第303話 吾輩は思考錯誤に陥る。
吾輩は目を覚ました。こうもりが話しかけてくる。
「旦那、お目覚めですか?」
「こいつは……中毒的なものかもしれないな」
「どういうことです?」
「何かを書いてないと満たされないってのは、病気なのかもしれない」
吾輩は考える。
正直言おう。ある件をきっかけにテンションはだだ下がりでもある。人気があるものを探ろうとして、頑張ったから気づいた答えでもある。こんな事象を認めれば……いずれ、オモチャにされるだろう。今回で終わりなことを願う。
それ以外にも5000PVを突破しつつも、書いた作品の読まれなさにも、他人のいい作品の読まれなさにも少し不貞腐れてるのかもしれない。
けど、書かずにはいられないこの衝動を、欲望を頭から消し去れない。
自問自答の繰り返しの人生。
――もう書くのなんてやめちまえよ。
――いくらやっても無理だ
――才能も技術もねえよ
――夢見てんじゃねぇ!
――諦めちまえよ……楽になれるぞ
そんな、考えも駆け巡りながらそれでも思考錯誤を繰り返す。一筋の光明を探るように暗闇を歩き続けていくのだろうか。終わりまで。
ただ、不思議なもんで書いてるときと読んでるときは落ち着く。
消し去ろうとする程に意識は強くなり、無意識でも動くことにより悩みってのは解消されるのかもしれない。
歩くことに疲れても歩き続けてるほうが楽ってのは考えもんだな。休みの楽さをしっていっても、それがきつくなってしまうのだから。
吾輩は考える。
報われることの方が人生では少ない気もする。
努力しようとしても、必ず上には上がいて、そこで打ち止めになる。
いつからかうまく出来ないことが恥ずかしくて、やってることが恥ずかしくなって、辞めてしまうのかもしれない。
知らない誰かと自分を比べ、自分を卑下して落ちていく。失望という闇に。
子供の時、いつでもチャレンジ出来たあの精神力はどこへ消えていくのだろう。年を取るほど、諦めの仕方だけうまくなり小利口になっていく感覚。
そんな、自分が一番嫌いなのかもしれない。
吾輩は考える。
コンテストエッセイと違いすぎて……あれだな。同一人物かを疑いたくなるな。
けど、これも紛れもない吾輩。それを知ってるのは吾輩。
吾輩は諦めない男。アインツさんであ~る。
吾輩は考える。
報われたいと思うほどに、やりたいことから逸れやすいのだろう。
目的はやりたいことをやる気ること。そこに何か違った景色を求めている。
見たことのない景色を。
だからやりたいことを忘れてはいけない。
立ち位置も目指す場所も忘れたら、遭難者である。
吾輩は考える。
日々の積み重ねが自分という人間を作り上げていく。
才能というものを求めるとき、人はお手軽なイメージをするだろう。けど、それはその人の過ごした日々で築かれたものであり、一朝一夕ではない。
同じ日々を過ごしたものだけが、才能という言葉を口にしていいのかもしれない。
吾輩は眠りにつく。
《つづく?》
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