かまってちゃん
小学生の時、児童会の選挙があった。
他の学校ではどうかわからないが、私のいた学校では、クラスで一名ずつ候補者を立てなければいけなかった。
お受験する人がいるわけでもないド田舎の小学校での役職に、立候補する者はいない。その時、一人の子が手を挙げた。
私を候補者に推薦してきたのだ。
要は面倒ごとを押し付けたかっただけだろう。
しかし私はノった。ノリまくった。
休み時間に教室を回って公約を述べたり、長ったらしい演説を語ったり。この学校を変えてやる! くらいのノリで必死に活動した。
一つ上の学年に兄がいたこともあり、知名度が多少あったのか、私はみごと受かってしまった。ちなみに兄も推薦で候補者になっていたが、こちらは落ちてしまい気まずい感じになった。
字も汚いくせに書記。
目立ちたいがためにやったことなので、いざ受かってみると裏方ばかりで華もなく、ろくに仕事もせずサボってばかりで一年過ごした。
責任感は皆無なのである。
お調子者というのは、とどのつまり『かまってちゃん』である。
自分に注目を集めたいがゆえに、あることないこと言ってみたり、やってみたり。
そこには決して悪意はない。悪意はないが、結果的によろしくないことになってしまうこともある。
これまた小学生の時のお話。
友達と外で遊んでいた時のこと。
一人の子が、おなか空いたなと呟いた。その声にみんなが同調する。
ならばと立ち上がる私。
ちょっと待っててと言い、近くにあるお店屋さんへと入っていった。
当然、お金はない。
私は適当なおやつをポケットに入れた。
何食わぬ顔で店を出ようとしたが、あっさりと呼び止められた。
それもそうだ。小さな個人商店で、死角はほとんどなし。レジ前のおばちゃんを不自然なほどにチラチラと見た挙句、何も買わずに出ていこうとする子供。
あやしいにも程がある。
大きなお店なら奥へ連れていかれたり親を呼び出されたりしたんだろうが、その場でこっぴどく怒られただけで事なきを得た。
半泣きになりながら戻った私に、友達はどうしたの? と声をかけてきたが、私はトイレに行っただけだと言い訳をした。
多分、友達は何があったか気づいてたと思う。
だって、店のドアから怒られている姿が丸見えだったから。
このお話で重要なのは、自ら進んで万引きをしにいく自分、というところだ。
誰に強要されたわけでもない。そもそもパシリのような関係ではなく、ごくごく普通の友達関係での話なのだ。
それなのに、私はおなかが空いた友達のために何か買ってきてあげればさぞかし喜ばれるに違いないという一心だけで、盗みを働いたのだ。
この思考はやばい。
タイムマシンがあれば、当時の私がトラウマになるくらい説教したことだろう。
悪いことだとはわかったいた。けれどそれ以上にちやほやされたかった。
何がそこまで私をそうさせたのだろう。
未だによくわからない。
もしかしたら、これがB型の血というやつなのだろうか。
断っておくが、血液型で正当化しようという話ではない。
どんな理由があろうと、犯罪は犯罪だ。何を言っても言い訳にしかならない。
確かに両親は共働きで忙しかったが、決して放任だったわけではない。むしろ他の子よりも厳しくしつけされていたように思う。
環境のせいでないとしたら、一体何が私をそうさせていたのだろうという話だ。
もう一度断っておくが、B型は平気で万引きをするという話ではない。
そんなB型にあふれた世の中は、考えただけどもゾっとする。
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