気がした…

「ねえ、どうしたんですか?」

返信がなかった。

だが、こっちには気づいてるみたいだ。

その少女は、

「あ、あのー」

っと、僕が尋ねるのと同時くらいに

「お、私が見えてます?」

と、少女は僕に問いかけてきた。


私は幽霊です。と、言わんばかりの質問だった。訳がわからないが、とりあえず

「見えてますよ」

と、答えた。

「おぉ、見えてますか。私はインスタントガールフレンドと言うのをやっています。」

っと、言うと胸元から名刺を出し渡してきた。それを見ると、名前欄に『インスタントガールフレンド』と

書いてあるだけで名刺と言うよりかは小学校の頃の名札(表面だけ)が名刺サイズのものになったような感じである。


インスタントガールフレンド?なんだそれは?インスタントっていったら、インスタントラーメンとかインスタントコーヒーとかがあるが、インスタントガールフレンド?あ?お湯入れたら彼女でも出来んのか?

「なんですか?それは?」

「あ、ご存知ない?簡単に言えば、彼女が出来るように、貴方自身を変えて行くって言うものですかね?」

この綺麗な少女は誰でも知っている一般常識を教えるかのように、僕に淡々と説明する。


まだ、頭の中はぐちゃぐちゃ、カオスそのものだけれど、一つ思うものがあった。


この名前はっきりいってダサい…


「ん?何か言いましたか?私、考えてることが分かるんですよ?」

プッチンっと音が聞こえそうなくらいご立腹だった。

この表層から察するに、この名前をつけた人はこの人にとって大事な人または、自分がつけたって事のどっちかだ。という事がよくわかった。

「ご、ごめん」

「大丈夫ですよ」

笑いながら、目を輝かせている。

「さあ、頑張って彼女作りましょう!

大船に乗ったつもりでいてくださいねっ!」

……なぜだかわからない。だが、この見知らぬ少女を信じてみようと思った。


僕達は、ただ無言で歩いていた。少女は歩いていると言うより浮いているって言った方がいいか?足はあるのになぜか、浮いている。


「あの、ところで質問なんですが、この高校で、話したことある女の子いますか?」


唐突に少女が質問してきた。

この一言で少し自分について振り返り、考えてみることにした。

僕は女の子の話したことがあるのだろうか?

話?女の子と?……

まだ、物心つく前なら、女の子と話していた。いわゆる幼馴染っていうやつだ。

だが、高校に入ってから?

一応、一年ちょっとこの高校に通ってるんだ。一人や二人。名前は知らないけどねっ!!


「あ、も、もちろんあるさ。委員会とかそういう時に……」

少女は少し怒りながら

「ふざけてるんですか?」

と訊いてきた。

学生を全うしていので、ふざけていたわけではない。

極力、女の人とは話さずに、このつまらない学園生活を送っていた。それだけである。


「まあ、仕方ありませんかねー

私が、担当するのはそのくらいのレベルの人達ですからねー」

「どういう意味?」

「あ、まだ説明してませんでした?」

「うん、全く聞いてないぞ?」

「すいません、私のミスです。

じゃ、説明しますね。私は、女の子と話したことがほとんどない人が、私の担当する人です。」

女の子と話したことがほとんどないだって?


あ、ダメだ。その通りだ。

僕は考えることをやめた…


「そんなに、気を落とさないでください。とりあえず、女の子に話しかてみましょうか」

と、少女はまた、僕の心を読んで言ったのだろう。

その時、また僕は考え始めた。

女の子とろくに話せない僕が女の子と話して普通でいられるのか?


だから、この少女に頼んでみることにしたのだが…

「え?でも話したこともないし、難しんじゃない?」

「そこは、私に話しかけた時のように話しかけてみてくださいねっ」

おい、待てよ。こいつは助けてくれるんじゃないのか?

手伝わないならこの少女の存在する意味あるのだろうか?

そもそも、インスタントガールフレンドとはなんだ?

さっきは成り行きというか、で、そうは思わなかったが、これってかなり怪しいじゃねえかっ!!


「怪しくないですよ?」

「え?」

「怪しくないですっ!!」

なんか、勝負でもふっかけてきてんのか?こいつは。

「論より証拠だ。なんかないのか?」

当然、僕は言い返す。

「ないですっ!!」

馬鹿にしてんのか!?


その少女は、不吉な笑みを浮かべながらそっと呟いた。

「なに言い訳してるんです?女の子に話しかける。この程度も、できないんですか?」

なんだこいつむかつく奴だな…

「あ?出来るに決まってんだろ?」

と、調子に乗って言ってしまった…

「頑張ってくださいねっ!

すると少女は僕の強い口調を跳ね返し、笑顔を見せ、そう言ってくれた。

その笑顔はまるで、天使であるかのように思えた。

その笑顔で僕は、なぜかはわからないのだが、なんでもできるような気がした。

授業が始まるので、指定の場所の席に座り、僕は少し早めに、次の授業の準備に取り掛かることにした。

次の時間は、席替えやいろいろなことをするらしい。

「待てよ…これって女の子と話すいいチャンスの方がいいんじゃないか?」

そう、ここだっ!!!

僕は、いまそう決断した。


僕は少しの期待と不安を持ち、授業が始まるのを待っていた。それから時は経ち…チャイムがなった授業が始まったようだ。やる気しかなかった。

すぐに地獄の席替えが行われた…

席替えは男と女混同で席替えは行われるって言う法律の元行われた。

クラスの大半は彼氏、彼女が隣の席で座っている。

だが、僕はちがう、彼女なんて物はいない…これからどうしよう…と、考えている間にやつらリア充共の席替えが終わっていた。

「はーい。あまったひとた集まってくださーい」

担任の先生の黒鉄 律【くろがね りつ】だ。

黒髪のロングでスレンダーでクールな感じで、人望もある。そして、歳も近かったりするので、同級生とか、親に言えないような悩み事を聞く、相談窓口のような存在でもあり、一言で言えば模範の先生だ。


でも、いつもスーツと長ズボン。


足が長いんだから、黒ストッキングとか……すっごい似合いそうだけどね。


そこに10人くらい僕と同じような人が集められた。

そのなかで一人。神々しい光に包まれ、輝いている人がいた。

め、女神がいるっ!

キラキラと輝く白髪の長い髪をなびかせながら、こっちへ歩いてくる。

その人はまるで、どっかの国の王族みたいに高貴で可憐で、そう、絵に描いたような美人だった。

日本人だとは思えないほど肌が白く、外人のモデルさんみたいにすらっとしている。

と、いったものの出てるとこはしっかりとボンっとでている。


でも、あの人名前は……なんだっけ?


あの人と隣になれたらいいなっと軽い気持ちで挑んだ。


そして…


クジで席替えが行われた。僕は窓際の一番後ろの席になった。

場所は最高だっ!!

肝心の隣は………あの人だっ!


自分のくじ運に驚きながら、自分の新しい席にむかう。


他の人がバタバタしていたが、僕とその女神は、なぜか座っていた。


緊張する…


緊張のせいか冷や汗と手汗がひどかった。だが、そんなことはどうでもいいっ!と、とりあえず話すんだ。


「あの、よろしくお願いしますね」


「よ、よろしくお願いしますっ!」


なぜかあいてとハモってしまった。

そして、よくわからなかったが相手のその子も緊張していた。

どうやって話しかけてみようか……

僕はわからなかった……とりあえず、自己紹介…か?

1年と少しの間も同じクラスなのに自己紹介は変だなとは思ったが、僕はこれしか考えられなかった。なんて言ったって名前知らないし……

「僕は、二宮 士郎です」

と、話しかけると、その美少女は周りをキョロキョロし、席を勢いよく、たつ。

「あ…え、えっと、わ、私は白崎 鹿【しらさき しか】って言いますっ!よろしくですっ!」

リスみたいな小動物のように思えた。

そのギャップはなんだ?か、かわいい……


ふと、なにかの視線を感じた。

僕はその視線が怖かったが勇気を出して振り返ってみた。

すると…


すぐ横に、インスタントガールフレンドが浮いていた。なんなんだこいつは…ったく、幽霊かよ…

「ほうほう、貴方にしてはやりますね」

「うるせえな、黙ってろ」

なんとなく、腹が立ったので変に口走ってしまった…

この時、時が止まったような気がした………

「ごめんね、私なんかが話しかけて本当にごめん……ね……」

僕は、この時に気付いた。

女の子を傷つけてしまったことに…

「違うんだ、白崎さんのことじゃないんですっ!!」

と、言い訳を言っているときにはもう、遅かった………

白崎さんは泣いてしまった…

僕は、女の子を泣かしてしまった。僕はなんとかして彼女に許してもらいたくて、許してもらうにはどうすれば………いいんだ?

あ、ダメだ。

僕は女の子とろくに話したこともないのに何がわかるって言うんだ。


「あーらら、泣かせちゃいましたね

。最悪ですねぇー女の子を傷つけて何も感じ無いんですか?」

悪い笑みを浮かべている。

そもそもこいつのせいじゃねえかっ!!

クソっ!どうすりゃいいんだよ…

思いつつ、僕はもうわかっていた。奴に頼るしかないってことを………

ちっ!!

不本意だか、仕方ない…

僕が女心がわからないのがいけないし、そもそも彼女を作るのを協力してくれるのに悪いよな…


「僕は、女心もわから無いクズだ。それは認める。だけど、このままじゃダメだって事くらいは、こんなダメな僕でもわかる。なあ、インスタントガールフレンド!僕はどうすればいい?頼む!教えてくれっ!!」



「普通に、笑って、『ごめんなさい』謝ればいいんじゃないですかね?」


僕は、”ごめんなさい”この一言で本当にいいのだろうかと少し悩んだが、ほかに頼れる奴がいないし仕方ないか……


「ごめんなさい」

この一言で止まっていた時がまた、動き出したような気がした。


白崎さんはさっきとは全く違う、そうまるで、天地がひっくり返るような笑みでニコッと、僕のために笑ってくれたのだ。

「こちらこそ、すいません!!」

そして、時は流れて…

授業が終わった。

今日はこれで全部の授業が終わったらしい。



一応、インスタントガールフレンドには助けられたし、人間としてしっかりとお礼くらいはしときたい。と、思い、インスタントガールフレンドを呼んだ。


すると、ある異変に気付いた。

インスタントガールフレンドがいない?

僕は彼女を探すために、教室をあとにした。

僕はいろんなところを探した…

でも、彼女はいない。

まだ、回って居なかった昇降口に行ってみることにした。

彼女を探している途中、変なことをしてる人がいた。

パッと見では、なにしているかわからなかったが、一つだけわかることがある。

それは、白い服を着ていることだ。

多分、白衣だろう。

なぜか、学校に白衣の女の子がいた。

見た目は小学生か中学生くらいに見える。髪は白髪で、肩に掛かるくらいのストレート。そして、童顔。

これは…白崎さんを幼女化した感じの子だ。

か、かわいい。

僕は、ほっとけなくて、声をかけてみた。

「おーい、どうしたの?」

話しかけると、その子はビクビクと震えていた…

僕は、怖い人じゃないとわかってもらうために、必死に考えてみた。

僕はどう考えても、「大丈夫っ!怖くないよ?」

このセリフしか、浮かんでこなかった…

「大丈夫!怖くないよっ!」

行った後に気づいたが、これって……誘拐犯とかがいいそうなセリフじゃねえかっ!!!!

と、自分の頭を地面に叩きつけて、責めていると、少女は安心して…と言うか自分より弱い…そう、例えるなら猫や犬に向けるような目で僕を見て、から話しかけてきた。

「そうですか、何かようですか?」

……僕はなんで、この子に話しかけたんだろう?

なんとなく、ほっとけなったから?

いや、違う。

”何故ここにいるか”だ。

僕は考えをまとめてから話してみようと思った。

うーん、どうだろうか?

なんて話しかければいいんだよっ!!

すると、少女は僕を見て考えを察したかのようにこう答えた…


「おねーちゃんがいるんです。おねーちゃんはおっちょこちょいです」

と、言ってきた。

「お、お姉さんがいるのか」


この子……かわいいっ!!

だが、僕にそんな趣味はないとここに宣言したいと思う。

でも、この子はかわいいと感じた。

ならば、この子のお姉さんなら、いい子かもしれないなと思い少しの間見知らぬ女の子をその子と一緒に待っていた…


5分くらいは経ったと思う。


僕は、この子のお姉さんに会って、何をしようとしているんだろうか?

少しの間考えてみた…


どんな話をしようか?

とりあえず、妹の事…だけでいいか

今、僕は考えがまとまったような気がした。

お?

ここで僕の脳裏に電流が走った。妹の名前を聞けばお姉さんも、わかるんじゃないか?

僕はふと、こう思い話を聞いてみようと思って

「ねえ、君なまえは?」



返事がなかった。

返事が…ない?

「うっわぁぁぁぁ!!!!」

あれ?少女が……い…ない?

僕が少しの間、考え事をしていたときに居なくなってしまった…


あの少女はどこに行ってしまったのだろうか?

「ひとまず、冷静になろう」

冷静になるには…えっと…深呼吸だな。

「ふぅー」

3回くらい深呼吸をした僕は、考えてみた…

うーん、そうだな

学校を出たとは考えにくいから、多分近くに居るはずだ。

そう、校内を回ろうっ!

僕は、妄言実行した…


探すのはそう時間は、掛からなかった。

「あ、居ました。もう、探したんですからね。士郎さん」

インスタントガールフレンドの声が聞こえた。

そして、なぜか小学生くらいの女の子と、なぜか白崎さんもいた。

小学生くらいのあの子が走って僕に寄って…

「この方です」

誰に話しかけているんだろう?

ふと、小学生くらいの子をみると、白崎さんの方向を向いている…白崎さんに言っているんだろう。

「あ、白崎さんこの子は?」


「あ、まだ言ってませんでしたね。

この子は私の妹。白崎 ジャイ子です」


「はっ!!!!」

僕は言葉も出なかった。

「あ、勿論冗談ですよ。」

妹は、ぼーっとしていた。

僕は、この子ってこんなキャラだったっけ?

まあ、まだ会ったばかりだし、意外なこともあるよなっと自分の中で勝手に妄想を膨らまし、こんなキャラだと思い込むことにした…



その時、インスタントガールフレンドの声が聞こえた。


「士郎さん~~」


「そこは、笑ってあげましょうよー

彼女なりに、面白いこと言ってみてるんですよ?

まあ、本音を言ってしまえば寒いですが… 」


と、言っているインスタントガールフレンドを無視して、僕は笑ってあげようと思った。


僕は笑ってみた。

少し戸惑いながら白崎さんは、ニコッと笑って返してくれた。

そう、例えるなら、お日様のように輝く瞳で笑い返してくれた。

僕は、本当に笑っている彼女を見たような気がする。

前会った時よりも可愛くみえた。


あ、前もかわいかったよ?


「あのーどうかしました?」

僕は少しの間、彼女の笑顔に見とれてしまっていたようだ。

「かわ……あ、ごめんなさい!な、なんでもないです。」



「え?どうしました?」

彼女は心配そうに僕を見つめていた

「本当になんでもないです」


この気まずい空気はなんだ?

これは、話を変えなければ…


ん?何かを忘れてるような気がする…何だろうか?

「………はっ!!」


あ、忘れてた…

僕は今、当初の目的を忘れていることに気付いた…


「どうかしましたか?」

白崎姉が僕を心配そうに見てきた。

「あ、はいっ!気遣いありがとうございます」

僕は嬉しかった。

これ以上の感動に僕は出会ったが事がなかったから、説明もできないが、とにかくすごく嬉しかった。


僕は当初の目的である。

「あ、その子の名前は?」

聞いてみた。

すると、妹の方が

「申し訳ありませんです。私は白崎 鳥【しらさき ちょう】

鳥書いて”ちょう”と呼びますです。」

「あ、はい」

なんとなく、怖かったので敬語になってしまった………

「なんか、時間取っちゃってすいません」

「僕は、別に全然いいですよ」

すると白崎妹が、割って入ってくる。

「もう遅いし帰りませんか?ママが心配するですよ」

………くっ!かわいいじゃねえかっ!!


だが、前にも行ったが僕はロリコンではない。


「そうだね。じゃ、帰りましょうか」


二人と別れ、軽く挨拶を済ませ、僕は昇降口に戻り、家に帰るとこにした。

今日は家に誰もがいないのでコンビニに行って、弁当か何かを買ってから帰ろうと思ったので、帰り道を変えてコンビニに向かっていた。

今日は女の子と話せた。やったっ!!


