ノンジャンル

雨の日の車の窓ガラス

 ここから先はフリータイムとする。

 なんのことか作者もさっぱりだが、とにかくフリーで書かせていただく。


 本筋はあくまで『B型である私』なのだが、正直各話の最後にとってつけたような説明だけでは納得していただけていないように感じる。

 この先は小ネタをはさみつつ、ちょっとした日常の中にある人間性からB型に迫っていこうと思う。


 私は小学生の時に、ある作文を書いた。

 車の窓から流れ出る水滴をひたすら描写し続けるもので、先生を含め誰一人として理解できるものはいなかった。

 車の速度や風の力により不思議な動きをする水の動きに感動を覚え、なんとかその気持ちを伝えようと努力してはみたものの、そもそもなんのための作文だったのか思い出せないが、きっとテーマからは大きく外れていたに違いない。


 作文と言えば、文系の私と違い、兄は超のつく理系だった。

 特に国語は壊滅的で、私と兄を足して二で割ったらちょうどいいとよく言われたものだが、それでは単なる平均点しか取れないつまらない人間になるだけだろうと、共感を持ったことは一度もない。

 そんな兄は、長期の休みに入ると、私の部屋に訪れる。

 幾何かの小遣いと、小説と、作文用紙を持って。

 兄は妹に、読書感想文の代行をお願いしていたのだ。

 私はなるべくオリジナリティを出さないよう、平凡で一般的な感想を書くよう心掛け、常にB評価を狙った。下手に凝った内容を書いて注目を浴びてしまっては、小説すら読んでいない兄に話題を振ろうものなら一発でバレてしまうからだ。

 私もお返しに苦手な数学の宿題でもやってもらえばよかったのではと思うのだが、当時はそんなこと考えつかなかったのか、それとも真面目に自分でやるべきだという立派な心をもっていたのか。


 話は急に戻るのだが、先日車に乗っていたら、後部座席にいた娘が突然声をあげた。


「水滴が躍ってるみたい!」


 その日は雨が降っていた。

 唐突に思い出した。

 あの時の私の作文のタイトルは、『水滴のダンス』だったことを。

 当時は誰にもわかってもらえなかった。

 それが今、こんな形で共感を得たのだ。

 私が感動して、小学生の時に同じことを思ったことを娘に伝えた。

 さぞかし娘も喜ぶかと思っていたら、


「えー……言うんじゃなかった」


 とひどく顔を歪ませながら言った。

 何が不服だよこのバカ娘。

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