企画で作った小説のまとめ

りかゆわ

晴れない梅雨の日(テーマ:梅雨)

私は今は学校にしっかりと通えることが出来ない学生である。

それはクラスからのバッシングだったり、過剰な囃し立てのせいなど色々。

そんな私はもうすでに高校の受験などが迫ってきていた。今はもう6月。

「もう学校なんて行きたくないなぁ...」と思っていた。

そんな私にも声をかけてくれる人は居た。一人だけ。


「ああ...もう梅雨か...早いものだなぁ」

6月になってからもう5日過ぎている。最近は妙に時間が経つのが早く感じる。

もう年なのかなぁ...と思ってしまう。それはさすがに考え過ぎかもしれないが。

そんなことを学校の教室ではない別室で考えていた。そんな時にノックがして、一人だれかが入ってきた。察するに唯一の友達だと思う。

「今日も別室で勉強?大丈夫?」

「うん、大丈夫。気にしてくれてありがとう...。」

「おう、あまり無理するなよ?」

「うん...。」

いつもかけてくれるこの声が優しかった。

相変わらずクラスの他の人はこの部屋の前の廊下を通るたびに暴言を吐き捨てて行く。

「そんなことをここで言うより他にやることとかあるでしょ...」と考えてしまうが、私もやることはあった。

この日の課題がまだ残っている、残り学校に居る3時間でそれを終わらせなければいけなかったが十分終わりそうな量なので急いで終わらせる。

「先生、課題終わりました。」

「おう、お疲れ様。」

「では私は帰りますね。」

「了解。また明日も来いよ。」

「はい。」

この会話ももう何回目だろうか。と思いながら帰路を歩く。


そして家に帰って寝て一日が終わる。


また次の日、学校に着くと、先生が、

「あ、いつも声かけてくれてるあいつ。今日休みだから。」

と話してきた。

「え...、それはなんでですか...?」

「どうやら風邪引いたらしいぞ。」

「あぁ...そうだったんですね...」

「良ければ今日の学校が終わったあととかにお見舞いとか行ってあげたらどうだ?」

「.....。そうですね。行ってみます。」

「それじゃあ今日も課題、頑張れよ!」

「はい...。」


別室の鍵を開けて入った瞬間、涙が溢れた。

「あ...あれ...なんで...こんなに...」

その時改めてあの子がどれだけ私を元気づけてくれていた事を感じた。

「そうだったんだ...。あの言葉だけであんなに勇気づけられていたんだ私...。」

「よし、絶対今日お見舞いに行こう。」

私は珍しく多分定見した意見を持つことが出来たんだなぁと思った。


そして普段より早く課題を終わらせて、残り時間はお見舞いした時になにを持っていこうかと考えていた。

あと30分。何も思いつかない。もう時間ないのに。

そして帰る時間。


「先生、課題終わりました。」

「おう、お疲れ様。」

「先生、私、お見舞いに行くことにしました。」

「おう、きっとあいつも喜んでくれるだろう。」

「はい...。では、また明日、さようなら。」

「おう、さようなら、また明日も来いよ!」

「はい。」


そして帰路、いつもと違う道から帰る。

それは当然のことでもあったが。

今はちょうど雨が降っていて傘で顔が隠せるいい機会だった。

「これなら涙出てても、ばれないよ...ね...?」


そしてその子の家についた。呼び鈴を鳴らし、扉を開けてもらい事情を離して家に入れてもらった。


「お..お..おじゃ..ま...しま...す。」


「うっ...あっ...珍しいな、今日はどうして家に来てくれたんだ?」

「一応いつも声かけてくれてるから...お見舞いにでもと...」

「おう...ありがとう。」

「あっ...起きなくても大丈夫だよ。」

「気遣ってくれてありがとな。」

「う...ううん。こちらこそいつも声かけてくれてありがとう...。」

「そりゃあ声かけるだろ?一人だけ孤立して何も対抗出来ない子には声かけてあげないと可哀想だろ?放ったままでおけるかよ。」

「...うっ...。」

「あっ...大丈夫か?ほら、泣かないで。」

「うん...ありがとう...。」

「今度風邪が治ったら俺とどこかに行ってみないか?」

「えっ...いいの...私なんかで...?」

「おう、全然大丈夫だ。と言うよりお前とだったら一緒に楽しめそうだからな!」

「...うん...絶対に行こうね...。」

「おう、約束な!」

「うん...。」


そして私の家に帰る帰路。私の心に抱える闇の部分が少し晴れたような感じがした。

ありがとう、変えてくれて。


そして梅雨は、雨も止まずまだ続いて行く。

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