でも、なんか忘れてるような…


あ、そうか。まだお礼してないじゃねえか。でも、まあ、明日でも良いかと思い、最寄のコンビニに向かっていると……


「キャーァァァ!!!」

突然、女の子の悲鳴が聞こえてきた。

僕はなぜか、声のする方へ走り始めていた。

え?なんで!?体が勝手に……

まあ、こういうのもいいよねっ!!

悲鳴がする位置はおそらく、そんなに遠い訳ではではないようだ。

僕はその声を頼りに走っていると、リーゼントやモヒカン。今時、こんなのいるの!?みたいな不良がいた。その中心に、少女が見えた。

僕も怖かったが、少女を見放すのは人として男としてクズだと思い、勇気をだして言った。

「お、おいっ!やめろよ」

と、言うとそいつら不良共はこっちを見る。その時に中心に少女が見えた。その少女は震え、怯えていることが痛々しいほどにわかる。


「あぁ?なめんてんのか?」

不良共がそう言って来たが、僕は結構冷静であった。

そいつらは、今にも殴りかかって来そうな勢いでこっちへ飛んできた。ぼくは軽くかわすと、少女の前まで進み、その子の手を取り逃げようとした。だが、少女は腰を抜かし、歩ける状態ではない。


仕方ない。僕はその女の子を抱き抱え、走った。


「待てやコラァ!!!!」


その不良共はまだ追ってくる。


くそっ!!あいつらまだくんのかよっ!!


考えろっ!!どこに逃げたらいいのか。……人がいるとこなら、あいつら手を出せねえだろう。………ここからだったら、商店街がいい。


僕は必死に走った。


「はあ…はあ……ふぅ」

ついた。

僕らが商店街に入ると、その不良共は何処かへいった。

僕は体力がある方では無い。正直かなり辛かった…

「はあ…大丈夫ですか?」

女の子は、なんでかわからないが、怒っていた。

「レディにあんな扱いする?な、なんでお、お姫様だっ……も、もう、何言わせんの!?この馬鹿っ!!!!」

僕は、もう疲れていて言い返す気力もなく、何も言えなかった…

「助かったなら良かったです」

その人はまるで痛い人を見るような目で僕を見下ろしてきた。

「何?あんたもしかして厨二病?」

僕は、助けたことを後悔した。


なんなの?この人……


その時、

「はーいストップストップ」

インスタントガールフレンド突然助けた女の子の後ろから出てきて止めてきた…

「なんだ?今度は?」

僕は、やる気がなく、考えることを放棄していた…

僕は、この子苦手だな。

と、僕は心の中で思っていた。

「し、士郎さん。あ、貴方ってひとは…冗談でも、女の人にだめですからねっ?」

インスタントガールフレンドはちょっとした忠告をして、帰っていった。


でも、なんて言って話しかけるよ。こんな面倒くさそうな人。


あの子が話しかけてきた。

「で、でも助かったよ……あ、あり…がと」

こりゃ、ツンデレか………

「いえいえ、大丈夫ですよ」


しばらく何も言わず、というか、なにを言っていいかわからずに、止まっていた。


「…よっ!」


「え?あの、すみません、今なんていいました?」

「井上 渚【いのうえ なぎさ】よ」



……………あ、名前か!


「あ、僕は二宮 士郎です」


と、すっかり忘れていた自己紹介をする。


「じゃ、ありがと。その、また……ね」


と、その子は足取り悪く、ふらふらと歩いていく。まるで、産まれたての小鹿のようだ。


この子はさっき悪そうな人に襲われてたし、とりあえず、家までは送ってあげようかな?あんなんだし……

「家まで連れってあげましょうか?」

僕は調子に乗って、こんなことを言ってしまった。

この子に「うわっ!何こいつ変な奴」とか思われてるんだろうな。

と、僕は勝手にそう思っていた…

でも、彼女は僕の想像の正反対の感じで、反応してきた。

「え?いいの?」

彼女が素直に返してきて、僕は少し困惑してしまったが、素直で可愛い女の子だなと思えた。だが、それは僕の思い違いかもしれない…

「な、何よ私が何か変なこと言った?」

「いや、そんなことは…」

「ま、まあいいわ」

「家はここから三分くらいで着くから、私について来なさい?まあ、あんた見たいなゴミ。全く女心もわからないような奴が、私のために働けるのよ?感謝しなさいよねっ!」


そして、僕はその女の子と共に、彼女の家に向かう。

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