霊関係の話③ タクシーにされた話
近所に住んでいたおばあさんが亡くなられて、最寄りの葬儀会館へお焼香へ向かいました。町内会代表という事で会長さんが行っているのですが、親しいお付き合いのある方だったので、個人でも葬儀に参列したわけです。
通夜のお焼香だけですから、すぐに終わります。来た時と同じく、自家用車で帰路に着いたわけですが、どうも後部座席に気配があります。
誰も居るわけはないんです、誰も乗せてませんからねぇ。
はてさて何処かで拾ったかな、程度に構えてそのまま家に帰りました。別段、害意も感じない事ですし、勝手に降りるだろうなどと思ってます。
にこにこしてる気がしましたし、タクシー代わりに乗られるのはこれが初めてというわけでもないしで、あまり気にもしません。
目的地が違うかもだから、テキトーに降りてくれよ、なんて考えながら運転していたらそのうちに消えてしまうもんなんで。
その時はけれど、家に帰り、ガレージに駐車するまで気配は残っていました。完全に停車すると、後部座席にはもう居ませんでした。
ずっと病院で過ごし、最後まで戻れなかった死者のうちには、最後の最後に家へ戻りたがる者も居るのでしょうねぇ。納得が行ったら天に召されてくれるといいんですけど。それか、最後に私に挨拶に来てくれたものかも知れません。
お墓というのは、霊にしてみれば目印みたいなものなのか、いつ行っても誰も居ないとしか思えない場所と、偶然か何か、たまたま居合わせた何かに強く引かれる場所とがあります。まぁ、せいぜいお水を掛けてあげるくらいしか出来ないんですけど。
へたに関わると憑いてきてしまうらしいので、そういう事はしない方がいいとも聞きます。どっちなんでしょうねぇ。
お墓も、その霊にとっては棲家となっていたり、大事なモニュメントだったりで、荒らされたくないと思っているケースもあるようです。時に、敵意を飛ばしてきます。そんな話をついででひとつ。
あれは、京都の霊山歴史館に見学へ行き、裏にある勤皇の志士たちの墓を詣でた時の事でした。旦那が大の竜馬ファンなので年に一度は霊山を訪れるのですよ。
竜馬の墓、慎太郎の墓、あと高杉とか久坂とかの名を見つけて眺めてるだけの事なんですけどね、うろうろしてるうちに「何々藩菩提」とか何とか書かれてある一角へ迷い込みました。
それぞれの藩士を纏めて合葬してあるらしいんですが、そこではものすごい敵意を向けられました。なんもしとらんっつーのに。
恐らくはあれでしょう、ちょうど幕末ブームだとかで歴女とかがキャーキャーと黄色い声を上げて騒いでいた後だったんで、腹に据えかねるものでもあったもんかと。私と旦那は、彼女らがウルセーので時間をずらして山に登ったもんでね。
思いっきりガン飛ばされた気がしたんで、「知らんがな、」と呟いて早々にお暇しました。ブームの度にご苦労様なことです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます